140 / 193
第7章―消えゆく命の残り火―
24
しおりを挟む
「……レオン、俺には正直わからない。でも間違ってないと信じたい。でないとマードックの死は無意味に終わる。何かをするには犠牲が必要だ。ただそれが、たまたまあいつだったんだ。それにマードックは、カーターを助ける為に自らを犠牲にして助けた。そんなあいつの生きざまを俺達は無意味だったとは思っちゃいけないんだ。それが例えどんなことでも…――!」
アレックスは思った事を素直に話すと、今にも溢れそうな涙をグッと堪えた。
「何かをするには『犠牲』が必要か。アレックスの言う通り、俺もそうだと信じたい――」
すっかり落ち込んでいたジェイドは、彼のその話しに、同じく頷いた。ジョンは他の仲間と話し終えると彼らのもとに戻ってきた。
「何をボサッとしている! しけたパンみてぇなツラしやがって! まだ終わりじゃないんだぞ、ボサッとしてるヒマがあるならあいつらと一緒にお前達も防衛に回れ!」
ジョンは彼らに激を飛ばすと、忙しそうな様子だった。アレックスはキッパリ無理だと答えた。
「ジョン隊長! 我々にはもう、戦う気力も体力もないです――!」
『なにっ!?』
「それに機体の損傷も激しく、燃料も弾薬もあと僅かです! こんなんじゃ的もに戦えません!」
「おい、貴様! 今なんと言った!? 戦えないだと!? 何をそんな、甘ったれた事を言ってるんだお前達!」
戦う意思がない彼らに対して再び激を飛ばした。レオンは、ずっと堪えていた不満と怒りをついに爆発させた。
『うるさい黙れ、俺達はアンタの部下じゃない! 俺達はケイニッフィ大佐の部下であってアンタの部下じゃないんだ! 何でも上から偉そうに命令するなっつ!!』
「何だとおまえっ!!」
ジョンはカッとなると、レオンにマシンガンの銃口を向けた。
「貴様ぁ、もう一度言ってみろっ!?」
「聞こえなかったのかクソジジィ! 何でも俺達に上から命令するなって言ったんだよ! それにアンタは隊長の癖に俺達を見捨てて先に逃げた! いくら大佐に任せられたからってアンタは俺達の隊長だった癖に逃げたじゃないかっ!!」
『何だとぉっ!!』
「アンタがさきに逃げたおかげでカーターが危険な目に遭った! それにマードックも死んだ! アンタが『さき』に逃げたりしなければ、2人は死なずに助かったんだ…――!」
「貴様ぁっ!!」
「大佐なら俺達を絶対見捨てたりなんかしない! なのにお前は一体何だ!? 何様だ! アンタは自分の部隊の仲間を犠牲にしても飽きたらずに、俺達や他の仲間も犠牲にするのかっ!!」
レオンは募りに積もった鬱憤を吐き出すと、命令には従わないと我を張った。ジョンはレオンの口から出た鬱憤を全て聞き通すと向けたマシンガンの銃口を下げた。
「……ああ、そうだとも。俺は腐れ野郎だ。そのうえ仲間を犠牲にしてもやり遂げるような卑怯なヤツだ。犠牲にしてきた数なんてこの際なんとも思わないさ、だけどこればかりは人に何と思われようが譲れねぇ!」
「なっ、何っ!!」
その言葉にレオンは感情を昂ぶらせた。ジョンは真っ直ぐな目で力強く言い放った。
「こんな事で命を落とした仲間らの為にもここで俺達が死ぬ気でやらないといけないんだっ!! でないと死んだあいつらが全員あの世で浮かばれないだろ、違うか――!?」
「っ……!」
「犠牲の上での懺悔も後悔もその時にしてやる! だけどそれは今じゃない、悲しむのも後回しだ! だからもう一度、俺にチャンスをくれ…――! お前達の協力が俺には今必要なんだっ!!」
ジョンは彼らに胸のうちを明かすと素直に協力を仰いだ。リゲル部隊の彼らはジョンの協力に複雑な思いを抱いた。
アレックスは思った事を素直に話すと、今にも溢れそうな涙をグッと堪えた。
「何かをするには『犠牲』が必要か。アレックスの言う通り、俺もそうだと信じたい――」
すっかり落ち込んでいたジェイドは、彼のその話しに、同じく頷いた。ジョンは他の仲間と話し終えると彼らのもとに戻ってきた。
「何をボサッとしている! しけたパンみてぇなツラしやがって! まだ終わりじゃないんだぞ、ボサッとしてるヒマがあるならあいつらと一緒にお前達も防衛に回れ!」
ジョンは彼らに激を飛ばすと、忙しそうな様子だった。アレックスはキッパリ無理だと答えた。
「ジョン隊長! 我々にはもう、戦う気力も体力もないです――!」
『なにっ!?』
「それに機体の損傷も激しく、燃料も弾薬もあと僅かです! こんなんじゃ的もに戦えません!」
「おい、貴様! 今なんと言った!? 戦えないだと!? 何をそんな、甘ったれた事を言ってるんだお前達!」
戦う意思がない彼らに対して再び激を飛ばした。レオンは、ずっと堪えていた不満と怒りをついに爆発させた。
『うるさい黙れ、俺達はアンタの部下じゃない! 俺達はケイニッフィ大佐の部下であってアンタの部下じゃないんだ! 何でも上から偉そうに命令するなっつ!!』
「何だとおまえっ!!」
ジョンはカッとなると、レオンにマシンガンの銃口を向けた。
「貴様ぁ、もう一度言ってみろっ!?」
「聞こえなかったのかクソジジィ! 何でも俺達に上から命令するなって言ったんだよ! それにアンタは隊長の癖に俺達を見捨てて先に逃げた! いくら大佐に任せられたからってアンタは俺達の隊長だった癖に逃げたじゃないかっ!!」
『何だとぉっ!!』
「アンタがさきに逃げたおかげでカーターが危険な目に遭った! それにマードックも死んだ! アンタが『さき』に逃げたりしなければ、2人は死なずに助かったんだ…――!」
「貴様ぁっ!!」
「大佐なら俺達を絶対見捨てたりなんかしない! なのにお前は一体何だ!? 何様だ! アンタは自分の部隊の仲間を犠牲にしても飽きたらずに、俺達や他の仲間も犠牲にするのかっ!!」
レオンは募りに積もった鬱憤を吐き出すと、命令には従わないと我を張った。ジョンはレオンの口から出た鬱憤を全て聞き通すと向けたマシンガンの銃口を下げた。
「……ああ、そうだとも。俺は腐れ野郎だ。そのうえ仲間を犠牲にしてもやり遂げるような卑怯なヤツだ。犠牲にしてきた数なんてこの際なんとも思わないさ、だけどこればかりは人に何と思われようが譲れねぇ!」
「なっ、何っ!!」
その言葉にレオンは感情を昂ぶらせた。ジョンは真っ直ぐな目で力強く言い放った。
「こんな事で命を落とした仲間らの為にもここで俺達が死ぬ気でやらないといけないんだっ!! でないと死んだあいつらが全員あの世で浮かばれないだろ、違うか――!?」
「っ……!」
「犠牲の上での懺悔も後悔もその時にしてやる! だけどそれは今じゃない、悲しむのも後回しだ! だからもう一度、俺にチャンスをくれ…――! お前達の協力が俺には今必要なんだっ!!」
ジョンは彼らに胸のうちを明かすと素直に協力を仰いだ。リゲル部隊の彼らはジョンの協力に複雑な思いを抱いた。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
麦畑の見える丘で
平木明日香
SF
辺境の星、ガルドープに住んでいた少女ミトと老婦アリスは、血の繋がっていない者たちだった。
戦争で母を亡くしたミトを引き取ったアリスは、10年間、彼女が独り立ちできるように、「星の子」としての教えを説いていた。
いつか、誰もが星を旅立つ日が来る。
戦争で焼き尽くされる野原が目の前にあっても、私たちはいつか、星と決別する日が来る。
だから畑に野菜や穀物を植えて、雨が降る日を待ちなさい。
アリスは言うのだった。
私たちは誰もが完璧ではないのだと。
「言葉」はいずれ形を失い、銀河星雲の星屑の中に消えていく。
運命の砂時計はすでに落ち始めている。
時間の経過の中で絶えず物事は変化し、昨日まであったものは、流れ星となって消えていく。
ミトは願っていた。
いつか星を旅立つ日が来たとしても、2人で過ごしていた時間が、世界のどこかで残っていくこと。
いずれ星と決別する日が来るとしても、アリスに伝えたかった想いが、——「言葉」が、闇の中に閉ざされてしまわないことを。
基本中の基本
黒はんぺん
SF
ここは未来のテーマパーク。ギリシャ神話 を模した世界で、冒険やチャンバラを楽し めます。観光客でもある勇者は暴風雨のな か、アンドロメダ姫を救出に向かいます。
もちろんこの暴風雨も機械じかけのトリッ クなんだけど、だからといって楽じゃない ですよ。………………というお話を語るよう要請さ れ、あたしは召喚されました。あたしは違 うお話の作中人物なんですが、なんであた しが指名されたんですかね。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
星間の旅人たち
阪口克
SF
空を覆い尽くすほどに巨大な星間移民船マザー。今から数千年の昔、多くの人々をその胎内に抱え、マザーは母星を旅立った。
未知の移住星を求めて彷徨う巨大な移民船。この船を護り未知の移住星を開拓するため、マザーセントラルには強大な力を持った護衛軍が存在する。
護衛軍探索部第3課に所属するハイダ・トール軍曹は、ある星での”事件”をきっかけに、出航時刻に間に合わなくなってしまう。 飛び立つマザーを必死に追いかけるハイダ軍曹は、指揮官の助言に従い、船の最末端部から内部へと侵入することに成功した。 しかしそこは、護衛軍の力の及ばない未知の領域だった。
マザー本体から伸びる長大な柱……その内部はセントラルの管理が及ばない世界。何千年もの歴史を積み重ねた、移民たちによる異文明が支配する地であった。 セントラルへの帰還を目指すハイダ軍曹は、移民世界での試練と人々との邂逅の中、巧みな交渉力や戦闘技術を駆使し苦難の旅路を行く。しかし、マザー中心部への道のりは険しく遠い。 果たして、ハイダ・トール軍曹は無事帰還を果たすことができるのだろうか。
GIGA・BITE
鵤牙之郷
SF
「鷹海市にはゾンビがいる」 2034年、海沿いののどかな町で囁かれる奇妙な都市伝説。 ごく普通の青年・綾小路 メロは、ある日ゾンビのように変貌した市民の乱闘に遭遇し、重傷を負う。そんな彼を救ったのは1人の科学者。彼はメロに人体改造を施し、【超獣】として蘇生させる。改造人間となったメロを待っていたのは、1つの町を巻き込む邪悪な陰謀だった…。
※2024年4月より他サイトにて連載、既に完結した作品を加筆・修正したものです。
ライトニング・エクリプス
suepi2007
SF
chatGPTとともに細かい設定を考えました。大まかな設定や主人公の能力設定は自身のイメージで作っています。
「未来の地球で、光と闇の力が交錯する中、18歳の青年が唯一無二の能力を駆使して運命に立ち向かう。彼の名は氷霧碧(ひぎりあおい)。敵対勢力『ルナティック・クラン』との壮絶な戦いが、今始まる…」
「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)
あおっち
SF
脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。
その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。
その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。
そして紛争の火種は地球へ。
その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。
近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。
第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。
ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。
第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。
ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。
本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる