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第7章―消えゆく命の残り火―

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「……レオン、俺には正直わからない。でも間違ってないと信じたい。でないとマードックの死は無意味に終わる。何かをするには犠牲が必要だ。ただそれが、たまたまあいつだったんだ。それにマードックは、カーターを助ける為に自らを犠牲にして助けた。そんなあいつの生きざまを俺達は無意味だったとは思っちゃいけないんだ。それが例えどんなことでも…――!」

 アレックスは思った事を素直に話すと、今にも溢れそうな涙をグッと堪えた。

「何かをするには『犠牲』が必要か。アレックスの言う通り、俺もそうだと信じたい――」

 すっかり落ち込んでいたジェイドは、彼のその話しに、同じく頷いた。ジョンは他の仲間と話し終えると彼らのもとに戻ってきた。

「何をボサッとしている! しけたパンみてぇなツラしやがって! まだ終わりじゃないんだぞ、ボサッとしてるヒマがあるならあいつらと一緒にお前達も防衛に回れ!」

 ジョンは彼らに激を飛ばすと、忙しそうな様子だった。アレックスはキッパリ無理だと答えた。

「ジョン隊長! 我々にはもう、戦う気力も体力もないです――!」

『なにっ!?』

「それに機体の損傷も激しく、燃料も弾薬もあと僅かです! こんなんじゃ的もに戦えません!」

「おい、貴様! 今なんと言った!? 戦えないだと!? 何をそんな、甘ったれた事を言ってるんだお前達!」

戦う意思がない彼らに対して再び激を飛ばした。レオンは、ずっと堪えていた不満と怒りをついに爆発させた。

『うるさい黙れ、俺達はアンタの部下じゃない! 俺達はケイニッフィ大佐の部下であってアンタの部下じゃないんだ! 何でも上から偉そうに命令するなっつ!!』

「何だとおまえっ!!」

 ジョンはカッとなると、レオンにマシンガンの銃口を向けた。

「貴様ぁ、もう一度言ってみろっ!?」

「聞こえなかったのかクソジジィ! 何でも俺達に上から命令するなって言ったんだよ! それにアンタは隊長の癖に俺達を見捨てて先に逃げた! いくら大佐に任せられたからってアンタは俺達の隊長だった癖に逃げたじゃないかっ!!」

『何だとぉっ!!』

「アンタがさきに逃げたおかげでカーターが危険な目に遭った! それにマードックも死んだ! アンタが『さき』に逃げたりしなければ、2人は死なずに助かったんだ…――!」

「貴様ぁっ!!」

「大佐なら俺達を絶対見捨てたりなんかしない! なのにお前は一体何だ!? 何様だ! アンタは自分の部隊の仲間を犠牲にしても飽きたらずに、俺達や他の仲間も犠牲にするのかっ!!」

レオンは募りに積もった鬱憤を吐き出すと、命令には従わないと我を張った。ジョンはレオンの口から出た鬱憤を全て聞き通すと向けたマシンガンの銃口を下げた。

「……ああ、そうだとも。俺は腐れ野郎だ。そのうえ仲間を犠牲にしてもやり遂げるような卑怯なヤツだ。犠牲にしてきた数なんてこの際なんとも思わないさ、だけどこればかりは人に何と思われようが譲れねぇ!」

「なっ、何っ!!」

その言葉にレオンは感情を昂ぶらせた。ジョンは真っ直ぐな目で力強く言い放った。

「こんな事で命を落とした仲間ヤツラらの為にもここで俺達が死ぬ気でやらないといけないんだっ!! でないと死んだあいつらが全員あの世で浮かばれないだろ、違うか――!?」

「っ……!」
 
「犠牲の上での懺悔も後悔もその時にしてやる! だけどそれは今じゃない、悲しむのも後回しだ! だからもう一度、俺にチャンスをくれ…――! お前達の協力が俺には今必要なんだっ!!」

ジョンは彼らに胸のうちを明かすと素直に協力を仰いだ。リゲル部隊の彼らはジョンの協力に複雑な思いを抱いた。
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