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第7章―消えゆく命の残り火―

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「此処には『大人』の人がいません。僕達だけの判断では…ぐすっ…この状況を…ぅぅっ……」

 急に彼が泣き出すと雪矢は固まった。

「それにグラギウス艦長の命令は『絶対』だから…ぐすっ…それに従わないと僕達はグラギウス艦長に怒られます…ひっく…。艦長は怒ると鬼のようにめちゃくちゃ怖い人だから、きっと僕達は彼に銃殺される……! だからお願いします雪矢さん、艦長が戻るまで此処に居て下さい!」

 ジノは泣き落とし作戦で、彼にすがると雪矢は迷った。
 
「そっ、そんな捨て犬のような目で僕を見ないで欲しいね。そんなんで僕が揺らぐと思ってる?」

そう言って両腕を組むと彼らから目を反らした。しかし、まだ無言で見てくる彼らに対して気持ちがついに折れると、雪矢は深いため息をついた。

「――わかったよ。僕の負けだよ。やればいいんだろ、やれば? だからそんな捨て犬のような目で僕を見てくるのは止めてくれるかい?」

 雪矢がそう言って艦長の椅子に座ると、ジノは嘘泣きをやめてニヤッと笑った。

「言っとくけど僕がここに座るのは、グラギウスが戻ってくるまでだからね。で、僕はどうすればいいの?」

オペレーターのジノは、彼に現在の状況について一通り報告した。

「――成る程ね。で、その偵察機の方はいまどうなってるの?」

「はい! 偵察機の方は地上より、本艦の上空をさっきから何度も飛び回っています。恐らく我々がこの基地にいる事を敵は知っているか知らないかのどちらになりますが、この場合は下手に動かない方が賢明かと思います」

「わかった。じゃあ動かない方で決まりだ。そのほうが良いよ。うん、きっと彼だったらそうするだろうね」

 雪矢は艦長の椅子に座ると彼なりに考えた。

「我々がいるのは地下の戦艦収容施設です。恐らく地上からのレーダーでは、敵に感知されにくいかと……」

「それって『安全』て意味? 僕は若いままで死にたくはないからね。ちゃんと安全なのかをこの際ハッキリして欲しいな」

 雪矢は一言言い返すと半信半疑で疑った。

「仮に敵に居場所を発見されても、我々の戦艦には最新のSPS機能が搭載されている為、その場をしのぐことは出来ます」

「え、SPS機能? なにそれ?」

雪矢は不思議そうに首を傾げるとジノに尋ねた。

「SPS機能とは特殊機能のステルス・ファントム・システムのことです」

「何そのステルス何とかって?」

「SPS機能を使用することで戦艦を透明化して、敵に見えにくくする効果があります。また使用時には、敵のレーダーにも感知される心配はありません。そもそもSPS機能はですね――」

 ジノが得意気に説明して話すと、雪矢はそれを遮った。
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