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第7章―消えゆく命の残り火―
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しおりを挟むお前が今日からうちの部隊に配属された新人か?
はい。
お前は何で空戦部隊に入ろうと思ったんだ?
自分にはそれしかなくて……。
本当にそうか?
え…――?
お前は嘘をついているな。俺にはわかる。
僕が……?
ああ、そうだ。本当のことを言え。
こんなこと言ったら今の時代、きっと笑われるかも知れませんけど、俺はただ純粋に空を飛行機で飛びたいんです。空高く飛ぶ自由の鳥みたいにあの空を飛べたらそれだけでも良いんです。
そうか――。
こんなことを言ったら殴られますよね。でも、もしこの世界が戦いがない世界だったら、そんな夢みたいな『希望』もあったらいいなって思ったんです。
――俺がそうさせてみせる。希望がある未来は、絶対に来る。それはいつになるかはわからないが、俺はそうだと信じている。俺もただの飛行機乗りのパイロットだったら、お前が描く『夢』は同じだ。
え……?
あの翼を見ろ、あれは自由の翼だ。それは自由の証しであり、どこにでも好きなところに飛べる事ができる。そこには束縛も柵も何もない。ただ自由にどこにでも行けるんだ。俺はあの翼のように自由でありたい。お前もそう思うだろ?
「はい、大佐…――!」
最後に彼の脳裏に大佐とのいつかの思い出が蘇ると、カーターは両目から涙を流した。そして、彼は静かに瞼を閉じた。その瞬間、彼は自ら自爆しようとする敵のパイロットを道連れにシールドの上空で跡形もなく砕け散ったのだった。その時、彼の命も消え去った。星が燃え尽きる一瞬の煌めきのように儚く――。
空戦部隊の誰もが彼の『勇敢』な死に様に言葉を失うとただ呆然と宙を見上げた。アレックスとジェイドはカーターが敵の機体と共に上空で爆発して砕け散った光景を目の前にすると愕然と言葉を失い。そして、突如深い悲しみと絶望が一気に胸の奥に荒波のように押し寄せた。
『ちぃっ…――! ちくしよぉおおおーーっ!! カーターっつ!!』
ジェイドは2人の仲間達の死に続いて、目の前でカーターがいきなり亡くなると、今まで以上の絶望と深い悲しみに胸が引き裂かれた。
アレックスは呆然と宙を見上げ続けた。砕けて燃え散って行く機体を前に、自分の唇を強く噛み締めると心の声を吐き出した。
「死んでどうするっ…――!」
そんな彼の儚い声はもう、亡くなった死者には届かない。
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