上 下
152 / 193
第7章―消えゆく命の残り火―

36

しおりを挟む
 畜生、もうここまでか…――!? 

 俺は此処でアイツの……!

 ちくしょうっつ!!

 自分の意識が遠退くと、もはや機体を操作する力も彼には残っていなかった。敵はレオンが視界から遠ざかって行くと、その瞬間。逃げるようにして退却して行った。

 マードックの仇を撃てなかった事に僅かに唇を噛み締めた。アレックスはレオンの機体が完全に動けなくなったのを確認すると、急いで彼のもとに駆けつけた。バッと受け止めるとアレックスは声をかけた。

「レオンっ!!」

「くっ…――! アレックス、はははっ、ざまぁねぇな。どうやら力を全部、使い果たしちまったみたいだ。後少しでマードックの仇を、あいつの仇を撃てたのにクソっ!!」

「もう喋るなレオン、お前は十分戦った! これ以上はもう限界だ…――!」

 アレックスはレオンの様子がおかしい事に気がつくと懸命に声をかけた。彼はは動かなくなった機体の中で意識が段々と朦朧としてきた。

 もうそこには戦う体力さえも残ってなかった。敵が視界から遠ざかってくるとレオンは操縦桿を握り締めながら唇を噛み締めた。

「クソッ、逃がすか……! あいつの仇を……! 俺がっ…――!!」

「レオンっ!?」

 アレックスの呼び掛けは彼には届かなかった。レオンは敵の方に手を伸ばすと、まだ諦めてない様子だった。

もう動かなくなった機体なのに、彼は自分の機体を必死で動かそうとした。そんな時、ジェイドはレオンの気持ちに突き動かされると、逃げていく敵に向かってライフルの照準を合わせた。

『レオン、お前の気持ちは無駄にはさせない!』

 ジェイドはレオンが撃ち損ねた敵に向かって、スコープの照準を合わせると銃の引き金を一気に引いた。『仲間の仇』。その思い彼らをより一層、強くさせた。

 ロングライフルから放たれた弾丸は、敵を一撃で貫いた。まさにジ・エンドだった。ジェイドは逃げていく敵を逃がす事もなく銃で撃ち落とすと続けざまにブレークが最後のトドメを刺した。

青い機体は宙で大破すると、木っ端みじんに吹き飛んで跡形もなく大破した。レオンはその瞬間、強気な口調で『ザマァミロ』と呟くと、そのまま完全に気を失ったのだった――。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ヒナの国造り

市川 雄一郎
SF
不遇な生い立ちを持つ少女・ヒナこと猫屋敷日奈凛(ねこやしき・ひなりん)はある日突然、異世界へと飛ばされたのである。 飛ばされた先にはたくさんの国がある大陸だったが、ある人物から国を造れるチャンスがあると教えられ自分の国を作ろうとヒナは決意した。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

妹はわたくしの物を何でも欲しがる。何でも、わたくしの全てを……そうして妹の元に残るモノはさて、なんでしょう?

ラララキヲ
ファンタジー
 姉と下に2歳離れた妹が居る侯爵家。  両親は可愛く生まれた妹だけを愛し、可愛い妹の為に何でもした。  妹が嫌がることを排除し、妹の好きなものだけを周りに置いた。  その為に『お城のような別邸』を作り、妹はその中でお姫様となった。  姉はそのお城には入れない。  本邸で使用人たちに育てられた姉は『次期侯爵家当主』として恥ずかしくないように育った。  しかしそれをお城の窓から妹は見ていて不満を抱く。  妹は騒いだ。 「お姉さまズルい!!」  そう言って姉の着ていたドレスや宝石を奪う。  しかし…………  末娘のお願いがこのままでは叶えられないと気付いた母親はやっと重い腰を上げた。愛する末娘の為に母親は無い頭を振り絞って素晴らしい方法を見つけた。  それは『悪魔召喚』  悪魔に願い、  妹は『姉の全てを手に入れる』……── ※作中は[姉視点]です。 ※一話が短くブツブツ進みます ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

関西訛りな人工生命体の少女がお母さんを探して旅するお話。

虎柄トラ
SF
あるところに誰もがうらやむ才能を持った科学者がいた。 科学者は天賦の才を得た代償なのか、天涯孤独の身で愛する家族も頼れる友人もいなかった。 愛情に飢えた科学者は存在しないのであれば、創造すればいいじゃないかという発想に至る。 そして試行錯誤の末、科学者はありとあらゆる癖を詰め込んだ最高傑作を完成させた。 科学者は人工生命体にリアムと名付け、それはもうドン引きするぐらい溺愛した。 そして月日は経ち、可憐な少女に成長したリアムは二度目の誕生日を迎えようとしていた。 誕生日プレゼントを手に入れるため科学者は、リアムに留守番をお願いすると家を出て行った。 それからいくつも季節が通り過ぎたが、科学者が家に帰ってくることはなかった。 科学者が帰宅しないのは迷子になっているからだと、推察をしたリアムはある行動を起こした。 「お母さん待っててな、リアムがいま迎えに行くから!」 一度も外に出たことがない関西訛りな箱入り娘による壮大な母親探しの旅がいまはじまる。

人生負け組のスローライフ

雪那 由多
青春
バアちゃんが体調を悪くした! 俺は長男だからバアちゃんの面倒みなくては!! ある日オヤジの叫びと共に突如引越しが決まって隣の家まで車で十分以上、ライフラインはあれどメインは湧水、ぼっとん便所に鍵のない家。 じゃあバアちゃんを頼むなと言って一人単身赴任で東京に帰るオヤジと新しいパート見つけたから実家から通うけど高校受験をすててまで来た俺に高校生なら一人でも大丈夫よね?と言って育児拒否をするオフクロ。  ほぼ病院生活となったバアちゃんが他界してから築百年以上の古民家で一人引きこもる俺の日常。 ―――――――――――――――――――――― 第12回ドリーム小説大賞 読者賞を頂きました! 皆様の応援ありがとうございます! ――――――――――――――――――――――

数億光年先の遠い星の話 

健野屋文乃
SF
数億光年離れた遠い星は、かつての栄えた人類は滅亡し、人類が作った機械たちが、繁栄を謳歌していた。そこへ、人類に似た生命体が漂着した。

宇宙のくじら

桜原コウタ
SF
それは、現代と変わらず、だが優れた科学力によって少しだけ発展した世界。絵本「宇宙のくじら」を信じる少年と少女が「くじら」を目指し、宇宙へと旅に出る。

処理中です...