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第7章―消えゆく命の残り火―

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「くそ、くそったれぇっ! こうなったら全力で振り切ってやるっ!!」

「そんな無茶なっ…――!」

 カーターは破天荒破りな彼の作戦に無謀にさえ感じた。

「俺について来いっ!!」

彼は機体の全エネルギーをブースターに回した。

「さあ、ついて来られるものならついてきやがれっ!!」

 ジョンはカーターよりも先に前に突き進んだ。全出力をブースターに回すと驚異的な速さで一気に駆け抜けた。

敵はジョンを取り逃がすと、カーターに狙いを変えた。4機の機体は彼に襲いかかった。ギリギリの選択を迫られると、カーターはジョンのあとを追うように自分もブースターの出力を上げで前を突っ切た。

『わぉああああああーーっ!!』

 意を決して敵の包囲網を突破したその瞬間、前から仲間の機体が近づいて来たのが見えた。それはリゲル部隊の仲間、レオンとジェイドだった。彼らはすれ違い際に、お互いを確認して驚いた。カーターは咄嗟に名前を呼んだ。

「レオンっ……!?」

「その声はカーターか!? お前達、何故!?」

「何故ってそんなのは…――!」

 レオンとカーターはすれ違い際に会話すると、そこで通信が途絶えた。カーターは直ぐに後ろを振り返った。するといきなり敵が撃ったミサイルが機体に突如被弾した。

『しっ、しまったっ!!』

敵の放ったミサイルが機体に被弾すると、全体的に体勢を崩した。さらにブースターの出力も一気に落ちた。そこで足留めをくらうと、敵は一気に襲いかかってきた。

カーターは攻撃を回避するが、両腕に持っている柱が彼の攻撃の手を封じた。レオンとジェイドはその事に気がつくと直ぐにカーターを援護した。

「なあ、それもしかしてあいつが言っていた例のものか……!?」

「ああ、ジョン隊長が言っていた例のものだ! これでプロテクトシールドを再作動できるぞ!」

「その話しは本当かよ!?」

 レオンは驚きを隠せずにいた。興奮した様子で聞き返すとジェイドは悪までも冷静だった。

「落ち着けよレオン。今はカーターを援護するのが先だ!」

「ああ、そうだなジェイド!」

 2人はそこで会話をやめると果敢にも敵を蹴散らした。
 
「何故お前達、戻ってきた……!?」

 カーターは戻ってきた2人につい尋ねた。

「そんなこと決まってるじゃんか! お前達だけじゃほっとけないからな、それにジェイドもほっとけらんないってさ、それに俺達はリゲル部隊の仲間なんだ! どんな苦難も共に乗り越えるのが真の仲間ってやつだろ!?」

レオンが調子の良いことを言うとカーターは少し飽きれながらも笑った。

「ったく、レオン。まったくお前ってやつは…――」

「ジェイドお前もよく戻った。アレックスが聞いたらきっと驚くぞ?」

「いっとくが好きで戻ってきたわけじゃないからな。俺は只このままじゃ、面白くないから戻ってきただけだ……!」

「あははっ、よく言うぜジェイド! お前さっき――!」

『だまれっ!!』

3人はそこで久しぶりの会話をした。たった数分離れていただけなのに彼らはそれが長く感じた。

「ところでアレックスとマードックは?」

「ああ、2人ならあとから来る。それより早く、これを――」

 カーターはレオンにそう話すと、機体の状態を調べた。

「所であのおっさんはどうしたんだよ? さっきから見当たらないみたいだけど、どこに行った? まさかやられたのか?」

 レオンが不意にそのことを話すと、カーターは言いにくそうに答えた。
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