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第5章―生と死の輪舞―(ロンド)
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『動くな!』
「…っ!? グラギウス艦長…――!?」
「その声は桐會? 桐會、そこにいるのか!?」
「はいっ!」
「すまんがこっちに来てくれ!」
グラギウスに呼ばれると結人は慌ただしく駆け寄った。すると、彼はそこで驚いた。
「だっ、大丈夫ですか……!?」
「ああ、なんとかな……。だが、落ちてきた瓦礫に左足を挟まれてしまった。見ての通り身動きがとれない」
「今すぐ瓦礫を退けます!」
「すまんが頼んだぞ……」
結人はそこで落ちていた棒を拾うと、瓦礫の間に棒をさして入れた。
「ふぬぬぬぬっ! ん~~っ! だ、駄目です! 僕の力では全然びくともしません!」
力いっぱいに棒で持ち上げようとしたが、瓦礫は少しもびくともしなかった。グラギウスは無言で頭を抱え込んだ。
「すみません艦長、僕は役立たずです!」
気弱に言うと『グスン』と涙ぐんだ。その言葉に彼は顔を引き攣らせた。
「役立たずではなくヘタレの間違いだ! まさかお前がこんなにも使えないとは…! もういい、こうなったら東と神宮寺を呼んでこい!」
グラギウスは呆れた表情で彼に命令した。すると結人はそこで思い出した。
「そうだ! 艦長、大変なんです……! 美岬が勝手に、ここの基地の戦闘機に乗って戦場に出て行っちゃいました! 僕は外は危ないって言ったんですけれど、なのに美岬のわからず屋は艦長の命令を無視して出て行っちゃったんです――!」
「なっ、何!? 東が……!?」
「ハイ!」
「まさか東が他の機体に乗れるなんて…――」
その話しにグラギウスは驚き。信じられない様子を見せると、自分の口に手を当てて考え込んだ。
「かっ、艦長……!」
「なんだ?」
「美岬が今ピンチなんです! 僕は美岬を助けに行きたいんです!」
「――やめるんだ桐會。お前が戦場に出ることは危険だ。東はお前が思っているよりも強い男だ。彼なら上手く乗りきれるだろう」
「そっ、そんなぁ……!」
「それより神宮寺はどうしたんだ?」
「隼人隊長とは、はぐれました! 僕は美岬の後を追ってここまで来ました!」
その話しを聞いた途端に彼はため息をついた。
「――桐會。お前はどこまでおめでたいんだ? 聞いて呆れてしまうとはまさにこの事だ」
「ぼっ、僕は美岬が心配なだけです…――!」
「ああ、わかったわかった。横で騒ぐな。余計に頭が痛くなる」
グラギウスは困った表情を浮かべると、最後の手段を使った。
「仕方ない。ここの位置をエヴァリアの艦にいるクルー達に知らせる。しかし、さっきから電波が悪い状況だ。この小型の通信機が上手く使えるかどうか……。お前が神宮寺を連れて来られるなら私は助かるんだがな」
そう言って話すと結人の顔をチラッと見た。
「わっ、わかりました! 僕が隼人隊長を連れて来ます!」
「そうか。じゃあ、頼んだぞ?」
「ハイッ!」
結人は彼に向かって明るく返事をすると、その場を離れて急いで隼人を呼びに行った。グラギウスは結人がいなくなると、小型の通信機で艦にいるクルー達にSOS信号を送った。そして数分後、結人は慌ただしく戻ってきた。しかし、そこには彼の姿はなかった。グラギウスは不意に尋ねた。
「…っ!? グラギウス艦長…――!?」
「その声は桐會? 桐會、そこにいるのか!?」
「はいっ!」
「すまんがこっちに来てくれ!」
グラギウスに呼ばれると結人は慌ただしく駆け寄った。すると、彼はそこで驚いた。
「だっ、大丈夫ですか……!?」
「ああ、なんとかな……。だが、落ちてきた瓦礫に左足を挟まれてしまった。見ての通り身動きがとれない」
「今すぐ瓦礫を退けます!」
「すまんが頼んだぞ……」
結人はそこで落ちていた棒を拾うと、瓦礫の間に棒をさして入れた。
「ふぬぬぬぬっ! ん~~っ! だ、駄目です! 僕の力では全然びくともしません!」
力いっぱいに棒で持ち上げようとしたが、瓦礫は少しもびくともしなかった。グラギウスは無言で頭を抱え込んだ。
「すみません艦長、僕は役立たずです!」
気弱に言うと『グスン』と涙ぐんだ。その言葉に彼は顔を引き攣らせた。
「役立たずではなくヘタレの間違いだ! まさかお前がこんなにも使えないとは…! もういい、こうなったら東と神宮寺を呼んでこい!」
グラギウスは呆れた表情で彼に命令した。すると結人はそこで思い出した。
「そうだ! 艦長、大変なんです……! 美岬が勝手に、ここの基地の戦闘機に乗って戦場に出て行っちゃいました! 僕は外は危ないって言ったんですけれど、なのに美岬のわからず屋は艦長の命令を無視して出て行っちゃったんです――!」
「なっ、何!? 東が……!?」
「ハイ!」
「まさか東が他の機体に乗れるなんて…――」
その話しにグラギウスは驚き。信じられない様子を見せると、自分の口に手を当てて考え込んだ。
「かっ、艦長……!」
「なんだ?」
「美岬が今ピンチなんです! 僕は美岬を助けに行きたいんです!」
「――やめるんだ桐會。お前が戦場に出ることは危険だ。東はお前が思っているよりも強い男だ。彼なら上手く乗りきれるだろう」
「そっ、そんなぁ……!」
「それより神宮寺はどうしたんだ?」
「隼人隊長とは、はぐれました! 僕は美岬の後を追ってここまで来ました!」
その話しを聞いた途端に彼はため息をついた。
「――桐會。お前はどこまでおめでたいんだ? 聞いて呆れてしまうとはまさにこの事だ」
「ぼっ、僕は美岬が心配なだけです…――!」
「ああ、わかったわかった。横で騒ぐな。余計に頭が痛くなる」
グラギウスは困った表情を浮かべると、最後の手段を使った。
「仕方ない。ここの位置をエヴァリアの艦にいるクルー達に知らせる。しかし、さっきから電波が悪い状況だ。この小型の通信機が上手く使えるかどうか……。お前が神宮寺を連れて来られるなら私は助かるんだがな」
そう言って話すと結人の顔をチラッと見た。
「わっ、わかりました! 僕が隼人隊長を連れて来ます!」
「そうか。じゃあ、頼んだぞ?」
「ハイッ!」
結人は彼に向かって明るく返事をすると、その場を離れて急いで隼人を呼びに行った。グラギウスは結人がいなくなると、小型の通信機で艦にいるクルー達にSOS信号を送った。そして数分後、結人は慌ただしく戻ってきた。しかし、そこには彼の姿はなかった。グラギウスは不意に尋ねた。
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