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第5章―生と死の輪舞―(ロンド)
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機材が並べられている部屋に案内されると、中央に置いてあるモニター画面を操作してそれを結人に見せた。画面には第8エリアで敵と戦う美岬の姿が映し出された。結人はそれを見るなり激しく動揺した。モニター画面の音声からは彼の苦しむ声が聞こえた。
「みっ、美岬……! 美岬、美岬どうしたの!? ねぇ、美岬ぃっ!!」
結人はモニター画面に両手をつくと、無我夢中で話しかけた。整備士はそれを見かねると結人を画面から引き離した。
「呼び掛けても無駄だよ。恐らくこの状況では、まともに彼からの返事はない。それに通信回線もさっきから調子が悪い状況だ。やるだけ無意味だ――」
「ッ…! みっ、美岬に何があったんですか!? どうして美岬はあんなに苦しんでるんですか! 一体何がどうなってるのか説明して下さい!」
そう言って整備士に詰め寄ると回答を求めた。すると、彼は淡々と答えた。
「彼は君がここにくる前にアビスに乗って戦場へと向かった。そして第8エリアで戦っている仲間の下に駆けつけに行ったんだ。でもよりによって相手が悪かった。今戦っている相手はミストラル部隊の隊長機と、敵のエースのパイロット機だ。恐らく彼一人の力では、倒せないかもしれない。ましてやZナンバーの機体と相手じゃ……」
整備士は結人にそう話すと暗い顔で俯いた。
「ひとりで……? どうして一人で戦って――? 美岬は一人で戦っているんですか!? 他に仲間はいないんですか……!?」
「…残念だが、アビスで結成されているアハティ部隊は、敵にやられてほぼ壊滅している。恐らく今生き残っているアビスの機体は、彼とあそこのパイロットしかいないだろう……」
「壊滅……!? そ、そんな…――!」
結人はその言葉に激しく心が動揺した。
「辛いと思うがこれが現実だ。敵の方が一枚上手だったんだ。それに彼らの状況も危ない。一人は戦意喪失。そして、もう一人は精神的にも極めて危ない状況だ。この状況が長く続けば間違いなく彼らの身が危ない!」
「そっ、そんなっ……!」
その言葉に結人は顔が青ざめると、今にも泣きそうな顔を見せた。
「美岬を助けに行かなくちゃ……! 他に乗れる機体はないんですか……!?」
「――残念だが、他に乗れる機体はここにはもう残っていないんだ。彼が乗っていた機体がここの最後の機体だ。もし、乗れる機体があったら君に今直ぐにでも頼みたいさ。でも無理なんだよ」
彼はそう話すと悔しそうに自分の唇をぎゅっと噛み締めた。結人は、居ても立ってもいられなくなると激しく取り乱した。
「嫌! そんなの嫌ぁっ!! そんなの聞きたくない! ねえ、なんとかしてよ……! 僕は彼の処に行かなくちゃならないんだからぁっ!!」
そう言って結人は悲痛な思いで彼に詰め寄ると、涙を流して訴えた。すると整備士はある物を手渡した。
「みっ、美岬……! 美岬、美岬どうしたの!? ねぇ、美岬ぃっ!!」
結人はモニター画面に両手をつくと、無我夢中で話しかけた。整備士はそれを見かねると結人を画面から引き離した。
「呼び掛けても無駄だよ。恐らくこの状況では、まともに彼からの返事はない。それに通信回線もさっきから調子が悪い状況だ。やるだけ無意味だ――」
「ッ…! みっ、美岬に何があったんですか!? どうして美岬はあんなに苦しんでるんですか! 一体何がどうなってるのか説明して下さい!」
そう言って整備士に詰め寄ると回答を求めた。すると、彼は淡々と答えた。
「彼は君がここにくる前にアビスに乗って戦場へと向かった。そして第8エリアで戦っている仲間の下に駆けつけに行ったんだ。でもよりによって相手が悪かった。今戦っている相手はミストラル部隊の隊長機と、敵のエースのパイロット機だ。恐らく彼一人の力では、倒せないかもしれない。ましてやZナンバーの機体と相手じゃ……」
整備士は結人にそう話すと暗い顔で俯いた。
「ひとりで……? どうして一人で戦って――? 美岬は一人で戦っているんですか!? 他に仲間はいないんですか……!?」
「…残念だが、アビスで結成されているアハティ部隊は、敵にやられてほぼ壊滅している。恐らく今生き残っているアビスの機体は、彼とあそこのパイロットしかいないだろう……」
「壊滅……!? そ、そんな…――!」
結人はその言葉に激しく心が動揺した。
「辛いと思うがこれが現実だ。敵の方が一枚上手だったんだ。それに彼らの状況も危ない。一人は戦意喪失。そして、もう一人は精神的にも極めて危ない状況だ。この状況が長く続けば間違いなく彼らの身が危ない!」
「そっ、そんなっ……!」
その言葉に結人は顔が青ざめると、今にも泣きそうな顔を見せた。
「美岬を助けに行かなくちゃ……! 他に乗れる機体はないんですか……!?」
「――残念だが、他に乗れる機体はここにはもう残っていないんだ。彼が乗っていた機体がここの最後の機体だ。もし、乗れる機体があったら君に今直ぐにでも頼みたいさ。でも無理なんだよ」
彼はそう話すと悔しそうに自分の唇をぎゅっと噛み締めた。結人は、居ても立ってもいられなくなると激しく取り乱した。
「嫌! そんなの嫌ぁっ!! そんなの聞きたくない! ねえ、なんとかしてよ……! 僕は彼の処に行かなくちゃならないんだからぁっ!!」
そう言って結人は悲痛な思いで彼に詰め寄ると、涙を流して訴えた。すると整備士はある物を手渡した。
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