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第23章ー少年と隊長ー
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ハルバートは目の前にいる彼女を自分の方に引き寄せると、膝の上に座らせた。
「キャッ! ハルバートったらダメよ、ダメ!」
「ウフフ、もう……!」
リーナを膝に座らせると彼はふざけ半分で彼女の体を触って首筋にそっとキスをした。そして、彼女のやわかい胸に顔を埋めるとそこで目を閉じて呟いた。
「ああ、やっぱりお前の胸が一番だよ…――」
「ホントに? そう言って誰にでも、言ってるんじゃない?」
「バーカ。俺はそんな安っぽいことは誰にも言わねーよ。お前だから言うんだ……」
「ハルバート…――」
リーナはその言葉に胸が自然と、ときめいた。彼女は優しく微笑むと、そのまま彼の頭を優しく撫でた。
「……なんかこうしていると、お袋を思い出す。お前はホント良い女だ」
ありのままの気持ちを彼女にそう話すと、ハルバートは穏やかな表情で笑った。
「まあ、じゃあ貴方は私の子供? 随分と大きな子供ね?」
「茶化すなよ」
二人はそこで楽しげな様子で恋人同士の会話を弾ませた。するとリーナが不意に思い出した。
「そうだったわ。ねぇ、パンケーキ焼いたの。食べる?」
「ああ、じゃあ食べる」
「わかったわ」
リーナはテーブルの上に置いてあったパンケーキにハチミツの甘いシロップをかけると、お皿を彼に手渡した。
「あ、そうそう。フォークを忘れてた。ちょっと待ってて――」
彼女はそこでフォークを取りに膝の上から立ち上がった。すると彼は、彼女のことを離そうとはしなかった。
「ハルバート、フォークを取りに行くから私を離してちょうだい」
「いいさ、そんなもの。お前が手で食べさせてくれよ」
「手で?」
「ああ、良いだろ?」
「ウフフッ。貴方ったら、今日は甘えん坊ね。いいわよ」
そう言って彼女はクスっと悪戯に笑うとパンケーキを指先で千切った。そして一切れ摘まんで彼の口に運んだ。
「どう、美味しい?」
「ああ、前より美味くなってる。でも、バターがないからな……」
「じゃあ、取りに行ってもいい?」
「ダメだ」
そう言って彼女にイジワルな口調で答えた。
「キャッ! ハルバートったらダメよ、ダメ!」
「ウフフ、もう……!」
リーナを膝に座らせると彼はふざけ半分で彼女の体を触って首筋にそっとキスをした。そして、彼女のやわかい胸に顔を埋めるとそこで目を閉じて呟いた。
「ああ、やっぱりお前の胸が一番だよ…――」
「ホントに? そう言って誰にでも、言ってるんじゃない?」
「バーカ。俺はそんな安っぽいことは誰にも言わねーよ。お前だから言うんだ……」
「ハルバート…――」
リーナはその言葉に胸が自然と、ときめいた。彼女は優しく微笑むと、そのまま彼の頭を優しく撫でた。
「……なんかこうしていると、お袋を思い出す。お前はホント良い女だ」
ありのままの気持ちを彼女にそう話すと、ハルバートは穏やかな表情で笑った。
「まあ、じゃあ貴方は私の子供? 随分と大きな子供ね?」
「茶化すなよ」
二人はそこで楽しげな様子で恋人同士の会話を弾ませた。するとリーナが不意に思い出した。
「そうだったわ。ねぇ、パンケーキ焼いたの。食べる?」
「ああ、じゃあ食べる」
「わかったわ」
リーナはテーブルの上に置いてあったパンケーキにハチミツの甘いシロップをかけると、お皿を彼に手渡した。
「あ、そうそう。フォークを忘れてた。ちょっと待ってて――」
彼女はそこでフォークを取りに膝の上から立ち上がった。すると彼は、彼女のことを離そうとはしなかった。
「ハルバート、フォークを取りに行くから私を離してちょうだい」
「いいさ、そんなもの。お前が手で食べさせてくれよ」
「手で?」
「ああ、良いだろ?」
「ウフフッ。貴方ったら、今日は甘えん坊ね。いいわよ」
そう言って彼女はクスっと悪戯に笑うとパンケーキを指先で千切った。そして一切れ摘まんで彼の口に運んだ。
「どう、美味しい?」
「ああ、前より美味くなってる。でも、バターがないからな……」
「じゃあ、取りに行ってもいい?」
「ダメだ」
そう言って彼女にイジワルな口調で答えた。
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