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第23章ー少年と隊長ー

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 ヴァジュラはタルに入ったお酒を美味しそうに飲んでいた。
 
  『ダッハッハッハッ、良い飲みっぷりだ!』
 
 「どうだ美味いだろ~? まだまだあるから、じゃんじゃん飲めよー!」
 
 ハルバートは上機嫌に笑うと、ヴァジュラに酒をススメながらも自らもタルに入ったお酒を手で掬って飲み始めた。
 
 「くあ~っ!! うめぇ、最高だ! やっぱりここの名産品の酒は美味いぜ!! この大陸グラスガヴナンはクソだが酒だけは美味い! な、そうだろ相棒」
 
  彼は極上のお酒に酔いながら更にタルの中に入ったお酒を手で掬って飲み続けた。ヴァジュラもハルバートと一緒に舌でチビチビとお酒を味わった。ユングは見てはいけない光景に唖然となると、そこで固まりながら顔をひきつらせた。 
 
 「くぅーっ、上物のお酒はうめぇな! サラミやチーズと一緒に飲んで食ったらマジで最高!」
 
  そう言ってタルに入ったお酒を一心不乱に、無我夢中で飲み続けた。ヴァジュラも彼に負けじとお酒をチビチビと飲んだ。2人の息の合った見事な連携プレイにユングはただ呆然と黙って見ていた。
 
 
 「あ~片手で掬って飲むのも面倒だ! おい、ヴァジュラちょっと顔を退けろ!」
 
 ハルバートはそう言ってタルの脇に自分の両手をつくと、躊躇いもなく頭ごと中に突っ込んで飲んだ。
 
 
 えぇ~~っ!!
  
 
  目を疑うような信じられない光景に、そこで仰天した声を上げた。
 
  
 嘘、し、信じられない……!! 
 ハルバート隊長、タルの中に頭を入れてお酒を飲んでる……!!
 
 
あの人、よっぽどお酒が好きなんだ……! 何か凄く見ちゃいけないものを見た気がする……!
 

  ユングは遠巻きで観察しながらも、彼が大のお酒好きだと言うことがわかった。
 
 
 『ぷっはーっ!! マジでうめぇ! ヤバい、美味すぎて止まらねー!』
 
 
  彼は好きなだけ飲むとタルから頭をあげた。辺りにはお酒の臭いが漂った。あれだけあったタルの中身も、お酒が半分くらい減っていた。ハルバートはヴァジュラにも同じことをススメた。 
 
 
 「どーよ、お前もやれ。この方がいっぱい飲めるぞ?」
 
  ヴァジュラは彼に命令されると、見よう真似でタルの中に顔を入れて飲んだ。タルの中に口を突っ込むと、そのままタルを宙に浮かせた状態でゴクゴク飲んだ。

 ハルバートは手拍子で音頭をとりながら一気飲みさせたのだった。ユングは見ていられなくなると残念な顔で深いため息をついた。
 
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