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第23章ー少年と隊長ー
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しおりを挟む「ゼェゼェ…! だ、だめだ…! 僕じゃ全然、相手にならないよ…。ご飯も食べないで寝ちゃう何て、あとでお腹空かせても知らないよ!?」
ユングはボロボロになりながらそう話すと、寝ているヴァジュラの傍から離れた。柵から出ると、斜め向かいにリューケリオンが大人しくしていた。青くて大きな瞳がジッと彼を見つめていた。ユングは気がつくとリューケリオンが入る柵の前に立って話しかけた。
「やぁ、リューケリオン元気? お前も餌を食べるかい?」
ユングは食用の大きな草を手に持つと、それを顔をに近づけた。リューケリオンはヴァジュラとは逆に、その餌を一口食べた。
「あっ、食べた……! リューケリオンもっと食べるかい?」
ユングはそう言って話しかけると餌箱に草を沢山入れた。
「さあ、もっといっぱい食べていいよ!」
そう言って話すとユングは楽しそうに笑った。しかし、リューケリオンは一口食べただけで餌を食べるのをやめた。ユングはそこで不思議そうに首をかしげた。
「どうしたのリューケリオン。食べないの?」
そこで彼は両手に草の葉を持って話しかけた。すると再び、リューケリオンはそれを食べた。
「あっ、そうか……! こうやって食べさせて欲しいんだね!?」
ユングはそこで閃くと餌を手で直接食べさせてあげた。リューケリオンは餌をお腹いっぱいに食べると、鼻先で彼の匂いを嗅いだ。
「どうしたのリューケリオン? ひゃっ、くすぐったいよ……!」
リューケリオンは彼の匂いを嗅ぎ終わると、顔を舌でペロッと舐めた。ユングは、始めそれが解らなかったが。そこであることが頭に過った。
「そ、そうか……! 僕をリーゼルバーグ隊長だと思っているのか! そうだよね、リューケリオン?」
そう言って話すと顔を手で優しく撫でた。
「リューケリオン。あの時、助けてくれてありがとう。リーゼルバーグ隊長が言ってたんだ。竜の魂のこと――。それが凄く大切なモノだって教えてくれた。それを分け与えて僕は今こうして生きていられるんだ。 ありがとうリューケリオン。君は優しいね。もちろん、リーゼルバーグ隊長も優しいよ。僕は君達に心から感謝しているんだ。いつかあの人に恩返し出来たら嬉しいな。僕も君ともっと仲良くなれるかな? ねぇ、リューケリオン…――」
ユングはそう話すと竜の顔を優しく撫でた。小屋の中で暖かい日射しを浴びていると急に眠くなってきたのを感じた。目をこするとリューケリオンの傍で睡眠をとる事にした。敷き詰められた藁の上で横になると、間もなく寝に入った。少し疲れたのか、寝つきが良かった。リューケリオンは傍で眠る彼を優しい眼で見守った――。
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