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第22章ーセフィロトの兄弟ー

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「――ガブリエル、お前は可哀想な弟だよ。同じ『兄弟』であるのに、お前だけ私達と違うのだからな……。その所為で未だに兄さんに自分の弟として認められないなんて。お前にとって運命は、あまりにも残酷だ」

「ッ……! 何だよその目は、俺を哀れんでる気か!?」

 そう言って彼の胸ぐらを両手で掴むと、感情を剥き出した。ラファエルは弟の悲しみと苦しみを理解していた。だからこそ傍に寄り添って、口に出すべきではない言葉をあえて言った。

「哀れみの同情ならやめろ! 同情されるだけ、こっちは寒いだけだ……! 兄貴に俺の気持ちがわかるかよ…――!」

「ただの同情だけで、この胸が痛くなったりするものか……!」

 そう言って言い返すと、両手を彼の首の後ろに回して包み込むように抱きしめた。急に抱きしめられると、ガブリエルは突然の事に驚いて唖然とした。

「私はそんなお前が不憫でならないんだ……! ただ姿と形が違うだけで、同じ兄弟だと言うのにお前だけ愛される事も、認めらる事も、触れ合う事も出来ないなんて…――!」

 ラファエルは自分の弟が悲しい孤独を背負っている事に胸を痛めると、彼を優しく抱きしめた。一瞬カッとなって突き離そうとした。だが、慈愛に満ちた優しい両手にいだかれると、何故か凍っていた心が安らぐのを感じた。そこで自分の両手を彼の背中に回すと抱きしめ返した。そして、腕の中で一筋の涙を流した。

「っ……本当に兄貴はお節介なんだよ、俺なんか構わずにほっとけば良いのによ…――!」

 誰にも見せない弱さを彼の前で曝すと、その涙を受け止めるように優しく話した。

「当たり前だろ。私はお前の兄さんなんだから、弟にお節介を焼くのは兄として当然だろ?」

 その言葉にガブリエルは、彼の弟を思う愛情の深さに気付かされると、そっと肩越しで呟いた。

「ラファ兄ぃ、ありがとな……」

「ああ…――」

 兄弟はそこで抱き合うと、離れてしまいそうな心を一つに通わせたのだった。 
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