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第14章―魂の在りか―

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「私にはブライアン団長の役目は重すぎます……! それにそんな重大な任務を私ごときが簡単に引き受けることは出来ません! 皆で話し合って決めたほうがよいかと…――!」

 動揺するアレンにバーシルは意を唱えた。

「そんなことは無論承知である。だが、今この王宮騎士団に必要なのは、実力がある者のが団を率いるリーダー的存在だ。ブライアン団長が死んで誰が彼の役目を担うと言うのだ? 貴公にはその頭角があるからこそ、私は頼んでいるのだ。それにこんなチャンスは滅多にないぞ?」

「ですが…――」

「なら、王宮騎士団を抜けて将軍としての出世の道を歩むか? 今ならまだ間に合うぞ。それに貴公は王宮騎士団で治まるような器ではなかろう――」

「そ、それは……!」

 アレンは顔をうつ向かせると沈痛な表情で口を閉ざした。

「バーシル大臣……!」

「何だシュナイゼル?」

「ブライアン団長の件に関しては、私に全て任せてはくれませんでしょうか? 我が王宮騎士団でその話を慎重に検討して行こうと思う次第でございます」

「ほう、では貴公らで会議を開くがよい。だが、私に言わせればアレンのほかに現時点で団長が務まる者はいないと思うがのう。ホホホッ」

 バーシルは目を細目ながら優雅に笑った。重苦しい雰囲気の中で大臣から突きつけられた突然の選択。戸惑うアレンをシュナイゼルは顔色を伺いながら様子をみた。そこに突如、シュゼットが扉を開いて慌てて入ってきた。

「ルワン王がお目覚めになりました! 王は今、テラスに居ます!」

「おお、ルワン王がお目覚めになられたか! では、我々も急ごうとしよう!」

「は、はい…――!」

「シュナイゼル殿、王宮騎士団一行が城へと到着したので今から王から話があるかと――」

 シュゼットは慌てて出ていく2人にそのことを告げた。2人は謁見の間から出て行くと、王がいるテラスへと向かった。階段を上へと上がると3階を上がって直ぐに一望を見渡せるテラスがある大広間の部屋へと向かった。部屋に入ると、王はテラスから手を振っていた。歓声が上がる中、王は下に集まっている彼らに向けて声をかけた。

「王宮騎士団達よ、よくぞ無事に戻ってきた! お前達の活躍は聞いておる。今は戦での疲れをとるがよい! 敵は我が国、ローディンを侵略しようとしているのはお前達もすでに知っているはずだ! 東のサンドリア王国が同盟を破り、突然の進軍を始めたのは言うまでもない! 200年の同盟が破られた今、我々はそれに抵抗しなくてはこの国は敵に侵略を受けることになるだろう! 敵の狙いは不明だが、奴らをこの国から一刻でも早く追い出さなくてはならない! 敵の進軍を防ぐには我が軍とお前達、王宮騎士団達の力が必要だ! 王宮騎士団達よ気を引き締めて戦うがよい! 皆の者、剣を掲げよ! これは国の存亡を賭けた戦いである! 血を大地に捧げ、侵略しようとする者をその刃で打ち倒すのだ! 全ては愛する者を守る為に! 我がローディンに栄光あれ――!」

 王は持っている剣を天へと掲げると魂の言葉を力強く唱えた。魂を揺さぶる言葉に王宮騎士団達は、王の前で己の剣を天へと掲げたのだった。そして、一同は次々に言葉を発して己を奮い立たせた。


――ローディンに栄光あれ!――


 彼らの魂の揺さぶる声はその日、夕陽が満ちる空の天上へと響き渡った。


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