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第13章―箱庭の天使達―
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しおりを挟む「ぷっ、あはははっ! 何を言うのかと思えばそんなこと? 君って面白いね。大丈夫だよ、ボクは誰の側にもつかない天使だからさ。それがボクの存在理由なんだから心配しないでよ」
ラグエルはそこで笑い始めると、ケラケラと可笑しそうに笑った。
「ボクたち天使にはそれぞれ役目があるのは知ってるよね? ボクは終りの笛を吹く天使でもあるけど、キミ達天使を監視する役目を持つ。それはキミたちから与えられた役目じゃない。ボクは神から与えられた役目を果たしているだけだ。だがらボクは誰の側にもつかない。それがボクなんだから、ボクはただキミたちを監視してるにしか過ぎないよ。そこに干渉するつもりもないけどね?」
彼は悪戯に笑うとそう話した。ウリエルはその話しに眉間にシワを寄せた。
「――では、きみはドミニオン様の側の者ではないと言うのか?」
ウリエルのその質問にラグエルは呆れた様子で答えた。
「キミも口説いな。ボクは口説い奴は嫌いだよ」
「じゃあ、きみは何故ドミニオン様と一緒にいる?」
「ねぇ、ウリエル。きみはボクを信じてないの?」
「ああ。きみの話を信じるほど僕は馬鹿じゃないからね。それにここ数年は天界は大きな混乱に包まれている。それに付け加えて、治安も悪い状況だ。今では、誰を信じていいのかさえも正直わからないのが現状だ。仮にきみを信じた所でも寝首をかかれるかもしれないだろ?」
ウリエルは瞳の奥を光らせると警戒心を強めた。
「それはキミの思い込みじゃないのか? ボクはそんな事はしない。神に誓ってもいい。ボクたちはみんな兄弟なんだから仲良くしようよ?」
警戒する彼とは違い。ラグエルは楽天的になりながら言い返した。
「そんなに心配なら一つ教えてあげる。ボクがあいつと一緒にいるのは単に興味があるからだ。今の所、ボクは彼に興味があるから一緒にいる。只それだけだ。他に興味をひかれる者がいたらボクは彼から離れるけどね。ボクは監視役の天使にしか過ぎないよ。彼と手を組む気があったら、とっくの前から手を組んでいるだろ。そうとは思わないかいウリエル?」
ラグエルは彼に言い返すと、悪戯な顔を見せたのだった。
「あーあ。ボクってホント信用ないんだね。ボクがそんなことをすると思う? なんだかガッカリしちゃうなぁ」
そう言って彼に一言文句を呟くと、背中の翼を広げて宙を浮いた。そして、両足を組むと呆れた表情で頬杖をついた。
「じゃあ、この宮殿に何しに来たんだ。外にいる衛兵を欺いて忍び込むなんて、あまり良いとは思えないね?」
「忍び込むとはちがうな。それがボクのスタイル何だ。ボクはもともと姿がない天使だからね。つまり自分の意思さえあればボクはどこにだって自由に行ける。姿を消してキミの宮殿に忍び込んだのはキミと会わない為でもあったんだけど、どうやらボクの誤算だったなぁ」
ラグエルは呆れた様子で答えると悪戯に笑って見せた。
「そうだったのか。でも、きみが僕の宮殿に足を踏み入れた時点で、僕は直ぐに気づいていたけどね。きみの気配を感じとれないほど、僕は愚かじゃない。残念だったね、ラグエル」
ウリエルは目を細めると、瞳の奥を光らせた。
「率直にきくけど、きみは何しに僕の宮殿に来たんだい? 僕はこれでも忙しい身だからね。キミの遊びに構ってるほど、暇じゃないんだよ」
「ボクはミカエルに会いに来たんだ。彼がここにいるのは、わかってるよ」
「………」
ラグエルのその言葉にウリエルは沈黙して黙り込んだ。
「ミカエルはここにいるんだよね? 彼に会わせてよ?」
彼が再び聞き返すと、ウリエルは一言言い返した。
「――彼は、ここにはいないよ」
「そんなはずないよ。だってあのジーさんが、ミカエルはここにいるってボクに話してくれたし」
「ドミニオン様がきみに……?」
「ああ、そうだよ。いつもはケチなジーさんだけど、機嫌が良いと時は、何でも教えてくれるんだ。で、本当のところはどうなの? 彼はここにいるんだよね。それともキミのうしろで寝ている人がミカエル?」
ラグエルは興味本意で彼に尋ねると、翼を閉じて地面に着地した。
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