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第10章―決着の行く末―  

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「どうだ。電撃と秘孔撃を一気に喰らった気分は? さすがのお前でもそう簡単には立ってらんないだろ。まあ、手加減してやったから安心しろ。ただ一時的にだが、体は動けなくさせてもらった。テメェがまた何をすかわかわからないからな。先手を打たせてもらったぜ。悪く思うなよ」

 ハルバートはそう言って背中を向けると、そこで格の違いをまざまざと相手に見せつけた。ケイバーは雪原の上に倒れたまま、皮肉混じりに吐き捨てた。

「ハァハァ……や、やってくれるぜ……今に覚えてろよ、テメェなんざ、倍返ししてやる…――!」

 そう言い放つと、苦しそうな表情で顔を歪ませた。ハルバートは黙って後ろを振り向くとそこで言い返した。

「ちったぁ、度胸があるじゃねーか? さすが坊ちゃんの取り巻きだ。その根性だけは認めてやる。いいぜ、やれるもんならやってみろ。だが、次は俺も手加減しねーからな! お前が倍返しならこっちも倍返ししてやるまでだ!」

 黒いマントを翻すと、ハルバートは囚人の方に近づなり質問をぶつけた。

「おい! お前は一体誰だ!? 何故あそこから逃げた!? それに何故あんなオーブを持っている!? 顔くらい見せたらどうだ!?」

 囚人は彼の質問に対して、頑なに口を閉ざしていた。男はローブを身に纏い。頭までフードを被っていて素顔を見ることはできなかった。

「オーチスとはどういう関係だ!? それにお前はどうやってあの牢獄から外に抜け出した!? それに何故こんな場所まで逃げた!? ここに逃げたんなら、それなりの理由があってもおかしくないはずだ! それに第一お前の足の早さは明らかに普通とは違うぞ! さあ、黙ってないで今すぐ質問に答えろ!」

 ハルバートはそこで尋問すると、男の方へとジリジリと近づいた。囚人は後ろに一歩下がると断崖の崖下の手前で逃げ場を失った。これ以上後ろに下がれば、崖から真っ逆さまに転落して海に落ちるのは囚人にでさえわかっていた。

「早まるなよ。お前には聞きたいことがまだ山ほどあるんだ。それに掴まえてもお前に危害は与えない。俺が身の安全を保障してやるから、おかしな真似だけはするな!」

 そう言って相手を説得すると、大人しく投降するようにと話しかけた。すると今まで頑なに口を閉ざしていた囚人が口を開いて話した。

「来るな! 身の安全を保障するなんてデタラメだ! 俺にはわかるんだぞ! 俺は命をかけて必死にここまで走って逃げてきたんだ……! 今さらあんな所に戻ってたまるかよ! 戻るくらいなら一層…――!」

 彼はそう話すと、真上から崖下を恐る恐る見下ろした。海面は激しく波を打ち寄ていた。ここから飛び込めば、一溜まりもない事は囚人でさえわかっていた。ハルバートは突然、怒鳴り声を上げた。

「おい、てめぇ! オーチスはどうなってもいいのか!? 仮にもお前を逃がしてくれたんだろ!? そいつを見捨てる気か!?」

 そう言って言い放つと囚人は一言、意味深な言葉を呟いた。

「ああ、あのイカれた看守の奴か――。オーチスだが、チェスターだが知らねえけどな。悪いがそんな奴の名前なんかいちいち覚えてられるか! 知っていたとしても違うかも知れねぇだろ!?」

「何っ!?」

「俺を牢屋から逃がしてくれた事には一言礼は言っとく! じゃあ、あばよ!」

 囚人はそこで後ろを向くと、海に向かって突然飛び込もうとした。

『まっ、待て…――!』

 ハルバートは咄嗟に反応するとその場で制止して引き留めようとした。すると突然、ボウガンの矢が囚人の背中に命中した。

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