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第9章―ダモクレスの岬―

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「おいおいおたくら、張り切りすぎてる所をわるいけど、本気で突っ込もうとかバカな事は考えていないよなぁ? まさか本気で突っ込む気か?」

 ケイバーの質問にリーゼルバーグは答えた。

「ほかに案があるなら聞いてやる。無いならそこで黙っていろ!」

 彼がそう言い返すと、ギュータスが笑いながらケイバーに話しかけた。

「やっぱりお前はチキン野郎だな。そんくらいでビビってちゃ、四天王とは言えないぜ。なんならアイツにお前がビビってたことをあとで報告しておいてやる」

「誰がチキンだ! 俺はまだ早死にしたくないだけだ! お前達、もっと冷静に考えろよな! それに前髪が崩れたらどうしてくれるんだ!?」

 ケイバーが早口言葉でまくし立てると、ハルバートは一言いい返した。

「今さらビビっても仕方ねえだろ!? 男なら度胸をみせろ! 行くぜリーゼルバーグ! ヴァジュラ、あの風を突き破れ!」

 ハルバートはヴァジュラに掛け声をかけると、勢いよく竜と共に前に突進して行った。リーゼルバーグは直ぐにリューケリオンに命令をすると、彼と共に勢いよく前に突き進んだで行った。部下達はその光景を離れた場所から見ると、2人の安否を心配したのだった。オーブの力で放たれた風の魔法は直ぐに2人の前に見えない壁の様に立ち塞がった。強烈な風の威力を真っ向から受けた2人は互いに自分達の竜に命令した。

『押し返せヴァジュラ! 風を突き抜けろ!』

 彼の命令に竜は直ぐに従った。上空で大きく羽を羽ばたかすと、風の力を押し返しながら前に突き進んだ。ハルバートはケイバーに大きな声で話しかけた。

「さあ、ここからが大変だ! 風に吹っ飛ばされないように、しっかりと俺に掴まってろ! 途中で吹っ飛ばされても拾いには行ってやらないからな!?」

「ふざけんな、この状況で吹っ飛ばされてたまるか! 何でもいいから早く突破しやがれっ!」

 ケイバーは後ろで怒鳴ると感情を高ぶらせた。

『じゃあ、行くぜぇっ!!』

 風は真っ向から2人を押しかえしながらも、竜巻のような柱をそこで発生させると急に2人の前に襲いかかって来た。風は物凄い威力で2人を一気に呑み込んだ。風の中に呑み込まれると、風は容赦なく彼らに襲いかかった。

「クッ……! さすが魔法石のオーブの力だ! このままでは、体を空中でバラバラにされてしまうぞ! リューケリオンこの魔法を飛翔の隼ひしょうのはやぶさで一気に突破するのだ!」

 リーゼルバーグが命令すると、リューケリオンは嵐のような竜巻の中を素早い早さで一気に駆け抜けた。それと同時にハルバートもヴァジュラに波涛の円舞はとうのえんぶで一気に駆け抜けるように命令した。竜は風の流れを読みきると、凄まじい竜巻の中を素早い早さで駆け抜けた。ハルバートとリーゼルバーグは、大きな声を上げながら叫んだ。


『いっけぇええぇぇえええッツ!!』


 二匹の竜はその掛け声と共に、強力な風の呪文を見事に撃ち破ったのだった。

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