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第8章―吹雪の中の追跡―

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「ジャントゥーユが来たって事はクロビスの命令を聞いたか?」

「ああ、聞いた。囚人が一人脱走したそうじゃねーか? あの坊ちゃんが俺達に命令を出すなんて、よっぽどなんだな。おかげでこの寒い中ダモクレスの岬まで出動だ」

 ハルバートはそう話すと、可笑しそうに笑った。

「あいつも焦ってたようだからな、そう言われるとそうかも…――」

 ケイバーは相づちをして返事をした。

「で、そう言うテメーらはどこに行くんだ?」

「お前らと同じところだ。気にすんな」

「なるほど……ダモクレスの岬ってわけか?」

「ああ、俺達もクロビスに頼まれてそこに向かうところだ。なあハルバート。俺達も乗せてってくれよ?」

 そう言って話を持ちかけると、ハルバートは直ぐに断った。

「ハン、冗談じゃねぇぜ。なんでお前達を連れて行かなきゃならねぇんだ? 俺は看守がでぇっきれぇーなんだよ!」

 彼はそう話すと、不機嫌そうな表情で地面に向かって唾を吐いた。

「なんだとこのジジイ……!」

 ギュータスは突然切れると怒鳴った。すると、ケイバーが隣で制止した。

「やめとけギュータス。今は争ってる暇は俺達にはないんだ。こんな所で騒いでたら寒さで体力がもたないぜ。ここは俺に任せて大人しくしてろ!」

 ケイバーは彼を説得させると、その場で引き下がらせた。


「――少しは分かってるみたいだな。話がわからねーヤツより、話がわかる奴の方が俺は好きだぜ?」

 ハルバートはそう話すと、呆れた顔で鼻で笑った。

「確かに看守は好きじゃねーが、お前は別だ。仕方がないから一緒に連れ行ってやる。俺達に感謝しろよ?」

 彼はそう話すと、自分の後ろにケイバーを乗せた。

「乗れよ、俺の気が変わらないうちにな!」

「恩にきるぜハルバート! やっぱりお前はそこら辺にいる奴らより、頼もしいぜ!」

 そう言ってケイバーが誉めると、ハルバートは豪快に笑った。

「そこら辺って誰のことだ? もしかしてリーゼルバーグのことか?」

「ああ、そうだとも。ヤツは石頭で話が通じねー。それどころか俺を毛嫌いしてやがる。副隊長よりも隊長らしいのはアンタだ」

「当然だろ? 俺は竜騎兵の隊長なんだからな!」

 2人がひそひそ話をしていると、リーゼルバーグが近くから声をかけてきた。

「何をやっているハルバート! まさかそいつらも連れて行くきか!?」

「うるせぇよバーカ! 俺様が連れて行くって決めたら連れて行くんだ! お前は大人しく引っ込んでろ!」

 彼がそう言い返すとリーゼルバーグは、不満げな顔で引き下がった。

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