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第6章―竜騎兵―
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しおりを挟む「クロビス様からお前達に命令がある……」
「あぁん? クロビスだと?」
彼はそう言うと急に態度を変えた。
「何だよ、テメェはクロビス坊ちゃんのオモチャかよ。そういえば坊ちゃんが、新しいオモチャを手に入れたって前に何処かで聞いたけど、まさかそれはお前のことだったのか?」
ハルバートがそう言って話すと、ジャントゥーユは何も言わずに不気味な顔でニターっと静かに笑った。
「ケッ、通りでまともじゃないと思ったぜ。でなきゃテメーを今頃ぶっ殺してるところだ! 言っとくがな、俺らは看守の奴らが大嫌いなんだよ! 顔も見たくねーんだよ、わかるだろ? いつも偉そうにしていて本当むかつくぜ。生意気だからよ、前に俺らで何人かボコってやったんだ。あの時のあいつらの情けねぇ顔ときたら傑作で愉快だったぜ。まぁ、お前があいつらの仲間じゃないってことは確かだな!」
ハルバートはそう言うと、近くに置いてあったテーブルの椅子にドカッと座った。テーブルの上に酒の瓶が置いてあると、彼はそれを一本手に取った。瓶の蓋を親指で開けると、彼はそれを煽るように一気飲みし始めた。そして、酒の瓶をカラッポにするとそれをテーブルの上にドンと置いて、そこでジャントゥーユを睨みつけた。
「で、坊っちゃんのオモチャが俺達に一体何の用だ? 遊ぶならここじゃなく、他を当たれってお前のご主人様にそう言っといてやるよ!」
ハルバートは彼にそう言うと、テーブルの上に無造作に置かれていた生ハムに手を出した。そして、それを豪快にかぶりつくとムシャムシャと食べ始めた。生ハムを手で食べながら、また酒をゴクゴクと飲んだ。ジャントゥーユは、そんな彼にもう一度言った。
「出動命令だ、早く行け!」
ジャントゥーユが再び命令をすると、ハルバートは近くにあったナイフを手に持った。そして、それを生ハムに突き刺して一言言い返した。
「ふざけんな、断る! 誰がテメーらのパシりになるか! 竜騎兵の俺達を舐めてるんじゃねーぞ!」
ハルバートはそう言って威圧すると椅子の上で彼を睨みつけたのだった。一触即発の雰囲気が再び辺りに漂った。周りは息を呑んで凍りついた。すると、彼は突然笑いだした。
「なーんて言ったらどうする? 確か坊っちゃんに刃向かったピーターは、最後どんな風に殺されたっけなぁ。金属のワイヤーで天井に吊るされて、体に電流をしこたま流されるのだけは俺はゴメンだ! あれはホントに気の毒にな、死んだピーターには同情するぜ。他にも刃向かった奴らの末路を考えるとマジでチビりそうだ」
ハルバートは椅子の上でそのことを淡々と話すと、周りにいた部下達は一斉に恐怖に怯えた。そして、頬杖をつきながら彼は話すとフと過去の話を語った。
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