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第31話
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布で鼻と口を覆いながら、慎重に街を進んでいく。
少しクラッとはするが、何とか歩けるといった感じだ。
レイネとネミリはまるで平然としている。
彼女たちを眠らせるには、実を乾燥させた粉がいったいどれくらい必要なんだろうか。
「おい!誰だ!どこへ行くつも……わああああ!」
建物の陰から出てきた盗賊が、ネミリの肉球へと吸い込まれていく。
これで3人目。
彼らは全てが解決したあと、牢屋へ突き出されることになる。
「ちなみにだけど」
「どうしたの?」
「もしネミリが死んだ場合、その肉球で吸い込まれていった人たちはどうなるの?」
フィリーが質問すると、ネミリはニヤリと笑って答えた。
「永遠に帰って来られなくなる」
「……恐ろしいわね」
「裏切る気、なくした?」
「もともとないわよ」
街のあちこちで、眠らされた人たちが倒れている。
もともとの住民もいるし、盗賊らしき人もいた。
今、起きて行動できているのは、後から対策して来た俺らと、盗賊団の一部だけのようだ。
「闇が強まってきました。近いです」
「気配はどうだ?」
「竜ほど大きな気配はない。ていうか、あったら見えてるしね。人間サイズが6人かな」
「1人はハンデアだろうな。竜人の姿に戻ってるんだろう。あとは幹部たちか」
「ハンデアが竜になれるのだとしたら、幹部たちを片付けてから戦いたいところですね」
「そうだな」
「そこの陰をうろちょろしてるのは誰だ」
作戦を立てていると、急に低い声が響いた。
俺たちはみな一様に驚き、体をびくっと震わせる。
「出てこい。さもなくば殺す」
「わー。殺すだって。怖いね」
「ハンデアの声よ」
「気付かれたようですね。どうしますか」
「仕方がない。いずれ戦わなきゃいけない相手だ。警戒は怠るなよ」
俺たちが街の中心部にたどり着くと、噴水の前で7人の盗賊たちが待っていた。
前列に6人。
幹部たちは全員が人間族のようだ。
そしてその後ろ、噴水のふちに腰かけているのは竜人。
彼がハンデア盗賊団のリーダーであるハンデアのようだ。
「おいフィリー。お前、裏切りやがったみたいだな」
「ハンデア……」
「裏切り者は厳罰。それが俺ら、ハンデア盗賊団のルール。お前に未来はないと思え」
「くっ……」
すでに心が決まっているはずのフィリーも、思わず後ずさりしてしまう。
それくらい、ハンデアには威圧感があった。
「ハンデア、お前の目的はなんだ」
俺が聞くと、ハンデアはゆっくりと首を横に振った。
「雑魚には教えてやらん。そうだな。俺の幹部、全員倒せたら考えてやるよ」
その言葉に、前にいる幹部たち全員が身構える。
こちらも身構えた。レイネとネミリだけが。
せめてフィリーは身構えとけよ。
「やれ」
ハンデアが低い声で命じる。
6つの影が、俺たちに向かって飛び掛かった。
少しクラッとはするが、何とか歩けるといった感じだ。
レイネとネミリはまるで平然としている。
彼女たちを眠らせるには、実を乾燥させた粉がいったいどれくらい必要なんだろうか。
「おい!誰だ!どこへ行くつも……わああああ!」
建物の陰から出てきた盗賊が、ネミリの肉球へと吸い込まれていく。
これで3人目。
彼らは全てが解決したあと、牢屋へ突き出されることになる。
「ちなみにだけど」
「どうしたの?」
「もしネミリが死んだ場合、その肉球で吸い込まれていった人たちはどうなるの?」
フィリーが質問すると、ネミリはニヤリと笑って答えた。
「永遠に帰って来られなくなる」
「……恐ろしいわね」
「裏切る気、なくした?」
「もともとないわよ」
街のあちこちで、眠らされた人たちが倒れている。
もともとの住民もいるし、盗賊らしき人もいた。
今、起きて行動できているのは、後から対策して来た俺らと、盗賊団の一部だけのようだ。
「闇が強まってきました。近いです」
「気配はどうだ?」
「竜ほど大きな気配はない。ていうか、あったら見えてるしね。人間サイズが6人かな」
「1人はハンデアだろうな。竜人の姿に戻ってるんだろう。あとは幹部たちか」
「ハンデアが竜になれるのだとしたら、幹部たちを片付けてから戦いたいところですね」
「そうだな」
「そこの陰をうろちょろしてるのは誰だ」
作戦を立てていると、急に低い声が響いた。
俺たちはみな一様に驚き、体をびくっと震わせる。
「出てこい。さもなくば殺す」
「わー。殺すだって。怖いね」
「ハンデアの声よ」
「気付かれたようですね。どうしますか」
「仕方がない。いずれ戦わなきゃいけない相手だ。警戒は怠るなよ」
俺たちが街の中心部にたどり着くと、噴水の前で7人の盗賊たちが待っていた。
前列に6人。
幹部たちは全員が人間族のようだ。
そしてその後ろ、噴水のふちに腰かけているのは竜人。
彼がハンデア盗賊団のリーダーであるハンデアのようだ。
「おいフィリー。お前、裏切りやがったみたいだな」
「ハンデア……」
「裏切り者は厳罰。それが俺ら、ハンデア盗賊団のルール。お前に未来はないと思え」
「くっ……」
すでに心が決まっているはずのフィリーも、思わず後ずさりしてしまう。
それくらい、ハンデアには威圧感があった。
「ハンデア、お前の目的はなんだ」
俺が聞くと、ハンデアはゆっくりと首を横に振った。
「雑魚には教えてやらん。そうだな。俺の幹部、全員倒せたら考えてやるよ」
その言葉に、前にいる幹部たち全員が身構える。
こちらも身構えた。レイネとネミリだけが。
せめてフィリーは身構えとけよ。
「やれ」
ハンデアが低い声で命じる。
6つの影が、俺たちに向かって飛び掛かった。
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