34 / 57
第3章 幼女、王都へ行く
幼女、リリスと抱き合う
しおりを挟む
何とかシエルが解読を成功させたユーゲルの手記にも、やはり大したことは書いていなかった。
そして初めて図書館に来た日から5日が経ち、イリナとリリスが帰ってくる。
図書館に入ってくるなり、リリスは私に抱き着いてくる。
「たっだいまー!」
「お帰りー」
うん、もふもふ。抱き心地めっちゃ良好。
エリーチェの気持ちが分からないでもない。あまり分かりたくはないけど。
「ルーガティウス様の手記はいくつかあったから、それを全て持ってきたよ。この中に入ってる」
イリナは図書館の机に木製の箱を置いた。
開けてみると、3冊ほどの手記が入っている。
その中で一番上にあるものを開くと、そこにはびっしり暗号文字が書かれていた。
「ううっ……もう当分は見たくない……」
横から覗き込んだシエルが頭を抱える。
ユーゲルの手記の解読に、相当メンタルをやられたようだ。
「なんかさー、あんまり面白いこと書いてないよね」
口をとんがらせながらリリスが言った。
確かに他の3人の手記と同様、問題の核心に触れるようなことは一切書かれていな……ん?
「えっと……リリス読めたの?」
「うん!あの手紙よーく目に焼き付けて、あとはこの手記を見ながらずっと考えてたら法則性が見えてきちゃった」
「そ、そんな……私が何年もかけてやっとたどり着いたところにあっさり追いつかれるなんて……」
シエルは今にも卒倒しそうな勢いだ。
これでリリスが実はダークエルフで……とか、彼女も転生していて……とかいったら本当に意識を失うんじゃないかな。言わないけど。
「あ、あと裏意味もあってさ」
「はひゃう!」
シエルが妙な声を上げた。
あーあ。リリスが裏意味まで理解し始めたことが追い打ちとなり、彼女の意識は崩壊寸前だ。
なだめるのはイリナに任せて、私はリリスの指す箇所を読んでみる。
「意味、繋がらないな」
「やっぱり?意味が繋がらないから、私が間違えてるのかと不安になっちゃたよ」
私は机にルーガティウスの手記、そして3枚の紙を並べる。
紙に書かれているのは、他3人の手記に記されていた意味の繋がらない裏意味の部分だ。
4つを繋げたら裏意味として機能するかと思ったけど、どうにも意味のある単語にならない。
「思い過ごし?」
「いや、4人全員がってことは何か意図があるはず……あっ!」
閃いた。
完全に閃いた。
「これ、裏裏意味だ!」
「うん、何だって?」
食い気味にリリスがツッコんでくる。
頭の中で再生されるのは、私とニノの会話……
「リスターニャ先輩!これどうですか!?」
「……何これ。全く意味が分からないんだけど」
「裏意味の裏、裏裏意味ですよ!」
「裏の裏はもう表じゃん……」
「違うんですよ!裏意味だと思わせての裏裏意味って良くないですか!?」
「何がどういいのか分からないんだけど。ややこしすぎても後々困るよ」
「むー」
「ちなみに何て書いてあるの?」
「変態下着、です」
「お前もやろがーー!!表に出るか?」
あー、くだらな。
確かこのあとニノが……ってそんなことはどうでもよくて。
いや、いやいや、いやいやいやいや、裏裏意味なんて、それこそ私とアイツらしか知らない内輪ネタだよ?
おそらく文書の形式では残っていないはず。
それを手記に書くなんて、いよいよをもって誰かに読ませる気がないじゃんか。
ともかく、裏裏意味でこれを読むと……。
「学院の老竜木」
「老竜木と言えば、リスターニャ学院に2000年前からずっと枯れていないものがあるわ」
「それだ!」
さてさてさてさて、いよいよ王都での謎解き冒険も大詰めだ。
アイツらからの挑戦状、指し示す場所はその老竜木……!
そして初めて図書館に来た日から5日が経ち、イリナとリリスが帰ってくる。
図書館に入ってくるなり、リリスは私に抱き着いてくる。
「たっだいまー!」
「お帰りー」
うん、もふもふ。抱き心地めっちゃ良好。
エリーチェの気持ちが分からないでもない。あまり分かりたくはないけど。
「ルーガティウス様の手記はいくつかあったから、それを全て持ってきたよ。この中に入ってる」
イリナは図書館の机に木製の箱を置いた。
開けてみると、3冊ほどの手記が入っている。
その中で一番上にあるものを開くと、そこにはびっしり暗号文字が書かれていた。
「ううっ……もう当分は見たくない……」
横から覗き込んだシエルが頭を抱える。
ユーゲルの手記の解読に、相当メンタルをやられたようだ。
「なんかさー、あんまり面白いこと書いてないよね」
口をとんがらせながらリリスが言った。
確かに他の3人の手記と同様、問題の核心に触れるようなことは一切書かれていな……ん?
「えっと……リリス読めたの?」
「うん!あの手紙よーく目に焼き付けて、あとはこの手記を見ながらずっと考えてたら法則性が見えてきちゃった」
「そ、そんな……私が何年もかけてやっとたどり着いたところにあっさり追いつかれるなんて……」
シエルは今にも卒倒しそうな勢いだ。
これでリリスが実はダークエルフで……とか、彼女も転生していて……とかいったら本当に意識を失うんじゃないかな。言わないけど。
「あ、あと裏意味もあってさ」
「はひゃう!」
シエルが妙な声を上げた。
あーあ。リリスが裏意味まで理解し始めたことが追い打ちとなり、彼女の意識は崩壊寸前だ。
なだめるのはイリナに任せて、私はリリスの指す箇所を読んでみる。
「意味、繋がらないな」
「やっぱり?意味が繋がらないから、私が間違えてるのかと不安になっちゃたよ」
私は机にルーガティウスの手記、そして3枚の紙を並べる。
紙に書かれているのは、他3人の手記に記されていた意味の繋がらない裏意味の部分だ。
4つを繋げたら裏意味として機能するかと思ったけど、どうにも意味のある単語にならない。
「思い過ごし?」
「いや、4人全員がってことは何か意図があるはず……あっ!」
閃いた。
完全に閃いた。
「これ、裏裏意味だ!」
「うん、何だって?」
食い気味にリリスがツッコんでくる。
頭の中で再生されるのは、私とニノの会話……
「リスターニャ先輩!これどうですか!?」
「……何これ。全く意味が分からないんだけど」
「裏意味の裏、裏裏意味ですよ!」
「裏の裏はもう表じゃん……」
「違うんですよ!裏意味だと思わせての裏裏意味って良くないですか!?」
「何がどういいのか分からないんだけど。ややこしすぎても後々困るよ」
「むー」
「ちなみに何て書いてあるの?」
「変態下着、です」
「お前もやろがーー!!表に出るか?」
あー、くだらな。
確かこのあとニノが……ってそんなことはどうでもよくて。
いや、いやいや、いやいやいやいや、裏裏意味なんて、それこそ私とアイツらしか知らない内輪ネタだよ?
おそらく文書の形式では残っていないはず。
それを手記に書くなんて、いよいよをもって誰かに読ませる気がないじゃんか。
ともかく、裏裏意味でこれを読むと……。
「学院の老竜木」
「老竜木と言えば、リスターニャ学院に2000年前からずっと枯れていないものがあるわ」
「それだ!」
さてさてさてさて、いよいよ王都での謎解き冒険も大詰めだ。
アイツらからの挑戦状、指し示す場所はその老竜木……!
11
お気に入りに追加
3,619
あなたにおすすめの小説
最強勇者は二度目を生きる。最凶王子アルブレヒト流スローライフ
ぎあまん
ファンタジー
勇者ジークは人魔大戦で人類を勝利に導いた。
その後、魔王の復活を監視するために自ら魔王城に残り、来たる日のために修行の日々を続けていた。
それから時は流れ。
ある時、気がつくと第一王子として生まれ変わっていた。
一体なにが起こった。
混乱しながらも勇者は王子としての日々を過ごすことになる。
だがこの勇者、けっこうな過激派だった。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
ポリゴンスキルは超絶チートでした~発現したスキルをクズと言われて、路地裏に捨てられた俺は、ポリゴンスキルでざまぁする事にした~
喰寝丸太
ファンタジー
ポリゴンスキルに目覚めた貴族庶子6歳のディザは使い方が分からずに、役に立たないと捨てられた。
路地裏で暮らしていて、靴底を食っている時に前世の記憶が蘇る。
俺はパチンコの大当たりアニメーションをプログラムしていたはずだ。
くそう、浮浪児スタートとはナイトメアハードも良い所だ。
だがしかし、俺にはスキルがあった。
ポリゴンスキルか勝手知ったる能力だな。
まずは石の板だ。
こんなの簡単に作れる。
よし、売ってしまえ。
俺のスキルはレベルアップして、アニメーション、ショップ、作成依頼と次々に開放されて行く。
俺はこれを駆使して成り上がってやるぞ。
路地裏から成りあがった俺は冒険者になり、商人になり、貴族になる。
そして王に。
超絶チートになるのは13話辺りからです。
異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました
ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。
会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。
タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎
って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!
何故こうなった…
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
そして死亡する原因には不可解な点が…
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます
tera
ファンタジー
※まだまだまだまだ更新継続中!
※書籍の詳細はteraのツイッターまで!@tera_father
※第1巻〜7巻まで好評発売中!コミックス1巻も発売中!
※書影など、公開中!
ある日、秋野冬至は異世界召喚に巻き込まれてしまった。
勇者召喚に巻き込まれた結果、チートの恩恵は無しだった。
スキルも何もない秋野冬至は一般人として生きていくことになる。
途方に暮れていた秋野冬至だが、手に持っていたアイテムの詳細が見えたり、インベントリが使えたりすることに気づく。
なんと、召喚前にやっていたゲームシステムをそっくりそのまま持っていたのだった。
その世界で秋野冬至にだけドロップアイテムとして誰かが倒した魔物の素材が拾え、お金も拾え、さらに秋野冬至だけが自由に装備を強化したり、錬金したり、ゲームのいいとこ取りみたいな事をできてしまう。
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。