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三章 エイヴィの翼 後編(前期休暇旅行編)

282、翼を取り戻す方法 14(マンセンの意地悪)

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「ほう。『負した駒・悪しき駒ドガァ・マ・ンラ』でござるか。『駒』とは一体『誰の』でござろうな」

 と八郎は彼等と言葉を交わしながら、一人の老人を思い浮かべわざとらしく考える素振りをする。
「『神の』だロ。普通の無害な人間を示す『正しき神の駒』って言葉があるからな。俺らは『腐った神の駒』って事ダ」

 黙って話を聞いていたアルベラは「アスタッテの悪しき駒」という言葉を思い浮かべていたが、マンセンの「腐った神の駒」という言葉にも納得する。

(彼等はきっとあの賢者様の介入さえなければ『正しき駒』だったわけだったんだし、賢者に腐らされたと取ればそちらの方が自然かも。彼の目的のために送り込まれた私と八郎は『アスタッテの駒』って言葉の方がしっくりくるけど……。―――ていうか八郎は兎も角私は『悪』じゃないし。あくまで賢者様のお手付きで神様だとかに嫌われてるだけで、勤め上『悪役』なだけで)
「して、他のドグマラとはどれくらい繋がってるでござるか? 噂のように結託して何かをしてるチームという感じではなさそうでござるが」
「まぁそう言うのは……―――あー……そう言うのもいるな……」

 ラーノウィーは顔をしかめ盛大に溜息を吐いた。
 彼は典型的な表情と言動が連動した分かりやすいタイプだ。決して善人ではない彼等に対し、アルベラは「悪人にも色んなタイプがいるよなぁ、ファミリー然り」と内心で呟いた。

「先に言っておくと俺はその時々だ! 目的が同じなら組むこともあるし、何だかんだ気が合う奴らで関わってる事が多い。考え方は同類っていってもてんでバラバラだな。普通の人間をとことん避けて個人主義を貫く奴もいるし、逆に喜んで関わって狂ってく様を弄ぶ輩もいる。ドグマラにも軽度の奴と重度な奴がいるし、考え方は結構違てくるしな」とラーノウィー。
「ほう、軽度重度とは?」と八郎。
「抱えてる瘴気に影響されやすいかどうかだ。服を着てるんじゃなく服に着られてる奴みたいなのさ。瘴気に自我が負けて振り回されてるようなの。―――俺らはまだ軽度な方だな。重度の奴ってなんていうかなぁ……破滅願望? っていうの? とにかく死にたがり殺したがりって感じ? 世界滅びろー! ってな」
「……うむ。いろいろと納得でござる」
(賢者殿の当初の目的そのものでござる)
「抱えられる瘴気が多かろうと少なかろうと、瘴気の影響を大きく受ける奴は早死にしていつの間にかいなくなってんだよな。特に面白いのが瘴気を沢山抱え込める体で精神引っ張られる奴か。あいつらは派手だぜ。盛大に周りを巻き込むテロリストだな。花火みてーな奴らなの。俺あいつ等と関わるのはごめんだけど見てるの好きだぜ。たまにマンセンが見つけてくんのを一緒に観戦してんだ!」

 思いだして楽し気に笑うラーノウィーへ八郎が「では、」と尋ねる。

「瘴気が多くても人格を保ってる人たちはどうでござるか。こちらは瘴気は多くても思考や精神への影響が少ない故『軽度』なんでござるよな」
「はぁ?」

 とラーノウィーが首をかしげる。

「そりゃまさにお前等だろ」と呆れながら、彼は体の前に放りだしたウサギ特有の大きな足をぶらつかせる。
「俺らも多い方でどっこいどっこいではあるけど、あのダークエルフどもほどではねーよ。んでお前等は匂いだけならあのダークエルフ以上」
(もしかして私達って思っていた以上にアスタッテの匂い濃い?)

 アルベラと八郎は顔を見合わせた。
 「この中で軽度重度を言うならラーノウィーが一番重度だナ。その次がダタダ」とマンセンが補足する。

「けどあくまでこの中での話だシ、ガチで重度のドガァ・マ・ンラに比べりゃ全然軽度の範囲ダ」
「まあそこらへんは俺も自覚あるけどだからなんだって話だ。生活には何の支障もない。周りは狂っちまうけどそれはそれで楽しいしな。なあ、お前等もそこら辺どうなんだ?」
「どうとは?」
「お前等だって何かしらの動物死なせたり人死なせたりしたことくらいあんだろ」
(あるか)

 と思わず内心つっこみを入れたアルベラだったが、馬車の奇襲の件を思い出し視線を落とす。
 八郎は八郎で十分に心当たりがあるので曖昧に答えた。
 二人の様子にラーノウィーは「ほーらな」としたり顔だ。

「どうだった、楽しかったか? すんごい幸福感だったろ? 瘴気が多い奴ほど死の快感はでかいって言われてる。何かが死ぬとたまらなく嬉しい、これは俺達共通の感覚だな。アレの快感から抜け出せなくなると重度になりかけって簡単に判断できるわけ」

 「拙者は…………こうで良かったと心底思うでござるよ」と八郎が零した。アルベラは八郎の後ろ、こちらを楽し気にじっと見ているラーノウィーへ目をやる。その長い耳がどれほど音を拾っているのだろうと思いながら短く「ええ」とだけ返した。




「んで? お前なんか企んでたりでもしてんの? 楽しそうなら話なら俺も一枚食わせてほしいんだけど」
「企み? そんなのないけど」
「はぁ!?」

 アルベラのバッサリとした返答にラーノウィーは肩を揺らし声を上げた。
 無邪気な子供のように瞳を輝かせていたウサギだが、彼が期待している事は可愛らしい物ではないだろうとアルベラ達には想像できた。その証拠にコントンが鼻をすんすんと鳴らし『イイニオイ』などと零している。コントンの言う「イイニオイ」、つまりは「悪意」だ。

「あんな漏れる位瘴気抱え込んでたのにか? 嬢ちゃんに至っては学校、集団生活だろ? ただ勉強しに行ってるだけとか言わねーよな?」
「ただ勉強しに行ってるだけよ」
「はぁ……!? んな……んなアホな話あるかよ……」

 ラーノウィーの耳が残念そうに垂れ下がる。

「アホで悪かったわね。企みなんて無いし、私も八郎も普通にやりたい事やって暮らしてるだけのアホよ。貴方に噛ませてあげられる企て何て全くないから期待しないで頂けると嬉しいわ」
「はぁ……、何だよまったく……。楽しそうなイベントがあるかもってワクワクしてたのに、期待外れもいいとこじゃん」
「まア、そいつら瘴気の事も知らず普通に暮らしてたくらいだシ。ヌーダは鼻が利かねーから他の奴ら他人種に教えてもらえねーと気づけねーもんナ」

 とマンセンが盗み見てきて知っている事を伝える。

「『普通に』ってなんだよ。お前等の周りで頭おかしくなった奴とかいねーの?」
「頭のおかしい人なら出会いはすれど、身の回りから新しく生まれたりはしないわ。今回ボイって人の瘴気が零れて初めてそういう風になりかけたけど」

 八郎も「正面に同じ」と首を縦に振る。

「なんだそりゃ? そういう奴もいんのか?」
「みたいだナ。初めて見たけド」
「はぁー? 全然理解できねー」

 ラーノウィーは納得いかない様子で後ろに仰け反り伸ばした足をぶらぶら振る。アルベラはその様子を眺め「まるで大きな子供ね」と呆れたように呟いた。




「ねえ、それで結託してる人たちってどんな人たちなの? ドグマラっていう頭のおかしい人たちが国を亡ぼしたり、何かの小隊を壊滅させたり、気まぐれに村や町を助けたりって話を聞くけどそれは? あと『ドグマラ』を口にした冒険者を殺して回るとか。―――貴方達も関わってるの?」

 撫でろとコントンに頭を押し付けられ、それに応えながらアルベラは彼等に問う。

「答えてやってもいいけどよ……うーぁぁ……」

 ラーノウィーは立ち上がり伸びをしながら呻いた。目の端にはうっすらと欠伸の涙が浮かび上がる。

「俺はもういいや」
「は?」とアルベラ。
「散歩して適当に飯食って寝てぶらぶらしてくる。その質問ならダタとマンセンが答えんだろ」
「は……?」とまたアルベラ。

 マンセンは「お前なァ」と呆れを零した。

「お前さんは瘴気取れたしマンセンは瓶を取り返したし俺はあいつ等―――姉だけだけどぶち殺せてスッキリしたし? 今回は皆幸せ万々歳だったな。何か新しく分かった事あれば後で聞かせてくれよ
、マンセン」

 ラーノウィーは頭の上の木霊を摘まんで下し、ダタの頭の上に乗せる。ダタはマンセンを手で払い、退けられたマンセンは彼の頭から肩へと移動した。

「じゃ、またなんかあればよろしくな。同類さん方」

 ウサギの獣人はぴょんと跳ねてその場を立ち去っていった。

「またって……、随分気分屋な」
「あいつ堪え性ねぇんだヨ。自分の聞きたい事は聞けて満足したんだロ」
「それで、貴方達はさっきの質問答えてくれるの?」
「マ、答えてやってもいいけどここじゃぁなんだナ。お前等もそれ治るまでずっとここにいるわけじゃねーだロ。そうだなァ……。―――よシ、飯驕レ! すっげえ高いとこダ。城の裏に城みたいな形した『ミルジェンラ』って店あんだロ。そことかどうダ?」
「木霊なのに随分俗物的な要求ね」
「馬鹿にすんナ。ヌーダの高級飯何て食おうと思えば幾らでもくすねられル」
「誰も『そんな物も自力で食べられないの』的な事は言ってないってば。てか馬鹿にしてないし、ちょっと呆れただけよ……」
(木霊ってもっと神聖だの崇高だのな存在だって聞いてたし)
「高い金払わせるってのは一般的な嫌がらせだからナ」
「嫌がらせで言ったんかい」
「ちょっとでも迷惑がられてれば俺は満足ダ。―――んデ、どうダ? その様子じゃ結構効いてるみたいだナ」

 マンセンと言葉を交わす中でアルベラは額に手を当て表情を渋らせ始めていた。

「公爵令嬢ともあろう者がたかが高級店でそれカ。公爵家って大した事ねーんだナ」
「貴方達をどうあの店に入れようか悩んでるのよ……」
(実際あの店で支払える手持ちないし、このタイミングで家に請求がいったらそっちもそっちで色々問題だし……)
「拙者で良ければ金を払うくらいは容易いでござるよ」

 八郎が助け舟を出してくれるが問題は他にもあった。

「あそこ貴族限定の店で証明がないと入れないの。予約も必要だし、素顔で入ればお父様にばれるし……。当日の予約何て大伯以上じゃないと通らないわよ。同じ位高級な店でもっと美味しい『グリランテ・ミルデ』って店があるんだけどそっちに―――」
「だめダ。お前の様子見てたら余計『ミルジェンラ』に行きたくなってきタ」
「性根の腐った木霊ね!」
「ドガァ・マ・ンラの俺には誉め言葉だナ!」

 身にまとった葉を揺らし笑う木霊にアルベラはため息をつき考える。

「―――……そもそも、そこまでして聞いておきたい質問でもないし……。私は傷を消して皆の帰りを待って合流して家に帰って、」

 「後はユリに謝ってその証言さえ聖女様に伝われば……」と苦し気に小さく言ってアルベラは顔を上げた。

(こいつらを高級店に招待する必要無いな)
「じゃあ今回はこれで解散で」

 ―――バウ!?

 アルベラの背後から忽然とコントンの巨体が消え去る。

「え? ……え!?」

 アルベラが後ろを振り返り辺りを見回し、八郎が指さす先を見てようやく彼女は何が起こったのかを理解した。塔の上、マンセンがきゅっきゅと瓶にきつく封をしている。
 尋ねるまでもない。コントンがまたも瓶の中に吸い込まれてしまったのだ。しかも今回は気を抜いていただけにかなりあっけなく……。

「あの、マンセンさん……」
「へへ、『ミルジェンラ』ダ。今晩の飯楽しみだな、ダタ」
「高い飯は食うのがめんどい」
「テメーノリがわりーゾ!」
「そっちの人がそう言ってんだから諦めなさいよ性悪木霊!」
「べー、嫌だネ。犬コロ返して欲しかったら偽装の招待状作るくらいしてみロ!」
「犯罪を促すなんてそれでも一介の森の精!?」
「たかがヌーダの一国の社会ルールなんて俺らがしった事かヨ!」
「ははは。アルベラ氏、これは一杯食わされたでござるな」
「他人事か!」




 ケタケタと腹を抱える木霊を恨めしく見据え、「どうするか……」とアルベラは頭を抱えた。



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