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三章 エイヴィの翼 前編(入学編)

132、酒の実の誕生日 1(騎士見習い様の誕生日 1/2)

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 ティーチからの連絡を待っている間の、平日の夕方。

 アルベラはストーレムを出て、商人や同じく王都を目指す馬車や騎獣と共に平原を駆けていた。

 ジュオセ一の月、十七の日。今日は、友人の騎士見習い、ジーン・ジェイシの十五歳の誕生日なのだ。

 彼本人からの招待を受け向かっているのは、誕生日会会場である、王都のとある酒場だった。

(ジーンからの手紙、滅多にないからびっくりしたな。殿下の名前で来ることが多いし、ジーン個人で私に用なんて、こういう機会じゃなきゃそもそも無いもんね)

 二頭立ての小型の馬車にはアルベラとエリーが、御者席には屋敷に専属で務めているヴォンルペが乗っていた。馬車の傍には、使用人(今は青年姿)のガルカが、使用人服ではあるが、護衛として馬の手綱を握っている。

 日が暮れてからの公爵家ご令嬢の外出。それに伴う従者が御者含めて三人とはずいぶん手薄に思えるが、エリーとガルカがいれば護衛力は十二分だろう。

 エリーは人並み外れた身体能力を持っているし、ガルカは「凶暴」「凶悪」と謳われる魔族だ。そんな魔族の中でも、特に腕が立つ――――という本人の主張が事実であるなら、更に安心だ。

 ちなみに、魔族は本来人には使えない。

 自分以外の者への忠義に欠ける種族と言われているのもあるが、人間側が魔族に対し、信頼や信用を置く対象としてこなかったのもある。神から嫌悪されている魔族を、人間も警戒するのは当然の流れだろう。

 それらの理由があり、魔族の使用人というのは、この国ではかなりアブノーマルな存在なのだ。

 人を食う事もある上、その魔力の一部を自身の物にすることもできる。他種族を襲う事に快楽を覚える個体も珍しくない。

 そんな魔族のガルカがなぜ人に使われているかというと、特別な「縛りの魔術」がかけられているからだ。人にに危害を与えられない、与えれば、罰が下される魔術。

(魔族の奴隷計画。ガルカが来てから2年、目立つ問題はなかったし。最近、試しにもう一人二人入れてみたいとか言ってたな。面白いくらい気性が荒いのが、どこかの町で見つかったとか言ってたし。………あえて気性が荒いのを選ぶ当たり、お父様、本当物好きなんだな)

 アルベラは、落ち着いた姿勢を保ちつつも少年のような目で話す我が父の姿を思い出し、呆れに目を据わらせる。 

 そんなこんなで、強制的ではあるが、魔族の彼も今では立派な従順たる使用人の一人として認められていた。

 本人も今の生活に、それなりに楽しみを見出しているようで、目だって脱走を謀ろうとはしていない。父もそれなりに信用を置いているようである。大事な愛娘が領地の外に出かける際は、決まって彼を護衛として付けるようになったのも、そういった評価の表れのようだ。

 アルベラにとって好都合なのは、ガルカはエリーと同じく、アルベラの行動に手を貸してくれる一人でもある事だ。好奇心旺盛な性格である彼は、アルベラの奇行をむしろ待ち望んでいる気があった。暇になればすぐ「何かないのか?」「何か起こせ」と要求されるのが暫し面倒ではあるが。

 そんなわけで、公爵のご令嬢の日暮れの外出も、最近は身軽に快適に安心に行えることができた。





 王都に入る際の検問もあっさり済ませ、夕食時で賑わう街中を、ゆっくりと馬車は進んだ。

 この時間の露店は面白い。とある魔術具を並べた露店では、水が客引きでもするかのように、魚の姿で店主の周りを跳ねまわっていた。少しずつ散ってしまった体を、補給するように透明な花瓶に飛び込んでは大輪の花に姿を変え、すぐに萎れて魚へと戻る。そんなことを繰り返していた。別の露店では、数個の石ころでできた手のひらサイズのゴーレムが、物欲しげな顔で通り過ぎる子供へ手を振ったり、小鳥になって地面を跳ねまわったりしている。水も石も、彼らには意思など無い。持ち主の魔力か、魔石を動力にして、魔術印に記載された内容を忠実に再現しているに過ぎない。そうと分かっていても生き生きして見えるのは、行きかう人々の活気ある雰囲気が影響しているのかもしれない。

 別の店では怪しげな本が並び、別の店ではかごに入れた小動物を売っていた。

(………ここ、前にスカートンと回った場所か。へぇ。やっぱあの時あったお店はもう無いか。全然違う。………また今度、ゆっくり見に来たい)

 アルベラは、ふと、友人と露店巡りをした時のことを思い出す。だがいつの間にか、思い出していたのはその時の記憶とは全く別の景色だった。この国の物ではない言語。この国の物ではない服装。似通った肌の色と、目や髪の色——————前世で見た祭りの風景。自分の手を引く母、賑やかな人並み、きらきらとしていて、たまにベトベトして少し不快で、甘くて、暑くて、ワクワクして―――

(………この景色見ると、決まって小さい頃の夏祭りの記憶とダブる。異世界とはいえ、原作が原作だし、まばらにある屋台とかが似てるんだよなぁ。変な感じ)

 アルベラは僅かに苦笑を零す。

「あら、お嬢様。面白そうな店でもありましたか?」

 外を見ながら笑みを浮かべている主人に、エリーが尋ねる。

「うん。また今度、ゆっくり見に来ましょ」

「あら、デートですね。嬉しい」

「まあ………そうね。あんたとはしょっちゅうデートしてることになる」

「ふふふ。でしたらそろそろプロポーズの段階ですかね? いや~ん。私、プロポーズなんて一昨日おとといぶりです」

「―――こら。被害者は誰だ」

(…………ていうかなんで私がプロポーズする側)

 目の前の、美女の皮を被った「エリー」という名の生き物の、真の姿を思い出す。その「彼」が、恥ずかし気にプロポーズを受ける様を想像し、アルベラは何とも言い難い気持ちとなった。

(外見に引っ張られるな。中身は乙女、中身は乙女………)と、自分に言い聞かす。

 何はともあれ、エリーの恋愛対象は男だ。それに変わりがないと信じて、アルベラは冗談と受け流した。

「お嬢様、お疲れ様です。着きましたよ」

 御者席からヴォンルペの声が聞こえた。すぐ後に扉が空き、青年姿のガルカが手を差し出す。それをお決まりのようにエリーが払い退け、その横を更にお決まりでアルベラが一人で降りる。

 アルベラが馬車から出ると、「酒の実」と書かれた、ライトアップされた木製の看板が目に入った。

 本日お招きいただいた、ジーンのお誕生日会会場である。

 中からは男たちの賑やかな声が聞こえていた。

「では、お嬢様。私はお時間になりましたらお迎えに上がります」

「ええ。よろしくね」

 ヴォンルペはお嬢様を見送ると、馬車とガルカの乗って来た馬と共に去っていく。近くの、信頼できる高級な宿に馬車を預け、適当に時間を潰すのだ。





「いらっしゃいませー!」

 元気な店員の声に迎え入れられ、アルベラは店内を見回す。外からでも分かっていたが、中では既に宴が始まっていた。

「すみません! 今日は貸し切り………で、」

 ビリュを両手に持ち、忙しそうに店内を移動していた女性は声を失う。

 城専属の騎士様御用達の「酒の実」では、貴族は決して珍しくない。男爵から大伯まで、さまざまな爵位の客人と接してきた彼女も、もう貴族様相手に緊張する事は滅多になくなっていた。

 暫し呆けてしまった彼女は、慌てて近くのテーブルにビリュを下ろすと、店内を見回している客人へぱたぱたと駆け寄った。

「も、申し訳ありません、今晩は貸し切りでして! それとも、騎士団の関係者の方でしょうか?」

 声が緊張で上ずる。

(………ぜ、絶世の美女、美男)

 明かに見惚れている店員の女性。特にガルカを意識している彼女の目に、アルベラは心の中で「ケッ」と零す。勿論これはガルカに向けてだ。店員の女性は何も悪くない。寧ろ被害者であり憐れむべき相手だ。

「ええ。ご招待を受けてまいりました」

 一歩前に出て、ガルカが女性へとほほ笑んだ。

「………そ、………そ、そ、そ、そうでしたか!」

 店員の女性は一瞬呆け、慌てたように声を出す。

「あ、あの………、でしたら、騒がしいですし、皆さんお酒も飲まれて燥はしゃいでおられますので、お、お嬢様の御召し物が汚れないようお気をつけて!」

「お気遣いありがとうございます、可愛らしいお嬢さん」

 店員は顔を「ぽん!」と赤らめる。

(お姉さん騙されないで。もしこいつが人間だったとしても、人を振り回して楽しみたいだけのクソ野郎よ)

 憐みの目をむけつつ、「ありがとうございます」とアルベラも礼を述べ、先導して歩き出したガルカの後ろに続く。

 魔族の嗅覚とやらで、目的の人物がいる場所が分かるのだ。

(こいつといいエリーといい、むやみやたらに誑かすな)

 アルベラから見て、エリーの誑かしには、まだ相手への思いやりが感じられた。だが、ガルカの誑かしは自己中心的に見える。相手への思いやりはなく、自分が楽しむための駒としてしか見ていない。

 そしてそんな二人は、お互いは決して誑かし合わないのだ。不思議なものである。

 ガルカが主人の呆れた空気に振り返る。悪戯好きな猫目がニヤリと細められる。

「どうしましたお嬢様? ご嫉妬ですか? 私に優しく微笑んで欲しいので?」

 アルベラの後ろを歩いていたエリーから「イラ」っとした空気が噴き出す。

「黙って歩きなさい奴隷」とアルベラは返しておく。

 周りに聞こえないぐらいの小声だが、ガルカの聴覚なら十分聞こえただろう。

 彼は「つれない」とでも言いたげに肩をすくめた。

 アルベラの横を、すらりとした長身が速足で通り過ぎていく。

 ―――パシ

 エリーがガルカの背後から後頭部を叩こうとし、それをガルカの手が阻んだ。気のせいだろうか。高々「叩く」という行為のはずなのに、アルベラはそこそこの風を感じた。

「なんでしょう、エリーさん」と、ガルカ。

「あら。虫がいましたのでつい手が」と、笑顔を張り付けたエリーが返す。

「それはどうも。おや、虫がそちらに」

 ―――パシ

「いえ、今そちらへ」

 ―――パシ

 パシパシと叩き合いの攻防をくり広げる二人。アルベラの髪が向かい風を受けて後ろへ靡なびく。どこかから、「なんだぁ? 隙間風かぁ?」というぼやくような声が聞こえてきた。

(虫殺す程度にどんだけ威力込める。ていうか―――)

「蚤飼ってるとか思われたらどうするの。みっともないから止めてくれる?」

 静かなお嬢様の声に、二人は同時に振り返り、お互いを指さし合った。

「何言ってるんですか、こいつが蚤だらけなのは事実ですよ」

「何言ってる。これは元々蚤だらけだろう」

 二人の声がぴったりと重なり合う。

「———あ゛あ゛ん?」とエリー。

「———————はぁ゛?」とガルカ。

 これまたぴったりだ。

 一応声量は抑えているが、なにやらコソコソと言い合い、しかもお互いに負けじと笑顔を向け合っている美男美女の使用人に、周囲からはどことなく興味の目が向けられ始めていた。

(………ああ。せめて距離とろう)

 二人を制御しきれない事に慣れ切ってしまった彼女は、早くも諦めて知らぬ顔で遥か後方を歩く。
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