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二章 水底に沈む玉

87、彼らの気晴らし 4(予想外の講習)

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「あのぉ、皆さん何をして………」

 「しっ」と部屋の前、使用人が口元に指を立てる。

「え~………、あのぉ~?」

 困り顔のニーニャはその異様な光景に言葉に詰まる。

 エリーを筆頭に、他二人、計三人の使用人が来客中の客間の扉に耳を当て、中の様子をうかがっていた。

「そんなことしなくったって、エリーさんは中に入ってお勤めついでにお話し幾らでも聞けるんじゃないですか?」

「気分よ気分。この方が楽しいでしょ?」

 エリーは赤い唇で弧を描く。

「それにしても、あの王子様、以前いらっしゃった時にも感じたけど、やっぱりあざといわねぇ。自分の武器を熟知してるって感じ。良いように人を丸め込んじゃうタイプ? …………小生意気な我らがお嬢様もいい具合にたじたじね。素敵な好敵手じゃない。あと反面教師?」

 生え際が渋い黄緑をした、明るいアッシュブラウンのボブミディアムヘアーの使用人が感心の声を漏らす。

「あらセイジー、いい目してるわね。あの王子様、お嬢様より一枚上手ってかんじなのよね」

「エリー姐さん、お嬢様の側近なんて良くやるわぁって感心してたけど、なかなかいい物見てきてるみたいね。少し楽しそうに思えてきたわ」

「あら、今更譲ってあげなくてよ?」

「けどあの子、お付きの赤い子?」

 ぱちりとした大きな目が印象的な使用人が、セイジーの頭一つ分下で扉から耳を離し、頬に手を当てて哀れむように息をつく。淡いピンクから毛先に向けてマゼンタへとグラデーションしたウェーブがかった髪を、頭の高い位置でポニーテールにしている彼女は、その見た目から実年齢からかなり若く見えられる。

「苦労が絶えなさそうね。お嬢様のわがままとは流石に違うだろうけど、あの王子様も結構やんちゃしてそうじゃない。うまい事猫かぶってて、一見そうは見えないけど。………幼いお嬢様に振り回されてきた一人として、ちょっと同情しちゃうわ」

「リリネリ務めて長いものねー。丁度エリー姐さんが入ってくる前くらいだったかしら、お嬢様のおてんばや我儘の全盛期」

「そうそう。最近は大人しくなってきてくれたみたいだけど、あれは隠れてこそこそやってるわよ~。この間お嬢様が屋敷の倉庫を興味深げに眺めてるのを見たって子がいるし。きっと何か企んでたのよ」

「最近よく街に遊びに行くものね。きっと楽しい遊びを見つけてそっちで発散してるんじゃない? ねえ、そこの所どうなのかしら、姉さん、ニーニャ?」

 セイジーとリリネリに見つめられ、ニーニャはたじろぐ。

「何って、なにも………」

 次いで視線を送られたエリーは含むように目を細め、口元に指をあてた。

「あらぁ、そうね………。あ、そうそう、少し大人の世界を覗かせてあげたりもしたかしら」

 エリーは二人をからかうように、そして扉の向こうを意識するように、ぎりぎり室内に届く程度に声を潜め、色っぽい声音で思い出すように話す。

「夜の街でね、殿方を捕まえてキスの仕方を実演してあげた事とかあったわぁ。………それはもう、濃密な奴を。旦那様には秘密よ?」





『———旦那様には秘密よ?』

 客間の中、三人の話はぱったりと止まっていた。

 ラツィラスとジーンはじっと部屋の扉の方を見ている。

『キャー! エリー姐さんったら大胆!!』

『もう! お嬢様がふしだらな女になったら旦那様が悲しむわよー!』

『エエエエリーさん?! ダメですよ! そんな、お嬢様にはまだ刺激が強すぎます!』

 アルベラはというと、テーブルに肘をつき、両手で頭を抱えていた。その頭は漬物石のように重たそうだ。

(全部聞こえてる!!!)

 そう。ニーニャが合流して話し込んでた辺りから全部だ。

 徐々に声のボリュームが上がっていき、最後の方は殆ど隠す気のない様な叫び声となっていた。

 慌てたように扉の向こうで「しーっ!」と気配を静めなおす気配がする。だが、その扉の前に変わらずあの三人がいるのは確かだ。去っていく足音もなく突如静まったとなれば確かめずともわかる。

 興味深げに扉を眺める二人の客人に「失礼」と言い置き、アルベラは赤い香水瓶を持って席を立つ。瞳は緑に輝き、水色の毛先が魔力に反応して光を灯し持ち上がっていた。その背景に怒りに満ちた「ゴゴゴゴゴゴ………」という効果音が浮かび上がって見えるほどの剣幕だ。

 アルベラは扉を薄く開くと、その隙間に沿って「シュシュシュシュシュ!」と素早い動きで赤い液体を振りまいた。

 一拍の静寂の後、扉の外でドタバタと慌ただしい音が上がる。

『熱! 熱!』

『いやぁ! 目がぁ!! 喉がぁ!! 粘膜系があ!』

 遠ざかっていく足音に、使用人たちの苦しむ声がまぎれて聞こえる。

(エリーの声がない。躱されたか………)

 ふう、と息をつき、アルベラは部屋の中央へと向き直る。

 ラツィラスは額をテーブルに押し付けていた。お腹に手を当て、肩を揺らしている様を見るに笑っているのだろう。

 ジーンは真顔で、表情の読み取れない目をこちらに向けていた。

「良い言われようだな」

「…………そうね」

「倉庫、見てたのか?」

「ええ、ちょっと探し物をしていて」

「夜、相変わらず抜け出してるんだな」

「ええ、やむを得ない用がある時は」

「そんなに濃密なキスが見たかっ」

「それはちがぁぁぁぁぁぁぁう!!!!!」

 「ぶっ!」とラツィラスの肩が大きく揺れ、声にならない笑い声が再発する。テーブル下では両足を大きくバタつかせていた。

「エリーにはめられたの!! あんなもの見たくなかったわよ!!!! 」

 アルベラの脳裏に、いつの日かナイトクラブで見たトラウマ確定のワンシーンが再生される。

 あれは不本意な流れだった。しかも、自分が見せられたものはキス等と言うかわいい代物ではない。捕食だ。人の魂を食らう恐ろしく禍々しいシーンを見せつけられたのだ。

 その被害的な思いを分かってほしかったが、説明をするとややこしくなるのでその思いを飲み込んで席へと戻る。

 椅子に腰かけ、むすっとジーンを睨みつけると、もう耐えられない、というように、ジーンも腹を抱え肩を揺らして笑いだした。

(この二人、今からエリーの実演の餌食にしてやろうか………)

 アルベラは黒いオーラを背中に漂わせ、声も出ないほどに爆笑する二人を恨めし気に眺めた。





 その後、アルベラはラツィラスの希望により街の散策へと出ていた。

 客間の使用人たちの立ち聞きの件が収まったころには昼食の時間も回っており、エリーが変わらずの華やかな笑顔で部屋を訪れた。

 アルベラはどの面下げてきた、という目でエリーを見たが、等の使用人は全く気付かぬふりをして客人へと尋ねる。

『訪問の際に、昼食はいらないと伺っておりますが、どうされますか? 本当によろしいのでしょうか?』

『うん。僕ら、街を回りたいなと思って。丁度いい時間だし、今から出ようかな。—————————ねえ、アルベラも付き合ってくれるかい?』

『は、はい。………よろこんで』

『全然嬉しそうじゃないな』

『白々しい社交辞令だと思った? ええ、そうよ。王子のお誘いを断れるわけないじゃない』

『………あの、アルベラ。僕もそれなりに傷つくよ?』

 苦笑を浮かべるラツィラスは、エリーに馬の準備を頼んだ。

 街行き用のラフな格好で、屋敷所有の馬に跨がるアルベラ。それを、以前に見たことのあるラツィラスは、嬉しそうにクスクスと笑う。

 『一体なに?』と訝しげな表情を浮かべるアルベラ。その横にジーンが馬を並べる。

『案外似合ってるぞ』

『え? ………う、ん。ありがとう』

 首をかしげるアルベラに、ジーンは「すん、」と顎を持ち上げた。

『負けないけどな』

『は? ………負け? 騎士様に勝てるわけないじゃない』

『まだ騎士見習いだ』

『そこ重要? どうせすぐ騎士になるんでしょ?』

『重要だ。見習いが生意気に騎士を名乗ったら先輩方から袋叩きに合う』

『…………うわぁ。厳しいのね』

 そして今、エリーを含めた四人は馬に乗って屋敷からなだらかな丘を下って街中を訪れ、出店の軽食を幾つかつまんだ。腹も満たされてラツィラスが先導するままに着いたそこは―――





(散歩じゃなかったの………私はなぜこんな場所に居るの………)

 アルベラはここ二年は意識的に避けていた場所を前に絶望していた。

 ストーレムの街は、全体的にはそれほど大きな壁で囲まれてはいない。街から出入りするために八つの関門が設けられており、四つの門は普通の荷車が通るのにちょうどいいくらいの大きさで、四つの門は大型のドラゴンが通れるくらいの大きさとなっている。東西南北の関門が大きく作られているわけだが、その高さは大体十二メートル程だ。関所と関所の間へ向かうと階段のように少しずつ壁の高さは下がっていき、一番低い中間地点になると三メートルほどしかない。その低い位置の壁を飛び越えてもいけそうだが、関門を通らなければ街に入れない対策が取られているようで、皆律儀に関門を通ってきているというわけだ。

 そして、今いるのは街に八つある関門の一つ、王都側にある西の関門の前のある建物だ。西だけではなく、この施設は北と東の関所横にも設けられている。

 目の前には過去に何回か目を通した説明書きと、奥の大きな小屋から「キュルキュル」というネジを巻くような鳴き声。施設の一番手前に構えられた受付所の入り口上には、大きな看板が掲げられており、黄色や緑、オレンジと言った「探検」や「エキゾチック」という言葉を連想させる色合いで『フライ乗り場』と書かれていた。

「おい、大丈夫か? 顔色悪いぞ」

 椅子の上、隣に座って看板を眺めていたジーンはアルベラの顔を見て訝しる。

「無理。だいじょばない。お昼に食べた物全部出そう。ねえ、危ないことは駄目なんじゃなかったの?」

「あいつの基準なんて俺に分かるか。意見がころころかわるのだって、お前も充分知ってるだろ」

 ジーン自身、フライに乗ったことがないのでこれがアルベラが言うほどに危険なこととも思えなかった。だから、考え直すようにアルベラがラツィラスを説得していた時も『悪い。俺も乗ってみたい』と、どちらかと言えばラツィラスがわについていた。

 だが、嫌がってる者を無理矢理乗せようとも思っていない。

「すっごい危ないのに。これ以上に危険な事なんてこの世に存在しないのに、」

 ぶつぶつと隣で恨みを込めた言葉を並べるアルベラの姿に、ジーンは困ったように息ついた。

「多分あいつも、本気で嫌がってる奴を無理に乗せようとはしないだろ」

「本気で言って、ちゃんと通じるかな。ここに入るときも散々言ったのに」

「そこは『見てるだけでも良い』って言ってたし」

「けどその前に『フライを前にしても、本当に駄目そうだったら』って付け足してた気がするけど? お付きのご友人的にはどうなの? あの言葉って信用していいやつ?」

 その言葉に、ジーンは暫し正面に視線を向け、ふと腰の剣を抜いた。

「いざとなったら使うか?」

 瞬時に、アルベラの脳裏に、剣を構えて王子を説得する自分の姿が浮かんだ。

「そんなにしなきゃ通じないの?!」

 身を揺らし声をあげる。

 「流石に………」と、アルベラは遠慮すべく首を振り、「だよな」とジーンは剣を鞘に戻した。

 緑色の瞳は受付をしているラツィラスとエリーへ向けられた。

『一頭レンタルでいいよね。御者も一名。ねえ、僕が受付してもいいかな?』

 王子様の好奇心に輝く笑顔がまぶしかった。

(もう………好奇心は猫を殺すって言葉知らないの?)

 過去にフライに乗ったことのあるアルベラは、あの頃の自分の好奇心を懐かしく感じた。

 そしてもう、あのワクワクとした気持ちでここには来れないだろうと確信していた。

 ラツィラスとエリーの受付中、奥の扉からフライの御者―――もはやバイクやスポーツカーのようなものなので『操縦者』と呼んでも過言ではないのかも知れないが―――一人の男が入ってくる。

 彼は「いらっしゃいませ」と受付の二人に声をかけると、正面の出入り口に向かいその途中でぴたりと脚を止めた。

「おおおおおおお!!!!! 嬢ちゃん!!! 久しぶりだな!!!!!」

 その声量にびくりとアルベラとジーンの肩が揺れる。

(………気抜き過ぎた)

 アルベラと共に驚いてしまったジーンは頭の片隅で反省する。

「二~三年ぶりか?! 大きくなったな! 絶対また来ると思ってたんだよ!! やっぱあの爽快感が忘れられなくて騎乗を教わりに来たのか? ………ん? 待てよ、髪の色が違うか? イメチェンか?」

 操縦者はアルベラの前にしゃがみ込み、自分の顎に手を添えて首をひねった。

 確かに、あの時自分はニーニャに扮装してピンクベージュのかつらをかぶっていた。瞳の色は素のままだったが、それでも覚えているとはこの操縦者の記憶力はなかなかのものだ。 

 アルベラの顔を訝し気に眺めていた男は、その流れでジーンの方へも観察するような目を向けた。

 そして、ヘルメットもミラーゴーグルもつけっぱなしで、ほとんど隠れた顔が驚いたように硬直したのが分かった。

「おい、どうしたポルテーゴ。知り合いか?」

「お、おう! この嬢ちゃん、過去のお客さんだ。お、よく見たらそこの美人さんもそうだな。エリーさんお久しぶり!」

 操縦者は立ち上がり、受付にこたえる。

 ポルテーゴとやらに笑顔を向けられ、エリーは「ご無沙汰しております」と丁寧に頭を下げた。

 エリーとポルテーゴの距離感に少し違和感を感じ、アルベラは眉を顰める。

「なら丁度いい。こちらの御仁、フライ一頭をレンタルして簡単な講習を受けたいんだとよ。———あいつ、ここ数年大会で三位以内しかとってないんです。適任ですよ―――任せてもいいか?」

「おう! 任せな! ———なぁんだやっぱそうだったのか! 嬢ちゃん分かってるな!」

「分かってない! それよりあなた、もしかしてエリーと最近あったの?」

「最近? いや、エリーさんとは久々だ。随分前に、一人で講習を受けに来てくれてな」

「………なっ?!」

「でだ」

 ポルテーゴはまたしゃがみ込み、ミラーゴーグルを外し声を潜めた。ゴーグルを外したポルテーゴは、いかにもスポーツマンというようなりりしい目元をしており、アルベラが思っていたよりも若かった。

「あいつが『御仁』だなんて馬鹿丁寧な………坊主、王族か? なんで嬢ちゃんといるんだ?」

 ジーンは慣れたように首を振り、「王族じゃない。平民だ」とあいさつをするような普通の声で答えた。

(仮にジーンが王族だったとして、『王族か?』って聞き方は不敬なんじゃ………)

 と、アルベラは内心でつぶやく。

(それよりジーンか)

 まさかこの場で差別的なシーンを目の当たりにしなければいけないのだろうか、何とも言えない気持ちで二人を見守る。

「すみません。俺、王族の血筋とは無関係です」

 何ともあっさりとした言葉だった。

 赤い瞳の少年の返答に、ポルテーゴは黙り込み、一瞬沈黙が流れた。そこに、「なんだそうだったか!」と爽快な声が上がる。

「まさか王族様相手にレクチャーしなきゃならんのかと緊張したぞ! そうかそうか、受付の野郎ややこしくしやがって! ナイーブな事聞いて悪かったな!」

 爽やかに笑うポルテーゴは、無遠慮にジーンの肩をバンバンと叩いた。

 ジーンも多少は覚悟していたのか、目を丸くし、拍子抜けな顔をしていた。肩を叩かれるがまま、体が傾ぐ。

「あ、安心しているとこ悪いんだけどポルテーゴお兄さん」

「ん? なんだ嬢ちゃん」

「あちらに、本物の王族がいらっしゃるの」

 アルベラが目を向けると、丁度受付を済ませたラツィラスとエリーがこちらへ歩いて来るところだった。

 はっはっは、と笑っていたポルテーゴは「は?」と良く理解してない様子で笑うのを止め、歩いてきたラツィラスに目を止める。

「よろしくお願いします。ポルテーゴさん」

 もう一人の赤い瞳に微笑みかけられ、ポルテーゴは言葉を失った。





 ***





 関門の外、講習は二時間半ほどで終わった。

 初めはポルテーゴと一人という感じで三人がそれぞれ乗り、その後、それぞれ一回ずつは御者席に乗ってフライを御するレクチャーを受けた。

(あぁ゛ー………やっぱ乗らなきゃよかったぁ………)

 支えようと差し伸べたラツィラスの手をひらりと躱して、アルベラは魂が半分抜けた顔で地面に両手をつく。これはアルベラなりの小さな仕返しだった。ラツィラスは「あらら」とこぼし苦笑する。

 本当に乗る気はなかったのだ。

 だが、少年ら二人を一人ずつ、順々に乗せて飛び立ったフライの姿を下から眺め、燕のように気持ちよさそうな姿を見て「おや?」と思った。さらに、爽快な顔をしてフライから降りてきた顔を二つ見ると、もしかして気持ちよく乗れるものなのか? と過去二回フライに乗った時の感覚も忘れて興味を持ってしまったのだ。

(それが、このざま………)

 青い顔で項垂れるアルベラの姿に、ラツィラスは「本当に駄目だったかぁ」と苦笑した。

 ジーンは「あんなに嫌がってたのになんで乗ったんだ?」と他人事ながら呆れていた。





 手綱でフライを操作するには魔力の共有が必要らしく、ハイパーホースの時叱り、その術を知らないアルベラはそのやり方から教わることになった。

「ほら、ムーブリーフだ」

 ポルテーゴが魔力の共有について簡単に説明すると、受付の小屋から鉢植えを一つ持ってきた。

 そこには三~四〇センチほどの茎が一本はえており、てっぺんには一枚の広葉を付けていた。

 変なバランスの植物だなと、アルベラが見ていると、ポルテーゴは説明する。

「この植物の茎を、こう、握ってだな。ここに魔力を流し込むんだ。すると―――」

 植物は葉を揺らし、ポルテーゴの手より上の部分をしなやかに動かしはじめた。ぱたぱたと葉が揺れる姿は踊っている様だ。

「わあ、これで練習するのね」

「ああ、そうだ。嬢ちゃんはこれをやって、葉が動くようになったら一回フライにのってみよう」

「それは別にいい」

「そんで、少年らはその間順番で実践だ」

「ちょっと、なんで無視するの!」

「騎獣にも乗れるってんだし、二人とも数回乗りゃあ基礎基本はばっちりだろ。………城の英才教育恐るべし、だな」

 何が面白いのか、ポルテーゴは腰に手を当て「はっはっは」と爽やかに笑う。

「もう! 私は今日はフライはいいってば!」

 その足首をがつがつとアルベラに蹴られていたが、全く効いてはいないようだった。
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