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第五章 王宮の花
愛する人よ
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神山を臨む南側の庭に、墓守がエレーナのための墓穴を掘っている。
二階の寝室からその様子を見下ろしていたシェイドは、サラトリアが戻ってきた気配を感じて振り向いた。
サラトリアは手に折り畳んだ絹の手巾を握っていた。
窓辺の椅子に座るシェイドに歩み寄ると、青年は手巾の端を開いて中に収めた金の髪の束を見せた。
「主だった領民の挨拶も終えましたので、御髪を一房いただいて参りました。王都へ戻り、ベレス陛下の墓所のお近くに埋めて差し上げましょう」
差し出されたそれを暫く見つめたが、シェイドはそっと包み直してサラトリアに押し戻した。
「その任は、どうか公にお願い致したく存じます」
「シェイド様」
「私は……」
王都に戻る意思はないと首を振って告げるシェイドに、サラトリアはそれ以上言い募らなかった。手巾を上着の隠しに収め、落ち着いた様子で向かい側の椅子に掛ける。
何かを悟ったような穏やかな笑みが、サラトリアの顔に浮かんだ。
「よろしいですよ。シェイド様がお戻りになられないのでしたら、私も戻りません。貴方がここで暮らされるなら、私もここで暮らします。王都へは使いをやりましょう」
労わりの籠った優しい声に、シェイドは首を横に振った。
「いいえ、貴方は王都へ戻ってください。国王陛下には貴方の援けが必要ですから」
サラトリアの微笑みが寂しげに曇った。
シェイドはサラトリアを見つめる。
サラトリアは何もかも投げうって、この北の果てで暮らすと言ってくれた。ヴァルダン当主としての責務も、国王の右腕としての地位も捨てて。
だがこの地上に、シェイドが生きていくべき場所はない。これから進むのは、誰も伴うことのできない道だった。
言葉にしないその答えを、サラトリアはすでに察していたのだろう。
彼は懐から物入を取り出し、テーブルの上に置いた。
蓋を開けると、中には褐色の小さな丸薬が二つ入っていた。
「では、これなら受け取っていただけますか? ――苦しまず、安らかな眠りにつくことができる薬です」
シェイドは青い目を見開いて、向かいにあるサラトリアの顔を見つめた。
サラトリアは明るい榛色の瞳でまっすぐにシェイドを見つめ返してきた。
「どこまでもお供すると申しました」
シェイドは小さな容器に入った薬を見つめた。
二つ用意された丸薬は、一つはサラトリア自身の分だろう。静かな声にサラトリアの決意が滲んでいるような気がして、シェイドは目を閉じ、息を吐いた。
愛していると、サラトリアは言う。
シェイドの過去を知ったうえで、愛を返せなくても良いとも。
――サラトリアの求愛を受け、ここで共に暮らしていく道はあるだろうか。
そんな考えが頭をよぎった瞬間も確かにあった。
サラトリアはきっと自分を守ってくれるだろう。
彼は傷の癒し方を知っている。腕の中で守られて過ごせば、身も心もきっと癒されていくはずだ。
長い時が過ぎれば、いつかはあの砦での出来事も過去のものとなり、サラトリアを愛せる日が来るかもしれない。
幸福だと、生きていてよかったと、思える日が来るかもしれない。
だが、ジハードを忘れる日は、きっと永遠に来ない。
ジハードに愛されたことを忘れることはできないだろう。あの気高いウェルディの化身を愛し、恋焦がれ、嫉妬に狂った自分を忘れる日も訪れない。
どんなにサラトリアを愛そうと努めても、心の隅にはジハードが住み続ける。
だとすれば、サラトリアとともにいても裏切りへの嫌悪が付き纏い、自分を蔑んで生き続けねばならない。それが果たして幸福だろうか。
それにサラトリアはこの国に必要な人間だ。
ジハードが即位してから、まだたったの一年しか経っていない。この国を強くするには、ヴァルダンの持つ権力と財力が不可欠だ。
ジハードとウェルディリアのためにも、サラトリアをここで失わせるわけにはいかなかった。
「――公。私は公のご厚意に感謝しています。ですが、旅立ちは一人で逝かせてください」
シェイドは手を伸ばし、丸薬を二つとも、サラトリアが止める暇もなく口に含んだ。
「シェイド様!」
椅子を立ったサラトリアが慌てた様子で肩を掴んできた。喉を鳴らせば苦みのある丸薬の匂いが鼻から抜けて行く。
完全に嚥下してしまったのを知ると、サラトリアは悔しそうにシェイドの肩を揺さぶった。
「貴方は! どうして生きようとなさらない! 誰のために命を絶とうというのです!? これが最期ならば教えてくださってもいいでしょう!?」
叫ぶようなサラトリアの声が聞こえた。痛いほど肩を掴む手が震えている。
だがそれらの感覚は、数回息を吐く間にも遠ざかっていった。
長旅の疲れも相まってか、急速な眠気に襲われて、シェイドは重い瞼を瞬かせた。
窓からは鮮やかな緑に彩られた神山が間近に見える。
建国の男神が棲まう山は、世界を切り取ったように向こう側を覆い隠していた。
あの山の向こうはもうハルハーン――男神の末裔が治める、城壁に囲まれた都があるはずだ。
「……ジハード……」
この穢れた体を脱ぎ捨てて魂だけになったなら、神山を駆け抜けてあの地に戻りたい。愛しいジハードの側で、彼の治世が長く平穏に続くのを見守るのだ。
背に翼を得て鳥のように飛び立つ姿を思い描きながら、シェイドはサラトリアの腕の中で瞼を閉じた。
二階の寝室からその様子を見下ろしていたシェイドは、サラトリアが戻ってきた気配を感じて振り向いた。
サラトリアは手に折り畳んだ絹の手巾を握っていた。
窓辺の椅子に座るシェイドに歩み寄ると、青年は手巾の端を開いて中に収めた金の髪の束を見せた。
「主だった領民の挨拶も終えましたので、御髪を一房いただいて参りました。王都へ戻り、ベレス陛下の墓所のお近くに埋めて差し上げましょう」
差し出されたそれを暫く見つめたが、シェイドはそっと包み直してサラトリアに押し戻した。
「その任は、どうか公にお願い致したく存じます」
「シェイド様」
「私は……」
王都に戻る意思はないと首を振って告げるシェイドに、サラトリアはそれ以上言い募らなかった。手巾を上着の隠しに収め、落ち着いた様子で向かい側の椅子に掛ける。
何かを悟ったような穏やかな笑みが、サラトリアの顔に浮かんだ。
「よろしいですよ。シェイド様がお戻りになられないのでしたら、私も戻りません。貴方がここで暮らされるなら、私もここで暮らします。王都へは使いをやりましょう」
労わりの籠った優しい声に、シェイドは首を横に振った。
「いいえ、貴方は王都へ戻ってください。国王陛下には貴方の援けが必要ですから」
サラトリアの微笑みが寂しげに曇った。
シェイドはサラトリアを見つめる。
サラトリアは何もかも投げうって、この北の果てで暮らすと言ってくれた。ヴァルダン当主としての責務も、国王の右腕としての地位も捨てて。
だがこの地上に、シェイドが生きていくべき場所はない。これから進むのは、誰も伴うことのできない道だった。
言葉にしないその答えを、サラトリアはすでに察していたのだろう。
彼は懐から物入を取り出し、テーブルの上に置いた。
蓋を開けると、中には褐色の小さな丸薬が二つ入っていた。
「では、これなら受け取っていただけますか? ――苦しまず、安らかな眠りにつくことができる薬です」
シェイドは青い目を見開いて、向かいにあるサラトリアの顔を見つめた。
サラトリアは明るい榛色の瞳でまっすぐにシェイドを見つめ返してきた。
「どこまでもお供すると申しました」
シェイドは小さな容器に入った薬を見つめた。
二つ用意された丸薬は、一つはサラトリア自身の分だろう。静かな声にサラトリアの決意が滲んでいるような気がして、シェイドは目を閉じ、息を吐いた。
愛していると、サラトリアは言う。
シェイドの過去を知ったうえで、愛を返せなくても良いとも。
――サラトリアの求愛を受け、ここで共に暮らしていく道はあるだろうか。
そんな考えが頭をよぎった瞬間も確かにあった。
サラトリアはきっと自分を守ってくれるだろう。
彼は傷の癒し方を知っている。腕の中で守られて過ごせば、身も心もきっと癒されていくはずだ。
長い時が過ぎれば、いつかはあの砦での出来事も過去のものとなり、サラトリアを愛せる日が来るかもしれない。
幸福だと、生きていてよかったと、思える日が来るかもしれない。
だが、ジハードを忘れる日は、きっと永遠に来ない。
ジハードに愛されたことを忘れることはできないだろう。あの気高いウェルディの化身を愛し、恋焦がれ、嫉妬に狂った自分を忘れる日も訪れない。
どんなにサラトリアを愛そうと努めても、心の隅にはジハードが住み続ける。
だとすれば、サラトリアとともにいても裏切りへの嫌悪が付き纏い、自分を蔑んで生き続けねばならない。それが果たして幸福だろうか。
それにサラトリアはこの国に必要な人間だ。
ジハードが即位してから、まだたったの一年しか経っていない。この国を強くするには、ヴァルダンの持つ権力と財力が不可欠だ。
ジハードとウェルディリアのためにも、サラトリアをここで失わせるわけにはいかなかった。
「――公。私は公のご厚意に感謝しています。ですが、旅立ちは一人で逝かせてください」
シェイドは手を伸ばし、丸薬を二つとも、サラトリアが止める暇もなく口に含んだ。
「シェイド様!」
椅子を立ったサラトリアが慌てた様子で肩を掴んできた。喉を鳴らせば苦みのある丸薬の匂いが鼻から抜けて行く。
完全に嚥下してしまったのを知ると、サラトリアは悔しそうにシェイドの肩を揺さぶった。
「貴方は! どうして生きようとなさらない! 誰のために命を絶とうというのです!? これが最期ならば教えてくださってもいいでしょう!?」
叫ぶようなサラトリアの声が聞こえた。痛いほど肩を掴む手が震えている。
だがそれらの感覚は、数回息を吐く間にも遠ざかっていった。
長旅の疲れも相まってか、急速な眠気に襲われて、シェイドは重い瞼を瞬かせた。
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あの山の向こうはもうハルハーン――男神の末裔が治める、城壁に囲まれた都があるはずだ。
「……ジハード……」
この穢れた体を脱ぎ捨てて魂だけになったなら、神山を駆け抜けてあの地に戻りたい。愛しいジハードの側で、彼の治世が長く平穏に続くのを見守るのだ。
背に翼を得て鳥のように飛び立つ姿を思い描きながら、シェイドはサラトリアの腕の中で瞼を閉じた。
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