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君と夢を見られたら
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隣で眠る彼氏が
寝言で違う女の名前を呼んでいた
聞き間違いかもしれない
だけど「ユウナ」を「ハルナ」と
そんな間違いするわけがない
別に悲しくはない
彼氏なんて、いつかは去っていくし
いなくなったらまた
新しい男と付き合うだけだ
そう思いつつも
どうしようもなくなった私は
写真アプリに隠してあった
昔の彼氏たちの写真を見る
一緒に映る私は
どれも不満そうな顔をしている
相手にバレるわけではない
でも、自分にだけは分かる
その顔は本当に幸せな時の顔じゃない
「この人、名前なんだっけ…」
画像を見てポツリと独り言を漏らしてしまう
いつからだろう
見た目やタイミングだけで
彼氏を選ぶようになったのは
別に恋愛体質ではない
1人でも生きていけるし
お金に困ってるわけではない
でも、きっと何かを求めてるんだろう
それだけは漠然として
ずっと自分の頭の中にあった
奢ってくれると嬉しいし
優しくしてくれると好きになる
叱ってくれるのは自分のためで
2人でいる時間は楽しい
でも
そこに私の求める幸せはなかった
「他に何が必要なんだよ」
何度もそう言われたが
自分でも分からないのだから仕方がない
そうするうちに
何人もの人が私の元を去っていった
「それを見つけたいから、一緒にいるんじゃん」
その本音はいつも喉の奥で詰まって
言葉にならなかった
「言ってみれば、何か変わるのかな…」
私は寝ている彼氏に向かって
小さな声で呟く
「ねえ、どうしたら幸せになれるのかな…
私なんかが、幸せになれるのかな…
怖いよ…このままずっと変わらずに
誰にも愛されないで生きるのは…」
なぜだか自然と涙が溢れた
そうか、私は怖かったんだ
でもどうしようもない
今だって
彼と離れた後のことを考えている
1人で涙を流していると
寝ていたはずの彼が私の手をそっと握る
「そんなの俺にも分からないよ
でも君と幸せになりたいってずっと考えてる
こう見えて、将来の事とかも考えてて…」
「分からないけどさ、こんな風に悩みを打ち明けて
壁にぶち当たって悩んで泣いて
ずっとずっと2人で考えてさ
答えなんかないかもしれないけど
いつかそんな日々を幸せって呼べるといいよね」
寝ぼけ眼でそう話す彼は
口の端からヨダレを垂らしていた
「なにそれ、ヨダレ拭いてよ」
「え!マジ?
カッコつけたつもりだったんだけど」
私たちは真夜中に2人で笑い出す
「でもありがとう、ハルト…」
そう言いかけて、私は彼の寝言の意味に気づく
「そっか…」
彼となら幸せを見つけられるかもしれない
「え…そんな泣くほど面白かった?」
「うん、面白かった」
だって今
私は幸せを感じて涙を流しているんだから
寝言で違う女の名前を呼んでいた
聞き間違いかもしれない
だけど「ユウナ」を「ハルナ」と
そんな間違いするわけがない
別に悲しくはない
彼氏なんて、いつかは去っていくし
いなくなったらまた
新しい男と付き合うだけだ
そう思いつつも
どうしようもなくなった私は
写真アプリに隠してあった
昔の彼氏たちの写真を見る
一緒に映る私は
どれも不満そうな顔をしている
相手にバレるわけではない
でも、自分にだけは分かる
その顔は本当に幸せな時の顔じゃない
「この人、名前なんだっけ…」
画像を見てポツリと独り言を漏らしてしまう
いつからだろう
見た目やタイミングだけで
彼氏を選ぶようになったのは
別に恋愛体質ではない
1人でも生きていけるし
お金に困ってるわけではない
でも、きっと何かを求めてるんだろう
それだけは漠然として
ずっと自分の頭の中にあった
奢ってくれると嬉しいし
優しくしてくれると好きになる
叱ってくれるのは自分のためで
2人でいる時間は楽しい
でも
そこに私の求める幸せはなかった
「他に何が必要なんだよ」
何度もそう言われたが
自分でも分からないのだから仕方がない
そうするうちに
何人もの人が私の元を去っていった
「それを見つけたいから、一緒にいるんじゃん」
その本音はいつも喉の奥で詰まって
言葉にならなかった
「言ってみれば、何か変わるのかな…」
私は寝ている彼氏に向かって
小さな声で呟く
「ねえ、どうしたら幸せになれるのかな…
私なんかが、幸せになれるのかな…
怖いよ…このままずっと変わらずに
誰にも愛されないで生きるのは…」
なぜだか自然と涙が溢れた
そうか、私は怖かったんだ
でもどうしようもない
今だって
彼と離れた後のことを考えている
1人で涙を流していると
寝ていたはずの彼が私の手をそっと握る
「そんなの俺にも分からないよ
でも君と幸せになりたいってずっと考えてる
こう見えて、将来の事とかも考えてて…」
「分からないけどさ、こんな風に悩みを打ち明けて
壁にぶち当たって悩んで泣いて
ずっとずっと2人で考えてさ
答えなんかないかもしれないけど
いつかそんな日々を幸せって呼べるといいよね」
寝ぼけ眼でそう話す彼は
口の端からヨダレを垂らしていた
「なにそれ、ヨダレ拭いてよ」
「え!マジ?
カッコつけたつもりだったんだけど」
私たちは真夜中に2人で笑い出す
「でもありがとう、ハルト…」
そう言いかけて、私は彼の寝言の意味に気づく
「そっか…」
彼となら幸せを見つけられるかもしれない
「え…そんな泣くほど面白かった?」
「うん、面白かった」
だって今
私は幸せを感じて涙を流しているんだから
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