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「貴様のような、役立たずの聖女など、この国には要らぬ!二度とこの国に足を踏み入れることは許さん!」


ある任務で魔物退治が終わり呼び出されたと思えばいきなりコレとは。私が実力を隠しているとも思わないこの国の貴族や王族には嫌気がさす。

お母様も、この国で聖女と呼ばれていて、私のように実力を隠していた。私の今付けている封印具だって、お母様のものだ。それなのに気付かないとは、程度が知れる。


「国外追放、ですか……。ありがとうございます。それでは、早速失礼させていただきます」


私は、自然とお礼を口にしていた。3年もこの国に縛り付けられ、聖女としての役目を果たしていたのだ。正直、国外追放されるならもっと早くされたかったというのが本音ではあるが。





そんなことがあり、私は今、エルストリア王国にいた。私がいたカリアージュ皇国に比べ、治安がいいように思える。


「……もう、これも要らないか」


街の様子を見て、私は今まで付けていた魔術具の一つを外した。すると、本来の姿に戻っていく。私はお母様とは違い、姿までも変えていたのだ。
荒れた茶色の短い髪から、よく手入れされた銀の長い髪へ。茶色の瞳から、澄んだ青の瞳へと変化していく。


「あとは、仕事を見つけないとかな」


私が出来ることといえば、回復魔法や支援魔法のみではあるが。あとは、聖女としての固有魔法として、結界を張れるくらいだ。だとするのなら、選択肢としては冒険者となるか、軍に入るか、もしくは診療所で働くかくらいだろう。

冒険者となるのもいいが、冒険者になればカリアージュ皇国に行く機会があるかもしれない。そう思うと、躊躇われた。診療所は、私が働けるとはとても思えなかった。とすると……。


「軍、ね。何かあっても皇国から守ってくれそうでもあるし」


皇国の貴族は、頭がおかしいのが多いから。国民を搾取するものとしか思っておらず、貴族たたの選民思想から人々の生活はかなり酷いものになっていた。そんな皇国の貴族たちが馬鹿なことをしないとはとても言えない。


「でも、どうやって入るかが問題よね。……あ、そういえばエルストリア王国ってことはアイツがいたわね。酒場に行けば会えるかしら?」


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