18 / 51
長編版
18 殿下視点
しおりを挟む
アシュレイの話を聞いて深く安堵の息が漏れた。
「エレシア嬢には礼を言わなければな……もしもこの噂がリシュフィ嬢に知られていたらどれほど……」
どれほど……。
「リシュフィ嬢は……噂を知って気に病むだろうか……?」
連日あれだけ婚約の解消を迫ってくるリシュフィ嬢だ。俺が自分以外を寵愛しているなどと知ったところで気にするとは正直思えないが……。
しかしアシュレイは目元を和らげた。
「殿下。エレシア嬢は仰っていましたよ。
『自分の婚約者が他の女性と親しくしているなんて良い気分をするはずがありません』と。もしも耳に入ったとしたら、あのリシュフィ嬢でもきっと気にされたことでしょう」
「そうか……」
それを聞いて一つ、決意した。
もしも本当にリシュフィ嬢が噂を信じて動揺するようなことがあるなら、それは俺の責任だ。
「それなら、リシュフィ嬢には噂があることを俺から話そうと思う」
「伝えられるのですか? 知れば気にされると今も申し上げましたが……」
「今はリシュフィ嬢の耳に入っていないが、エレシア嬢も言っていたのだろう。噂は完全に消えるものではないと。なら今日明日にでも知ってしまうかもしれない」
そしてその時、リシュフィ嬢の心にわずかでも憂いを感じさせることがあってはならない。
「意図したことではないとはいえ婚約者を不安にさせるだろう行動を取ったのは俺の認識が甘かったからだ。誤解させる前に話をして、安心させてやりたい」
決意と共に部屋の窓へと目を向けるも、すでに空は橙と群青の混ざる時間だ。学園の夕食は男女別に寮で取ることになっているから、今から会いに行ってはやや失礼な訪問になってしまう。
明日リシュフィ嬢に話すと言うと、どこか嬉しそうなアシュレイが「お供します」と言ってくれた。
有難い援軍とともに翌日、リシュフィ嬢の元へと向かった。人前だからか令嬢の皮を被った婚約者に「話したいことがある」と伝えると、リシュフィ嬢の瞳に興奮と緊張が浮かんだように見えた。
「殿下。ついにご決断なされましたのね」
…………本当に話して大丈夫だろうな。
不安しかなかった。
「わたくし、この日を一日千秋の想いでお待ちしておりました。さぁ殿下。今こそ破棄の宣言を!」
サロンに着いたまでは良かったが──俺が何かを言う前に訳知り顔のリシュフィ嬢が切り出した。
「なにを待ち望んでおるのだ、お前は! そんな日など二度と来んからいい加減諦めろ!!」
この女は本当にまったくもって期待を裏切らない。
……期待ではないな。
リシュフィの綺麗な唇から落胆の「えー」が漏れる。
「期待を持たせるだけ持たせてこの仕打ち……あんまりです」
「持つんじゃない、そんなもの。箱にでも詰めて河原に捨ててこい!」
後ろから「犬の子ではないのですから、本題に入ってください、殿下」と呆れ口調のアシュレイの声がする。もしも俺に対する敬意に数値が着いていればさぞ数字が下がったことだろう。着いてきてもらったのは間違いだったかも知れない。
本題に入ろう。埒があかない。
「そのような話ではない。女生徒の間で俺に関する馬鹿げた噂が流れておるというから、その話をしたかっただけだ」
噂? とリシュフィ嬢が小首を傾げる。
さすがはエレシア嬢だ。見事にリシュフィ嬢の耳には入っていないらしい。
「俺が、その……特定の女生徒を寵していると噂があるらしくてな。そのことでお前に」
「まぁっ!」
なんとも弾んだ声とともに、藍色の瞳がキラキラと輝いた。
「殿下にご寵愛なさる方が出来ましたのね! なんておめでたいことでしょう。わたくし、全力でお祝いいたしますわ!」
「…………アシュレイ……」
「……申し訳ございません。リシュフィ嬢とエレシア嬢を同じ枠で考えた僕の失態です」
そうだな。ごく当たり前に模範的な令嬢であるエレシア嬢と『これ』を同じ扱いにしてはエレシア嬢に失礼だ。
「にしても一体お相手は誰なのです? はっ……エレシア!? 遂にエレシアがやってくれましたか!? あの子はきっとやり遂げてくれると信じておりましたのよ!」
なにをやり遂げるのかは聞きたくない……。
「そうと決まればすぐにでもエレシアを呼んで参りますわね! アシュレイ様、立会人をお願いしても!?」
「殿下、お気を確かに……。落ち着いてください、リシュフィ嬢。殿下の愛する方はエレシア嬢ではありませんよ。そうですよね、殿下?」
背中をやや強く叩かれて我に帰る。
そうだ。俺はなんのためにここに参ったのだ。
リシュフィ嬢に誤解をさせないために、会いにきたのではないか。
あいにく不安はまったくもって抱いてはいないようだが、それならむしろ良かった。
少しでも悲しい思いをさせていないのなら、良かったではないか。
「そうだ。エレシア嬢ではない」
そもそもお前以外に愛する者などいないのだ。
そう告げてしまいそうになったところで、婚約者殿は可愛らしく頰に手を当てた。
「──では、殿下はどなたを寵愛していらっしゃいますの?」
「………………………………」
い………………言えるかぁ!!
たったいま他の女性を愛していると分かって喜んでいた女に『愛しているのはお前だ』などと伝えて、幸せになれる未来が一欠片も見えんわ!!
後ろから『ここです、殿下!』と要らないエールが飛ぶ。
お前はリシュフィ嬢を分かっていない!
ここで言えばまさしく『お気持ちは有難いのですがお断りさせていただきます』の返答まっしぐらではないか!!
返事に苦慮する俺に、リシュフィ嬢が目を瞬き、首を不思議そうに傾けた。
長い睫毛に縁取られた藍色の瞳に俺が映って、絹糸のような銀髪が開けられた窓から入る風にそよぐ。
そうして改めて見た細い指をもつ手のひらが添えられた頰はあまりにも滑らかで、俺も触れたくなって……いやそれならば薔薇色に色付いた形の良い唇に──。
ああ。本当に。この女は。
「か、かわいい、女だ……」
意識せず、答えていた。
そしてそれを自覚した俺の脳内を占めたのは、『やってしまった』という後悔の言葉だ。
これでリシュフィ嬢から正式にお断りの言葉をもらうことになれば、俺はもう今夜ベッドに入ったきり起き上がれなくなる……。
しかしリシュフィ嬢はある意味で期待を裏切らなかった。
「なるほど。殿下が愛しておられるのは可愛らしい方ですのね。それならばエレシアではないのも頷けます。あの子はわたくし同様『可愛い』よりも『美しい』と言う言葉がぴったりですから」
「違う!! お前がかわ…………………………っ、た令嬢、だな。本当、に……」
後ろから敬意の数値がマイナスに振り切ったらしい呆れどころか軽蔑すら感じさせるため息の音がする。
分かっている。お前の言いたいことは分かっているが、この状況で言えるわけがないだろう!
リシュフィ嬢の顔が見れずにアシュレイを睨んで誤魔化す俺の耳に、恐ろしく低い「違う?」と言う声が届いた。
そのあまりにも不穏な声音に、振り返る首が錆びた玩具のようにギコギコと音を立てた。
振り返った先には、紛れもなくこの国で最も美しく恐ろしい笑顔があった。
「……いま。わたくしが美しくないと。そう仰いました?」
「あ、いや……今の違うというのは、だな……」
美しい笑顔は、一瞬で背に怒りの炎を背負う修羅に変わった。
「言い訳は無用でございます!! このわたくしの美貌を否定するなんて許しませんわよ! 今日という今日こそは絶対に婚約を破棄していただきますから!!」
這々の体で逃げ出す羽目になった。
王太子が婚約者に恐れをなして逃げ出すとはいかがなものだろうか。
自信をなくしてしまいそうだ……。
「エレシア嬢には礼を言わなければな……もしもこの噂がリシュフィ嬢に知られていたらどれほど……」
どれほど……。
「リシュフィ嬢は……噂を知って気に病むだろうか……?」
連日あれだけ婚約の解消を迫ってくるリシュフィ嬢だ。俺が自分以外を寵愛しているなどと知ったところで気にするとは正直思えないが……。
しかしアシュレイは目元を和らげた。
「殿下。エレシア嬢は仰っていましたよ。
『自分の婚約者が他の女性と親しくしているなんて良い気分をするはずがありません』と。もしも耳に入ったとしたら、あのリシュフィ嬢でもきっと気にされたことでしょう」
「そうか……」
それを聞いて一つ、決意した。
もしも本当にリシュフィ嬢が噂を信じて動揺するようなことがあるなら、それは俺の責任だ。
「それなら、リシュフィ嬢には噂があることを俺から話そうと思う」
「伝えられるのですか? 知れば気にされると今も申し上げましたが……」
「今はリシュフィ嬢の耳に入っていないが、エレシア嬢も言っていたのだろう。噂は完全に消えるものではないと。なら今日明日にでも知ってしまうかもしれない」
そしてその時、リシュフィ嬢の心にわずかでも憂いを感じさせることがあってはならない。
「意図したことではないとはいえ婚約者を不安にさせるだろう行動を取ったのは俺の認識が甘かったからだ。誤解させる前に話をして、安心させてやりたい」
決意と共に部屋の窓へと目を向けるも、すでに空は橙と群青の混ざる時間だ。学園の夕食は男女別に寮で取ることになっているから、今から会いに行ってはやや失礼な訪問になってしまう。
明日リシュフィ嬢に話すと言うと、どこか嬉しそうなアシュレイが「お供します」と言ってくれた。
有難い援軍とともに翌日、リシュフィ嬢の元へと向かった。人前だからか令嬢の皮を被った婚約者に「話したいことがある」と伝えると、リシュフィ嬢の瞳に興奮と緊張が浮かんだように見えた。
「殿下。ついにご決断なされましたのね」
…………本当に話して大丈夫だろうな。
不安しかなかった。
「わたくし、この日を一日千秋の想いでお待ちしておりました。さぁ殿下。今こそ破棄の宣言を!」
サロンに着いたまでは良かったが──俺が何かを言う前に訳知り顔のリシュフィ嬢が切り出した。
「なにを待ち望んでおるのだ、お前は! そんな日など二度と来んからいい加減諦めろ!!」
この女は本当にまったくもって期待を裏切らない。
……期待ではないな。
リシュフィの綺麗な唇から落胆の「えー」が漏れる。
「期待を持たせるだけ持たせてこの仕打ち……あんまりです」
「持つんじゃない、そんなもの。箱にでも詰めて河原に捨ててこい!」
後ろから「犬の子ではないのですから、本題に入ってください、殿下」と呆れ口調のアシュレイの声がする。もしも俺に対する敬意に数値が着いていればさぞ数字が下がったことだろう。着いてきてもらったのは間違いだったかも知れない。
本題に入ろう。埒があかない。
「そのような話ではない。女生徒の間で俺に関する馬鹿げた噂が流れておるというから、その話をしたかっただけだ」
噂? とリシュフィ嬢が小首を傾げる。
さすがはエレシア嬢だ。見事にリシュフィ嬢の耳には入っていないらしい。
「俺が、その……特定の女生徒を寵していると噂があるらしくてな。そのことでお前に」
「まぁっ!」
なんとも弾んだ声とともに、藍色の瞳がキラキラと輝いた。
「殿下にご寵愛なさる方が出来ましたのね! なんておめでたいことでしょう。わたくし、全力でお祝いいたしますわ!」
「…………アシュレイ……」
「……申し訳ございません。リシュフィ嬢とエレシア嬢を同じ枠で考えた僕の失態です」
そうだな。ごく当たり前に模範的な令嬢であるエレシア嬢と『これ』を同じ扱いにしてはエレシア嬢に失礼だ。
「にしても一体お相手は誰なのです? はっ……エレシア!? 遂にエレシアがやってくれましたか!? あの子はきっとやり遂げてくれると信じておりましたのよ!」
なにをやり遂げるのかは聞きたくない……。
「そうと決まればすぐにでもエレシアを呼んで参りますわね! アシュレイ様、立会人をお願いしても!?」
「殿下、お気を確かに……。落ち着いてください、リシュフィ嬢。殿下の愛する方はエレシア嬢ではありませんよ。そうですよね、殿下?」
背中をやや強く叩かれて我に帰る。
そうだ。俺はなんのためにここに参ったのだ。
リシュフィ嬢に誤解をさせないために、会いにきたのではないか。
あいにく不安はまったくもって抱いてはいないようだが、それならむしろ良かった。
少しでも悲しい思いをさせていないのなら、良かったではないか。
「そうだ。エレシア嬢ではない」
そもそもお前以外に愛する者などいないのだ。
そう告げてしまいそうになったところで、婚約者殿は可愛らしく頰に手を当てた。
「──では、殿下はどなたを寵愛していらっしゃいますの?」
「………………………………」
い………………言えるかぁ!!
たったいま他の女性を愛していると分かって喜んでいた女に『愛しているのはお前だ』などと伝えて、幸せになれる未来が一欠片も見えんわ!!
後ろから『ここです、殿下!』と要らないエールが飛ぶ。
お前はリシュフィ嬢を分かっていない!
ここで言えばまさしく『お気持ちは有難いのですがお断りさせていただきます』の返答まっしぐらではないか!!
返事に苦慮する俺に、リシュフィ嬢が目を瞬き、首を不思議そうに傾けた。
長い睫毛に縁取られた藍色の瞳に俺が映って、絹糸のような銀髪が開けられた窓から入る風にそよぐ。
そうして改めて見た細い指をもつ手のひらが添えられた頰はあまりにも滑らかで、俺も触れたくなって……いやそれならば薔薇色に色付いた形の良い唇に──。
ああ。本当に。この女は。
「か、かわいい、女だ……」
意識せず、答えていた。
そしてそれを自覚した俺の脳内を占めたのは、『やってしまった』という後悔の言葉だ。
これでリシュフィ嬢から正式にお断りの言葉をもらうことになれば、俺はもう今夜ベッドに入ったきり起き上がれなくなる……。
しかしリシュフィ嬢はある意味で期待を裏切らなかった。
「なるほど。殿下が愛しておられるのは可愛らしい方ですのね。それならばエレシアではないのも頷けます。あの子はわたくし同様『可愛い』よりも『美しい』と言う言葉がぴったりですから」
「違う!! お前がかわ…………………………っ、た令嬢、だな。本当、に……」
後ろから敬意の数値がマイナスに振り切ったらしい呆れどころか軽蔑すら感じさせるため息の音がする。
分かっている。お前の言いたいことは分かっているが、この状況で言えるわけがないだろう!
リシュフィ嬢の顔が見れずにアシュレイを睨んで誤魔化す俺の耳に、恐ろしく低い「違う?」と言う声が届いた。
そのあまりにも不穏な声音に、振り返る首が錆びた玩具のようにギコギコと音を立てた。
振り返った先には、紛れもなくこの国で最も美しく恐ろしい笑顔があった。
「……いま。わたくしが美しくないと。そう仰いました?」
「あ、いや……今の違うというのは、だな……」
美しい笑顔は、一瞬で背に怒りの炎を背負う修羅に変わった。
「言い訳は無用でございます!! このわたくしの美貌を否定するなんて許しませんわよ! 今日という今日こそは絶対に婚約を破棄していただきますから!!」
這々の体で逃げ出す羽目になった。
王太子が婚約者に恐れをなして逃げ出すとはいかがなものだろうか。
自信をなくしてしまいそうだ……。
10
お気に入りに追加
3,468
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
王妃の手習い
桃井すもも
恋愛
オフィーリアは王太子の婚約者候補である。しかしそれは、国内貴族の勢力バランスを鑑みて、解消が前提の予定調和のものであった。
真の婚約者は既に内定している。
近い将来、オフィーリアは候補から外される。
❇妄想の産物につき史実と100%異なります。
❇知らない事は書けないをモットーに完結まで頑張ります。
❇妄想スイマーと共に遠泳下さる方にお楽しみ頂けますと泳ぎ甲斐があります。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる