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第一章

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 あの後ララと食堂に向かい、ルーファス達にこってり絞られた。

『確認もせずに飲むやつがあるか!』
『私達がいない会場だったら、どうするつもりだったのですか』
『オーウェンさんに、ちゃんとごめんなさいしなきゃダメだよ?』

 私にも間違いとはいえ飲まなきゃやってられない理由があったのだが、すべてが正論で素直に謝るほかなかった。かばってくれたララに感謝だ……。

 そして急いで食事を終えて、執務室に逃げてきている。いつもは好きじゃない部屋だが、一息ついて机に突っ伏した。

「疲れた……」

 朝なのにもうすでに一仕事終えたかのような疲労感だ。ああ、働きたくない。
 だが、そうも言ってられなかった。ノックの音がして入室を促すとオーウェンが入ってきた。

「おはよう、オーウェン」

 笑顔で挨拶すると、オーウェンは探るような妙な表情で挨拶を返した。

「……おはようございます」

 どうしたんだろう。いつもなら笑顔で挨拶を返してくれるのに。朝だけは。

「昨日はごめんなさいね。迷惑かけて」
「……どれのことです?」

 訝しげに尋ねられて焦る。私、そんなにやらかしていたっけ……。

「ええと……ぜ、全部……?」
「……そうですか。気にしないでください。あなたの迷惑はいつものことです」

 こちらを睨むように言って、オーウェンはドサリと書類を自分の机に置いた。いつになく乱暴な仕草だった。どうしよう。ものすごく怒ってる!
 思わず立ち上がり、駆け寄った。

「本当にごめんなさい。いつも迷惑かけて……ほ、補佐をやめるなんて言わないわよね……!?」
「い、言いませんよ! 言いませんから、離してください!」

 手を取り言い募ると乱暴に手を振りほどかれた。
 気まずげなオーウェンの表情に驚く。いつもならこんなにはっきりと拒絶したりしないのに……。

「す、すみませ……書類を忘れました。取りに戻りますから少しお待ちください」

 逃げる背中を執務室から出て行った後も見つめて、思わず首を傾げた。
 急にどうしたんだろう。オーウェンの態度がおかしい。

 私、もしかして何か忘れてる……?
 昨日はオーウェンが飲み物を取ってきてくれて、それを飲んで酔っちゃったのよね。だから迷惑をかけて……あれ、そういえばどうして昨日はオーウェンと一緒に? いつも近づいて来ないのに。
 確か昨日はレスターと話してノエルとショーンが可愛くて……レスターがダンスに誘われて、それで私が一人になって……。

 ダンス……?

「あああああああ!」
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