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第一章
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部屋に招き入れられてソファに腰かけると、当然のようにララは隣に座った。
心臓が痛い……。
意を決して口を開く。
「あのね、ララ。昨日のお返事をしに来たの」
「……はい」
笑顔を消した真剣な表情でこちらを見つめるララに、真正面から向き合う。
「ずっとララのことはお友達だと思っていて、だから一緒に遊ぶのも出かけるのも私はとても楽しかった。でもララが昨日伝えてくれた気持ちは全然予想していなくて、正直戸惑いが大きくて……ごめんなさい。私にはあなたの気持ちに応えられないわ」
廊下を歩きながら何度も考えた言葉を一息で伝える。これは嘘偽りのない私の本心だ。
小動物のように愛らしいララが私は好きだ。ドレスの選び合いも楽しかったし、勘違いだったけど恋バナも嬉しかった。
それでも、これは女友達がすることだ。恋人にはなれない。
ララは「そうですか……」と呟き、うつむいてしまう。強く握られた拳が痛々しくて、解いてしまいそうになる手を抑えた。今、ララに触れてはいけない。
それでもなんとか返事をすることが出来て、少し心が軽くなった。これからも友達として仲良くしていければいいなぁ……。
「エルザさん!」
「はい!?」
突然ララはバッと顔を上げ、私の手を握った。一応にもスペードの10で、騎士として働く私が反応できない速度だった。
「エルザさんを困らせることはわかっていました。それでも言わないと伝わらないと思ったんです。戸惑わせてしまうのは当然です。でも、私のこと嫌いになっていたりはしませんよね……?」
「えっ、も、もちろんよ! ララのことは今まで通り大好きよ」
嫌われたと思って不安になっていたらしいララに笑顔で応える。やや引きつってしまったのは許してほしい。
「それなら……返事は保留のままにしていていただけませんか?」
「……保留?」
「はい。私のことを嫌いになったわけじゃないなら、私、頑張りたいんです。どうしてもエルザさんのことが大好きで、諦めたくありません。せめて私が帰る日まで、返事は待っていただけませんか」
ララは乙女ゲームのヒロインだ。そのことが焦る私の脳裏をよぎった。
乙女ゲームのヒロインは、決して諦めない。攻略対象にそっけなくされても突き放されても。彼女達の頑張りのお陰で、私達プレイヤーはグッドエンドを迎えられるのだ。
「エルザさん。私はあなたが好きです。大好きです」
そのことが私を苦しめる日が来るとは、夢にも思わなかった。
心臓が痛い……。
意を決して口を開く。
「あのね、ララ。昨日のお返事をしに来たの」
「……はい」
笑顔を消した真剣な表情でこちらを見つめるララに、真正面から向き合う。
「ずっとララのことはお友達だと思っていて、だから一緒に遊ぶのも出かけるのも私はとても楽しかった。でもララが昨日伝えてくれた気持ちは全然予想していなくて、正直戸惑いが大きくて……ごめんなさい。私にはあなたの気持ちに応えられないわ」
廊下を歩きながら何度も考えた言葉を一息で伝える。これは嘘偽りのない私の本心だ。
小動物のように愛らしいララが私は好きだ。ドレスの選び合いも楽しかったし、勘違いだったけど恋バナも嬉しかった。
それでも、これは女友達がすることだ。恋人にはなれない。
ララは「そうですか……」と呟き、うつむいてしまう。強く握られた拳が痛々しくて、解いてしまいそうになる手を抑えた。今、ララに触れてはいけない。
それでもなんとか返事をすることが出来て、少し心が軽くなった。これからも友達として仲良くしていければいいなぁ……。
「エルザさん!」
「はい!?」
突然ララはバッと顔を上げ、私の手を握った。一応にもスペードの10で、騎士として働く私が反応できない速度だった。
「エルザさんを困らせることはわかっていました。それでも言わないと伝わらないと思ったんです。戸惑わせてしまうのは当然です。でも、私のこと嫌いになっていたりはしませんよね……?」
「えっ、も、もちろんよ! ララのことは今まで通り大好きよ」
嫌われたと思って不安になっていたらしいララに笑顔で応える。やや引きつってしまったのは許してほしい。
「それなら……返事は保留のままにしていていただけませんか?」
「……保留?」
「はい。私のことを嫌いになったわけじゃないなら、私、頑張りたいんです。どうしてもエルザさんのことが大好きで、諦めたくありません。せめて私が帰る日まで、返事は待っていただけませんか」
ララは乙女ゲームのヒロインだ。そのことが焦る私の脳裏をよぎった。
乙女ゲームのヒロインは、決して諦めない。攻略対象にそっけなくされても突き放されても。彼女達の頑張りのお陰で、私達プレイヤーはグッドエンドを迎えられるのだ。
「エルザさん。私はあなたが好きです。大好きです」
そのことが私を苦しめる日が来るとは、夢にも思わなかった。
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