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第一章
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澄んだ青空が広がる川辺に、一人では両手が届かないほど大きなシートをみんなで広げる。
ゲームのイベントで何度も来るここは、色とりどりの小花が暖かな太陽の光を浴びて背伸びするように元気に咲いていて、穏やかに流れる風が気持ちいい。
今日は絶好のピクニック日和だ。
これは残念ながらイベントで来たわけではない。
ララと三人の仲がいまひとつ進展しないことがどうしても気になる私が、皆を誘って連れ出したのだ。
大の大人が五人もいるから、大きなバスケットは二つもある。
その中には私と、ゼンにも手伝ってもらってこれでもかと軽食やデザート、それに現地で絞って飲めるようにたくさんのオレンジを詰め込んできた。
ララはノエルと一緒に辺りを散策していて、この間の一件のお陰か、打ち解けた様子で笑いあう姿が見える。
二人の姿を微笑ましく思いながら、手早く準備を進める。
持参したフライパンの取っ手を差し出すとルーファスが渋々それを受け取り、手のひらを上にしてフライパンの下に入れる。
しばらくもしないうちにフライパンからはかすかに熱気が立ち昇り、その上に用意した生地を流し込めば、表面がふつふつと泡立ち始めた。
火の魔法が使えるルーファスはコンロ代わりだ。
あっという間にほかほかのパンケーキが出来上がった。
「氷の属性があれば冷えたジュースが飲めるのにね」
「あー、いいなそれ」
あいにくこの世界に氷の属性は存在しない。
ゲームや漫画によっては水属性が氷も使えるというものもあったのに、この世界の水属性は氷が出せない。
この暖かな日差しの下の冷たいジュース以上に素晴らしいものはないというのに。
「手伝い料な」と言ってスライスベーコンに伸ばされるルーファスの手を叩きつつ、ささっとパンケーキを焼いていると、ララ達が帰ってきた。
シートに広げた様々な料理達を眺めれば、頑張って準備したかいがあったというものだ。手を叩いて歓声をあげるララに頬が緩む。
「はい、ララさん。こぼさないよう気を付けて」
「あ、ありがとうございます!」
ジュースを絞っていたゼンがララに一つ差し出した。すぐに人数分が揃い、各々が好きに食事と会話を楽しむ。
「仕事にはもう慣れましたか?」
「はい。とても親切に教えていただいているのでありがたいです」
「侍女ちゃん達のお茶会にも呼ばれたんだよね。どうだった?」
「とても楽しかったです。話題はほとんど皆さんの話ばかりでしたよ」
「俺達の話の何が面白いんだ?」
「そりゃあ、誰が好きなの~とかでしょう? ララはなんて答えたの?」
からかうように尋ねると、ララは微かに頬を赤らめる。
「え、えっと、その話題は確かに出たんですけど、私はエルザさんの話ばかりしていて呆れられちゃいました」
「なら、今日のことで少しは話題を提供できたかしらね」
誰の好感度が一番高いのか気になるなぁ。今度こっそり聞いてみよう。
ガタガタポクポクと音がして皆で顔を上げると、私達が来た逆の方向から一台の箱馬車がこちらに向かって緩やかに近づいてくる。
「ゲッ」というキングらしからぬ声が聞こえて、心の中で謝罪した。
ごめんね、私の仕込みだ。
私たちのすぐ近くで止まった馬車から降りてきたのは、絶世の美丈夫だ。
ゲームのイベントで何度も来るここは、色とりどりの小花が暖かな太陽の光を浴びて背伸びするように元気に咲いていて、穏やかに流れる風が気持ちいい。
今日は絶好のピクニック日和だ。
これは残念ながらイベントで来たわけではない。
ララと三人の仲がいまひとつ進展しないことがどうしても気になる私が、皆を誘って連れ出したのだ。
大の大人が五人もいるから、大きなバスケットは二つもある。
その中には私と、ゼンにも手伝ってもらってこれでもかと軽食やデザート、それに現地で絞って飲めるようにたくさんのオレンジを詰め込んできた。
ララはノエルと一緒に辺りを散策していて、この間の一件のお陰か、打ち解けた様子で笑いあう姿が見える。
二人の姿を微笑ましく思いながら、手早く準備を進める。
持参したフライパンの取っ手を差し出すとルーファスが渋々それを受け取り、手のひらを上にしてフライパンの下に入れる。
しばらくもしないうちにフライパンからはかすかに熱気が立ち昇り、その上に用意した生地を流し込めば、表面がふつふつと泡立ち始めた。
火の魔法が使えるルーファスはコンロ代わりだ。
あっという間にほかほかのパンケーキが出来上がった。
「氷の属性があれば冷えたジュースが飲めるのにね」
「あー、いいなそれ」
あいにくこの世界に氷の属性は存在しない。
ゲームや漫画によっては水属性が氷も使えるというものもあったのに、この世界の水属性は氷が出せない。
この暖かな日差しの下の冷たいジュース以上に素晴らしいものはないというのに。
「手伝い料な」と言ってスライスベーコンに伸ばされるルーファスの手を叩きつつ、ささっとパンケーキを焼いていると、ララ達が帰ってきた。
シートに広げた様々な料理達を眺めれば、頑張って準備したかいがあったというものだ。手を叩いて歓声をあげるララに頬が緩む。
「はい、ララさん。こぼさないよう気を付けて」
「あ、ありがとうございます!」
ジュースを絞っていたゼンがララに一つ差し出した。すぐに人数分が揃い、各々が好きに食事と会話を楽しむ。
「仕事にはもう慣れましたか?」
「はい。とても親切に教えていただいているのでありがたいです」
「侍女ちゃん達のお茶会にも呼ばれたんだよね。どうだった?」
「とても楽しかったです。話題はほとんど皆さんの話ばかりでしたよ」
「俺達の話の何が面白いんだ?」
「そりゃあ、誰が好きなの~とかでしょう? ララはなんて答えたの?」
からかうように尋ねると、ララは微かに頬を赤らめる。
「え、えっと、その話題は確かに出たんですけど、私はエルザさんの話ばかりしていて呆れられちゃいました」
「なら、今日のことで少しは話題を提供できたかしらね」
誰の好感度が一番高いのか気になるなぁ。今度こっそり聞いてみよう。
ガタガタポクポクと音がして皆で顔を上げると、私達が来た逆の方向から一台の箱馬車がこちらに向かって緩やかに近づいてくる。
「ゲッ」というキングらしからぬ声が聞こえて、心の中で謝罪した。
ごめんね、私の仕込みだ。
私たちのすぐ近くで止まった馬車から降りてきたのは、絶世の美丈夫だ。
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