上 下
22 / 28

22

しおりを挟む
何時間たってもヒートが収まらず、流石に若い桑嶋でも体力が尽きて、注ぎ込んだ精を閉じ込めるかのように統久のアナルに再び張形を押し込んで、電源を入れる。
「あ……ッッう……う……や…ああ、ああああ、ああ」
「これじゃ、流石にアンタも孕むかもな」
 桑嶋は下腹部をゆっくりと撫でて、喘ぎ声しか漏らせなくなった統久の頭を抱え込むように、背後から抱きしめている。
「オレは、孕めって思ってるけど」
 だから掻きだしてやらないんだと耳元で囁くが、統久には聞こえてないように、虚ろな表情のまましゃくりあげるような声を漏らし続けているだけだ。
「……このまま、オレの子供産めよ」
「ン、ァ、ああ……く…ぅう、ァア……ああ、うう」
「普段が憎たらしい感じだからかもしれねえけどな、すげえ可哀想なのが可愛い」
 悪戯をするように、唇に指を這わせてちゅっちゅと統久が吸い付くのを楽しみ、亀頭をくにくにと弄りながら責める。
 尿意に似た感覚があるのか、統久は嫌がるようにもじつきながら首を横に振る。
「……ぃや、あ、あ、も、もれひゃ……う…あっ、う」
「漏らしていいよ、ねえ、アンタのもっと情けない姿見せてよ。なんだか、アルファがオメガに夢中になる気持ちが分かっちまったかもな」
 桑嶋は尿道に爪をくい込ませ、キリキリと強く刺激すると同時に、グイッと奥を張形で突き上げられ、プシャップシャッと透明な飛沫が勢いよく飛び出す。
「イッ……でひゃ、う……ヤら……ッく、あ、あ、あ……」
 びしゃびしゃと液体がとめどなく溢れてしまい、止められず泣くことしかできずにしゃくりあげる。全身が弛緩してビリビリと震えてたまらなくなる。
「約束には早いけど、今すぐアンタをオレのものにしたい」
 桑嶋は、統久の背中を擦っていたが、すっと指先を項の辺りにずらして、切なそうに往復を繰り返す。
 愛なんて言葉を桑嶋自身は信じたことなんてなかったけれど、この男を自分のものにしたいという欲望には嘘はない。可愛くて仕方がないと思える。
 甘く啼いていただけの統久の表情が、何故か頼りなく僅かに翳る。
「……ッ、ッ、あ、あ、ヤだ……」
 誰でもいいと言っていたはずの統久に拒まれて、桑嶋は目を見開いて、身体を震わせる男の顔を覗きこんだ。
  まだ快感に酔ったままのような濡れた目は、それでも一生懸命に桑嶋を見返す。
「なんで?」
 何故かと問われれば、視線がさまようように揺れる。
    ヒートの苦しみがなくなることは、抑制剤が効かない統久にとっては、甘いだけではない誘惑である。
 喉から手がでるくらいの申し出ではあれど、拒む理由なのまったくないのだ。
「……ッ……あ、あ、ああ……だって……。おれ……を、すきだって……きいて、ねえ……」
 統久自身、そんなことは子供を産むだけなんだし、どうでもいいはずだとずっと思ってきたことだった。
  だけど、セルジュは誰でもいいとは思っていないから。だから、あの時誰でもいいと言った俺を問いつめた。だから、誰でもいいわけじゃないと……聞かないと、嫌いな俺を同情で番にするわけにはいかない。
 それに俺は……俺が本当に愛しているのは、違う男だから。それを、告げないといけない。
 桑嶋は、急に発せられた統久の必死な言葉に驚いたような表情で見返す。
 強すぎる快感の波の中で、なんとか流されないように目を必死で目を見開く統久の顔を眺めると項にそっと唇をあてて、昨夜つけた痕を吸い上げる。
「オレは、アンタのことが好きだよ。……大丈夫」
 桑嶋はズルッと胎内から張形が引き抜くと、背後から抱かれたまま脚を腕に絡めて開かせ、とろとろと注がれた体液があふれ出す。
「……好きだよ。だからオレのメスになれよ、統久」
 名を呼ばれ腰を抱えられ屹立した肉にぐぶりと貫かれて、思わず統久は頷くと、まるで麻薬を打たれたかのように、ぐにゃりと視界がゆらいで身体中が歓喜するような感覚に吼える。
 体の重みに深々と抉りあげられ、下腹部が熱をもったようにうねり始める。
 桑嶋には、統久を救いたい気持ちも大きかったが、それよりも何よりもおこの男を自分のものにしたいという欲望が勝っていた。
「ッあ、ああ……ッく、ッメスに……してッ、かんで、ああ、かんでッ……くれッ」
 心から好きだと思われて繋がれる相手なんて、この世にはいないと決めてた。愛されることなどないと。、決まっていると思い込んでいた。
「ああ、噛ませろよ……アンタはオレのモノだ」
 脚を開かれたまま、腰を掴まれて追い詰められるようにガツガツと揺らされて悲鳴をあげたところで、項を舐められガリッと犬歯をたてられる感覚に統久は絶頂する。
「ヒッ、あァあああ……ァあああ」
 頭の中心から背筋まで突き抜ける感覚と、全身を侵食していく感覚に、統久は捕食されたように痙攣を繰り返し、意識を闇へと奪われた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇
BL
会社員、兎山俊太郎(とやま しゅんたろう)はある日、「やっぱり女の子が好きだわ」と言われ別れを切り出される。彼氏の売れないバンドマン、熊井雄介(くまい ゆうすけ)は人気上昇中の清純派アイドル、桃澤久留美(ももざわ くるみ)と付き合うのだと言う。ショックの中で俊太郎が出社すると、幼馴染の有栖川麗音(ありすがわ れおん)が中途採用で入社してきて……?

αに妊娠させられて… Ωの災難

天災
BL
 αに妊娠させられたΩの僕の話

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

壁穴奴隷No.19 麻袋の男

猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。 麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は? シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。 前編・後編+後日談の全3話 SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。 ※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。 ※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった! せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。 失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。 「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」 アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。 でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。 ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!? 完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ! ※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※ pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。 https://www.pixiv.net/artworks/105819552

記憶喪失の君と…

R(アール)
BL
陽は湊と恋人だった。 ひねくれて誰からも愛されないような陽を湊だけが可愛いと、好きだと言ってくれた。 順風満帆な生活を送っているなか、湊が記憶喪失になり、陽のことだけを忘れてしまって…! ハッピーエンド保証

成り行き番の溺愛生活

アオ
BL
タイトルそのままです 成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です 始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください オメガバースで独自の設定があるかもです 27歳×16歳のカップルです この小説の世界では法律上大丈夫です  オメガバの世界だからね それでもよければ読んでくださるとうれしいです

処理中です...