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 息を吸うとむせかえるような、甘い痺れが全神経を辿り、股間ははち切れそうに反応する。この男が欲しいと、脳みそがドーパミンを出しまくる。
 これが、オメガだってのか。
「……どうし、た……ッて……」
 どくどくと鼓動が激しくなって、桑嶋は目の前で緩慢な動作でペニスをパンツから引きずりだして、くちゃくちゃっと音をたててうっとりとした表情を浮かべて舐め始める統久に驚いた表情のまま目を見開く。
「……くれよ……も、がまん、できねえ……んだ、よ。ほしくなりゃ、だれに……だって、かまわねえんだ……」
 ちゅっちゅっと先っぽを挟み込むように統久の唇にすっぽり咥えこまれ、吸い上げられる感覚に酔いながらも、いつかの答えを返されて、桑嶋は息を呑んだ。
 あの時はまったく統久の心が読めなかったが、どんな気持ちであんなことを言ったのか、今やっとたどり着けた気がした。
 それが誰だとしても、発情した身体を慰めるためなら、そこに愛情の有無など関係なくなる。
 それだけ切羽詰まった欲情と身体。そんな気持ちで呟いた台詞の意味に、桑嶋は何故か泣きそうになる。
 そういう風に生まれた時に決まってしまってるだなんて、こいつは絶望しなかったのだろうか。
 充分な硬度を確認すると、彼は桑嶋の腰に跨ってゆっくりと内側に埋没させ、充足を求めるように脚を淫らに拡げて腰を揺らして奥へと誘いこみ、唇を震わせて甘く息を吐き出す。
「……ッ……ッう、は……ッ……ッああ、いい、イイッ……」
 桑嶋の腰の上で屹立を軸にして、味わうかのように内部の肉襞が蠢き絡みつくように取り込んでいく。
「なッん、だ……これ……っ」
 そこが同じ男がもつ器官なのか不思議なくらいに粘液が溢れ、柔らかく熟れた肉壁が熱をもってきゅうきゅうと芯を包み込み、指先まで痺れるような快感が走る。体液がねっとりと絡みつき、もっていかれるような感覚に、桑嶋は天井を仰ぐ。
 漂うフェロモンに、まるで媚薬でも吸っているかのように、全身がたまらない熱に包まれて、熱が全身から芯へとせりあがると同時に、この身体をすべて征服してしまいたいという本能からくる凶暴な欲望が湧きおこり、統久の腰を掴むと内部の堅い肉瘤をカリで刺激するように動かす。
 パチュッ、パチュッ、 パチュッと体液と肉が擦れる淫靡な音が響く。
 統久は顎をあげて、目を見開き理性を失い歓喜したような獣のような嬌声をあげる。
「……ッひ、ァァア、あ、あ……ああッ…………っふあ、ひ、アァ、アア、いいい、も、あひ、あっ、ふぁあ、あああ」
 貫くたびに統久の口元は緩み、舌をはみだして唇の淵から涎を溢れさせ、浅ましく腰をくねらせて全身で肉の動きを享受している。壁の奥にある肉がちゅぱちゅぱと吸い付くように竿に絡まる。
 しゃくりあげるような咽び泣きを繰り返しながらも快感に溺れる彼の様子が、ひどく悲しくなる。
 あの時の彼女を思い出してしまう。
 それなのに綺麗で目が離せず、桑嶋は何度も脆い箇所に腰を突き上げてそれを求めた。
「ッあ、ああ……せる、ッじゅ……ッ、せるッ……なか……いっく、いっちゃ、ァァアアア、もっ、もっ、ァアアア」
 水っぽい精液を撒き散らして、名前を呼びながら果てる統久の胎内の奥へと桑嶋も精を注ぎ込み、その身体を強く抱き寄せる。
 震えを刻む首筋に、桑嶋はまるで吸い寄せられるように唇を押し付け噛み付きたい衝動を抑えて、ちゅっと痕を遺すように吸い上げた。
 
 
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