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番外編:家庭教師と勉強しよう
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「なあ、相談くらいないのかよ」
たけおは、私服で家に来てと言ったら出かけるのと勘違いしたようで、来て早々拗ねている。
ちゃんと細かい説明もメールすれば良かったのかもしれない。
「ごめん。セイ君、東の制服嫌いなんだって」
俺はセイ君に公式の使い方、応用をレクチャーされながら、文句をいいながらもコーヒをいれてくれるたけおに謝る。
「知ってる。キタラんちに行った時に聞いた」
たけおは、後輩でセイ君の弟の家に何度か行っている。
「セイ君改めて紹介するね。俺の腹違いの弟のたけお」
「ああ、それでタケちゃん先輩って、キタラが呼んでるんですね」
ちらと目を向け軽く頭を下げると、セイ君はどうでもいいかのように答え合わせしたプリントを俺に渡す。
プリントを見るとほとんどあっていたが、効率の悪い解き方に指摘が入っている。解き方まで追って確認してくれるのはありがたい。
「それより、国語がどうにかしたい」
「壊滅的ですよね。私立なら殆ど国語はないし、あっても帰国子女枠でどうにかなりそうなんだけど」
国立狙いの俺をちらちらと見ながら、セイ君は軽く息をつく。
「とーちゃんにはあまり負担かけたくないというかさ」
「跡継ぎいないんだし、カネくらい出すだろ」
跡継ぎを放棄した当のたけおは、気軽にいうが、俺は少しかっこつけたかった。
ちゃんとなるだけ自分でどうにかして、たけおを手に入れたかった。
奨学金も自分で払える金額で、なんとかしたいのだ。
「まあ、覚えは悪くないから大丈夫だと思いますが、てにをはの使い方がいまでも変です」
「て、に、を、は?」
「たとえば、国語がどうにかしたい、ではなく、国語をどうにかしたい、です。まあ、日本語話し始めてまだ8年でしたっけ。昔はドイツ語しか喋れなかったから、格段に進歩してますけど」
日本語は本当に難しい。
大学の入試をクリアするくらいにならなくては。
「これから毎日1冊本を読んで、感想をメールで僕に提出してくださいね」
これを貸しますと、セイ君は1冊の文庫本を俺に手渡した。
やはりセイ君の教え方は理にかなった方法で、思っていたよりも捗った。
夕食を出すとかなり嬉しそうに食べて行ったので、俺も満足していたのだが、たけおはかなり不満そうで、不機嫌なオーラが漂ってきている。
それでも、セイ君を家までバイクで送っていってくれたので感謝している。
こんな夜道を一人で帰して絡まれたら大変だし。
「たけお、これからデートするか?」
帰ってきたたけおが玄関に上がる前に、俺はその腕をぐいと掴んだ。
いつもより少しだけお洒落にしている様子なので、相当期待して来たのはわかる。
「あ?もう、夜遅せえぞ。ドコいくんだよ」
面倒臭いといったように、赤い髪をバリバリ掻き乱して俺を見上げる。
まあ、遊ぶには夏の夜は長いって話。
「公園、とか?」
「公園なあ。こんな夜になにすんだよ、花火とかか?ヤルなら買ってくるけどよ」
疲れた表情を浮かべるたけおの耳元に俺は唇を押し当てるように近づけて、
「ナニしようぜ。開放感あって、イイかも」
俺の言葉にたけおは驚いて見返し、目をしばたたかせる。
「……お兄ちゃん、アンタ、ソッチの花火あげたいのかよ」
たけおは俺の腰に腕を回して満更でもない表情を浮かべる。
暫く勉強漬けでたけおとはそういうことを、1週間はやってない。俺もそろそろ限界だったし。
「家でもいいんだけど、夏だしさあ。夏っぽいことしたいなあって」
「分かった。あーっと、近くじゃあヤベエから、少し遠出するぞ」
たけおは少し強く俺の腕を引いて外に出た。
たけおは、私服で家に来てと言ったら出かけるのと勘違いしたようで、来て早々拗ねている。
ちゃんと細かい説明もメールすれば良かったのかもしれない。
「ごめん。セイ君、東の制服嫌いなんだって」
俺はセイ君に公式の使い方、応用をレクチャーされながら、文句をいいながらもコーヒをいれてくれるたけおに謝る。
「知ってる。キタラんちに行った時に聞いた」
たけおは、後輩でセイ君の弟の家に何度か行っている。
「セイ君改めて紹介するね。俺の腹違いの弟のたけお」
「ああ、それでタケちゃん先輩って、キタラが呼んでるんですね」
ちらと目を向け軽く頭を下げると、セイ君はどうでもいいかのように答え合わせしたプリントを俺に渡す。
プリントを見るとほとんどあっていたが、効率の悪い解き方に指摘が入っている。解き方まで追って確認してくれるのはありがたい。
「それより、国語がどうにかしたい」
「壊滅的ですよね。私立なら殆ど国語はないし、あっても帰国子女枠でどうにかなりそうなんだけど」
国立狙いの俺をちらちらと見ながら、セイ君は軽く息をつく。
「とーちゃんにはあまり負担かけたくないというかさ」
「跡継ぎいないんだし、カネくらい出すだろ」
跡継ぎを放棄した当のたけおは、気軽にいうが、俺は少しかっこつけたかった。
ちゃんとなるだけ自分でどうにかして、たけおを手に入れたかった。
奨学金も自分で払える金額で、なんとかしたいのだ。
「まあ、覚えは悪くないから大丈夫だと思いますが、てにをはの使い方がいまでも変です」
「て、に、を、は?」
「たとえば、国語がどうにかしたい、ではなく、国語をどうにかしたい、です。まあ、日本語話し始めてまだ8年でしたっけ。昔はドイツ語しか喋れなかったから、格段に進歩してますけど」
日本語は本当に難しい。
大学の入試をクリアするくらいにならなくては。
「これから毎日1冊本を読んで、感想をメールで僕に提出してくださいね」
これを貸しますと、セイ君は1冊の文庫本を俺に手渡した。
やはりセイ君の教え方は理にかなった方法で、思っていたよりも捗った。
夕食を出すとかなり嬉しそうに食べて行ったので、俺も満足していたのだが、たけおはかなり不満そうで、不機嫌なオーラが漂ってきている。
それでも、セイ君を家までバイクで送っていってくれたので感謝している。
こんな夜道を一人で帰して絡まれたら大変だし。
「たけお、これからデートするか?」
帰ってきたたけおが玄関に上がる前に、俺はその腕をぐいと掴んだ。
いつもより少しだけお洒落にしている様子なので、相当期待して来たのはわかる。
「あ?もう、夜遅せえぞ。ドコいくんだよ」
面倒臭いといったように、赤い髪をバリバリ掻き乱して俺を見上げる。
まあ、遊ぶには夏の夜は長いって話。
「公園、とか?」
「公園なあ。こんな夜になにすんだよ、花火とかか?ヤルなら買ってくるけどよ」
疲れた表情を浮かべるたけおの耳元に俺は唇を押し当てるように近づけて、
「ナニしようぜ。開放感あって、イイかも」
俺の言葉にたけおは驚いて見返し、目をしばたたかせる。
「……お兄ちゃん、アンタ、ソッチの花火あげたいのかよ」
たけおは俺の腰に腕を回して満更でもない表情を浮かべる。
暫く勉強漬けでたけおとはそういうことを、1週間はやってない。俺もそろそろ限界だったし。
「家でもいいんだけど、夏だしさあ。夏っぽいことしたいなあって」
「分かった。あーっと、近くじゃあヤベエから、少し遠出するぞ」
たけおは少し強く俺の腕を引いて外に出た。
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