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忘恩不義
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確かに気持ちはイイけど、だけどそれだけ。
トール君の話に、少し男同士のセックスに興味があっただけで、ただそれだけだ。
なのに、改めて道具なんだと言われたら、胸のどっかがモヤモヤとイヤな気持ちになって仕方がない。
「大丈夫、か?…………眞壁」
行為が終わると、途端に苗字で呼ばれる。
無味乾燥な感じ。
さっきまで、名前を呼んでいたのに、富田君は切り替えるようにすぐに苗字呼びになる。
なんか、そんなに大丈夫じゃない。ひどく寂しい気分だ。
「なんだよ………。意識、飛んでんのか……。……士龍」
問いかけに答えずにいると、富田君は俺の頭を普段はしないように優しく撫でて名前を呼ぶ。
行為後に名前を呼ぶのは俺が聞いていないと思っているからなのか。
ゆっくりと富田君は名残を惜しむように身体を引いてトイパーで汚れを拭う。
丁寧に身体を拭いてくれてから、ポケットから小さいボトルを出して哺乳瓶のふたの長いようなノズルをつけて、まだ開いたままの俺のアナルに挿しこむ。
「……く…………ッ……ッ?」
「ちっと、つめてえかも。中洗うから……。肩に掴まってろ。ほら……大丈夫か」
ボトルをぎゅうぎゅうと富田君が握ると、肛門の中に水が入ってくる。
「ンンン……ッふ……あ、な、に」
思わず唸ると、全部出し終えたのかノズルを引き抜く。
入ってきた水がこぷこぷと中から溢れる。
指を挿しこまれて軽く開かれると、どろっとした粘液が水と一緒に便器に出される。
「…………ッ、な、なんか…………はずい…………」
「アンタでも恥ずかしがるのな」
意外だと苦笑を浮かべながら富田君は、俺の下腹を少し押して中を洗うと、着ていたシャツを脱いで俺に着せる。
サイズが合わないのか、少しキツイ。
「オレ、もう帰るし。アンタのシャツ汚しちまったから、後で交換しようぜ」
棚に載せた衣服も下ろして、服を着替えさせようとしてくれる。
動こうとしてケツの下の違和感に気づいて、俺はあることに気づいた。
「なあ…………。もう…………便所はやめよう」
俺が提案すると、首を傾げて俺を見やり、
「どこにしようが、オレの好きにするし、アンタには決定権はねえよ」
ちょっとだけムッとした富田君の表情にぶち当たる。
「便座、割れてっから…………これは、俺が力みすぎたってセンセに謝っておく……」
「あ、便座?……っぶはッ、マジで言ってんの……?ホント、アンタって。じゃあ、別の器物破損しねえとこ考えとくわ」
俺は割れた便座から腰を上げて服を着替えさせてもらって、それにもなんだか違和感を感じていた。
便器扱いする癖に、こんな、甲斐甲斐しいことをしてくれるのとか、ホントにわけがわからない。
「オレは先に出るぜ。アンタは休んでから、教室もどんなよ。あと、これ。口直しにやるよ」
一緒に出るわけにいかないしと呟くと、俺の手の中に見慣れたいちごみるくのパックをつかませて、富田君はさっさと個室を出ていく。
なんだか、俺はひどく胸の中がモヤモヤとしたものでいっぱいになった。
壊れた便座を眺めて、まるで自分の行く末を暗示するのではないかという不安。
そして得体のしれないモヤモヤが、ずっと侵食していき、息苦しくて仕方がない。
優しかったり、冷たくしたり。
富田君の態度のギャップが良く分からないから、気になってしまうだけなのかもしれない。
考えても分からないものは、分からないよね。
富田君から貰ったいちごみるくをポケットにしまうと便所を後にした。
トール君の話に、少し男同士のセックスに興味があっただけで、ただそれだけだ。
なのに、改めて道具なんだと言われたら、胸のどっかがモヤモヤとイヤな気持ちになって仕方がない。
「大丈夫、か?…………眞壁」
行為が終わると、途端に苗字で呼ばれる。
無味乾燥な感じ。
さっきまで、名前を呼んでいたのに、富田君は切り替えるようにすぐに苗字呼びになる。
なんか、そんなに大丈夫じゃない。ひどく寂しい気分だ。
「なんだよ………。意識、飛んでんのか……。……士龍」
問いかけに答えずにいると、富田君は俺の頭を普段はしないように優しく撫でて名前を呼ぶ。
行為後に名前を呼ぶのは俺が聞いていないと思っているからなのか。
ゆっくりと富田君は名残を惜しむように身体を引いてトイパーで汚れを拭う。
丁寧に身体を拭いてくれてから、ポケットから小さいボトルを出して哺乳瓶のふたの長いようなノズルをつけて、まだ開いたままの俺のアナルに挿しこむ。
「……く…………ッ……ッ?」
「ちっと、つめてえかも。中洗うから……。肩に掴まってろ。ほら……大丈夫か」
ボトルをぎゅうぎゅうと富田君が握ると、肛門の中に水が入ってくる。
「ンンン……ッふ……あ、な、に」
思わず唸ると、全部出し終えたのかノズルを引き抜く。
入ってきた水がこぷこぷと中から溢れる。
指を挿しこまれて軽く開かれると、どろっとした粘液が水と一緒に便器に出される。
「…………ッ、な、なんか…………はずい…………」
「アンタでも恥ずかしがるのな」
意外だと苦笑を浮かべながら富田君は、俺の下腹を少し押して中を洗うと、着ていたシャツを脱いで俺に着せる。
サイズが合わないのか、少しキツイ。
「オレ、もう帰るし。アンタのシャツ汚しちまったから、後で交換しようぜ」
棚に載せた衣服も下ろして、服を着替えさせようとしてくれる。
動こうとしてケツの下の違和感に気づいて、俺はあることに気づいた。
「なあ…………。もう…………便所はやめよう」
俺が提案すると、首を傾げて俺を見やり、
「どこにしようが、オレの好きにするし、アンタには決定権はねえよ」
ちょっとだけムッとした富田君の表情にぶち当たる。
「便座、割れてっから…………これは、俺が力みすぎたってセンセに謝っておく……」
「あ、便座?……っぶはッ、マジで言ってんの……?ホント、アンタって。じゃあ、別の器物破損しねえとこ考えとくわ」
俺は割れた便座から腰を上げて服を着替えさせてもらって、それにもなんだか違和感を感じていた。
便器扱いする癖に、こんな、甲斐甲斐しいことをしてくれるのとか、ホントにわけがわからない。
「オレは先に出るぜ。アンタは休んでから、教室もどんなよ。あと、これ。口直しにやるよ」
一緒に出るわけにいかないしと呟くと、俺の手の中に見慣れたいちごみるくのパックをつかませて、富田君はさっさと個室を出ていく。
なんだか、俺はひどく胸の中がモヤモヤとしたものでいっぱいになった。
壊れた便座を眺めて、まるで自分の行く末を暗示するのではないかという不安。
そして得体のしれないモヤモヤが、ずっと侵食していき、息苦しくて仕方がない。
優しかったり、冷たくしたり。
富田君の態度のギャップが良く分からないから、気になってしまうだけなのかもしれない。
考えても分からないものは、分からないよね。
富田君から貰ったいちごみるくをポケットにしまうと便所を後にした。
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