俺たちの××

怜悧(サトシ)

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番外編

新生活祝い→sideT

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入社して4日間働き詰めだった。
でも、なんとか、こんな俺でも職場に慣れてはきた。
康史も俺に気を使っているのか、まったく手を出してこないし、手を出す様子もない。
たしかに、ヤリすぎてグロッキーになったら、仕事に差し障るし、俺の仕事は運転なので体調は本当に命にかかわる。
特に土日が休みではないシフト制なので、康史の学校の休みとはあまり重ならない。
ほとんど朝と夜しか顔を合わせない生活。
今までにはなかった。

康史はこんな先が見えていたから、あんなに焦ったのだろうな。
そのおかげで、今は朝と夜は一緒にいられる。

やっと、そして明日は休みだ。

ガキのように嬉しくなっている俺に栗原は、あんまりハメ外すなよと声をかけて帰っていった。
門の前で待つ康史を見つけて嬉しくなって思わず抱きついてしまい、周りを気にして軽く離されたのに不満を覚えながらも、車に乗り込んだ。

いつもと違う気配に振り返り、後部座席にぎゅうぎゅうにつまったスポーツマン2人を見つける。

「オッス、東流!オツカレー。相変わらずイチャイチャだねえ」

誠士は、ニヤッと含むように笑い、相変わらずのジャージ姿で手を振る。
ちらっと康史を見返すと、
「まだこいつら入学式まで暇だっていうから、うちでトールの入社祝いしようってさ」
「コンバンハ。東流がちゃんと働けてるとかビックリしたよ」
相変わらずの爽やかな東山が、誠士の隣で手をあげる。
「さすがに3日以上働いてるし、大丈夫じゃないって話になってね」
康史は、にこりと笑ってアクセルを踏んで車を走らせる。
「もう、食事とか準備はオレらでしたからさ」
「お祝いとか、嬉しいぜ」
「トールの好きなハンバーグも用意した」
康史が運転をしながら、また嬉しいことを言い出す。
「酒ももってきたぞ」
楽しそうに言う東山のを見て俺は指さす。
「ちょ、未来のおまわりさーん、そこのサッカー選手が悪いことをしてんぞ」
東山はこの間発表された、日本選抜U19かなんかに選ばれたらしい。
「俺は飲まないよ。家のをもってきただけ」
そんな迂闊なことはしませんと、東山はおかしそうに笑う。
プロに入れなければ、大学で教職をとって、体育の先生になるらしい。
みんな、先を考えてんだよな。
「だーかーら、東流、初任給、期待してるよー」
誠士はニヤニヤと愉しそうに笑う。
「分かった!セージには、すごくいいハンドグリッパーを買ってやろう」
「え、ちょ、間に合ってるって」
「俺には?」
「ヒガシにも、すごくいいハンドグリッパーを…………」
「俺握力関係ないからね?サッカーだからね?」

呆れ顔の康史を尻目に、俺らはハンドグリッパー談義を車でしつづけた。
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