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三学期編
情勢 →side T
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橘病院は、駅前から少し入ったとこにある病院で、開業医にしてはかなりでかい病院である。
科も大病院の総合病院に近いくらいあるので、連携という総合病院からの下請けみたいなこともやっているらしい。
「あ、シロ、報復とかまだあるんかな。今のとこ、ヤスを1人にさせねーようにしてんだけど」
ずっと一緒にはいるつもりだが、たまには一人で出掛けたいとかあるかもしれない。
「そっか。えーと、たけおのとこ玉砕済だし、あとは、ウッチーのトコだけど、ウッチーはそういうの好きじゃないからな。元々、今のトップのハルちゃんが、トール君潰したら次のトップとかいいだしたからなんだけど」
「はた迷惑なヤツだな。ハルちゃんねえ」
名前は聞いた感じ可愛いが、可愛いやつじゃないだろう。
面倒くさくて、ついついため息が出てしまう。
「ハルちゃんって、いつも、絡みにくるアイツらかな、身長でけえリーゼントと糸目…………」
思い出したように、康史は呟く。
「そうそう、そいつら」
士龍はそんな感じの見た目だよと教えてくれる。
富田は、ちょっと不服そうな顔をする。
「士龍がトップになるって言わないからだぞ。言えば、オマエに敵うやつなんか学校にいねえんだから。そんなややこしいことおこんねえんだからな」
ムスッとした顔で、虎王はボソリと言葉を繋げる。
「ヤだよ。トップとか。面倒くさいじゃん……。トップとかになったら、それこそトール君たちに会わないとならなくなるだろ。それにもっとたくさん助けにいかなきゃならなくなるし」
いつもくるヤツはトップだからというのもあってだろう。毎回負ける癖に、執拗に狙ってきていた。
俺らと戦いを避けている士龍は、トップになる訳にはいかなかったのだろう。
「だからよ、いつもいうけど、ぜんぶ自分だけでやらねえでいいんだって!」
ムッとして言い返す富田を、宥める士龍はわしゃわしゃと撫で回している。
「とりあえず、ハルちゃんとこが動かなきゃ大丈夫!」
士龍は明るく答えるが、それではまだ大丈夫とは言えないな。
「ハルちゃんって奴が卒業するまでは、安心できねえよな」
康史はそうだなあと、肩を落として呟く。
やっぱり部屋でひとりでいるのはつまらねえよな。
もうすぐ免許もとれるし、なるだけ一緒に外に出る時間をつくろう。
こんなに、一緒にいれる時間はもうないだろうしな。
「俺がハルちゃんに、トール君たちに絡むのやめろというのはおかしいしな」
「まあ、平気だ。やってきたら返り討ちするしな」
安心しろと士龍の顔を見返す。
「だねえ。ハルちゃんは、俺より弱いからダイジョブだよね」
「オマエが校内で一番つええんだっけ、シロ」
中学に上がる前に引越しが決まって、1人でも戦えるようになりたいと、戦う方法を教えてくれっていってたな。
「師匠の教えがよかったからだよ。カラダでっかくなっただけで、喧嘩の仕方はトール君に教えてもらったのを忠実に再現してるだけだもん」
「頑張ってんな!うんうん、よくやってるぞ、弟子よ」
俺は振り返って、親指をたててやる。
士龍は笑って親指を立て返してきた。
ようやく橘病院に着くと、士龍の体を支えるようにして富田は寄り添って病院へ入っていった。
まあ、ヤツらなら大丈夫だろう。
科も大病院の総合病院に近いくらいあるので、連携という総合病院からの下請けみたいなこともやっているらしい。
「あ、シロ、報復とかまだあるんかな。今のとこ、ヤスを1人にさせねーようにしてんだけど」
ずっと一緒にはいるつもりだが、たまには一人で出掛けたいとかあるかもしれない。
「そっか。えーと、たけおのとこ玉砕済だし、あとは、ウッチーのトコだけど、ウッチーはそういうの好きじゃないからな。元々、今のトップのハルちゃんが、トール君潰したら次のトップとかいいだしたからなんだけど」
「はた迷惑なヤツだな。ハルちゃんねえ」
名前は聞いた感じ可愛いが、可愛いやつじゃないだろう。
面倒くさくて、ついついため息が出てしまう。
「ハルちゃんって、いつも、絡みにくるアイツらかな、身長でけえリーゼントと糸目…………」
思い出したように、康史は呟く。
「そうそう、そいつら」
士龍はそんな感じの見た目だよと教えてくれる。
富田は、ちょっと不服そうな顔をする。
「士龍がトップになるって言わないからだぞ。言えば、オマエに敵うやつなんか学校にいねえんだから。そんなややこしいことおこんねえんだからな」
ムスッとした顔で、虎王はボソリと言葉を繋げる。
「ヤだよ。トップとか。面倒くさいじゃん……。トップとかになったら、それこそトール君たちに会わないとならなくなるだろ。それにもっとたくさん助けにいかなきゃならなくなるし」
いつもくるヤツはトップだからというのもあってだろう。毎回負ける癖に、執拗に狙ってきていた。
俺らと戦いを避けている士龍は、トップになる訳にはいかなかったのだろう。
「だからよ、いつもいうけど、ぜんぶ自分だけでやらねえでいいんだって!」
ムッとして言い返す富田を、宥める士龍はわしゃわしゃと撫で回している。
「とりあえず、ハルちゃんとこが動かなきゃ大丈夫!」
士龍は明るく答えるが、それではまだ大丈夫とは言えないな。
「ハルちゃんって奴が卒業するまでは、安心できねえよな」
康史はそうだなあと、肩を落として呟く。
やっぱり部屋でひとりでいるのはつまらねえよな。
もうすぐ免許もとれるし、なるだけ一緒に外に出る時間をつくろう。
こんなに、一緒にいれる時間はもうないだろうしな。
「俺がハルちゃんに、トール君たちに絡むのやめろというのはおかしいしな」
「まあ、平気だ。やってきたら返り討ちするしな」
安心しろと士龍の顔を見返す。
「だねえ。ハルちゃんは、俺より弱いからダイジョブだよね」
「オマエが校内で一番つええんだっけ、シロ」
中学に上がる前に引越しが決まって、1人でも戦えるようになりたいと、戦う方法を教えてくれっていってたな。
「師匠の教えがよかったからだよ。カラダでっかくなっただけで、喧嘩の仕方はトール君に教えてもらったのを忠実に再現してるだけだもん」
「頑張ってんな!うんうん、よくやってるぞ、弟子よ」
俺は振り返って、親指をたててやる。
士龍は笑って親指を立て返してきた。
ようやく橘病院に着くと、士龍の体を支えるようにして富田は寄り添って病院へ入っていった。
まあ、ヤツらなら大丈夫だろう。
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