235 / 353
三学期編
誓い →side T
しおりを挟む
あの時とまったく一緒の返事を返されて、俺はまるでデジャヴとか思ったが、あの時は俺がイエスかはいかどっちか答えろというフリでの流れだった。
いまのはそんな流れはあの時と違って、一切なかった。
そうなると、いくら鈍感な俺でもわかる。
康史から、その答えが出る理由はひとつだ。
「ヤス、なあ、思い出したのか?」
腕の中にいる康史におそるおそる聞いてみる。
全部じゃないにしても、ら少なくとも、最初のプロポーズのことは思い出しているはずだ。
康史は頷いてら俺の頬を撫でる。
「一切合切全部だ…………なんって言いたいけど、俺にも全部だっていえる根拠もないからね。ただ、夏からの出来事は思い出した」
俺は無言で康史の背中に腕をまわした。
「トールのことをあんなふうに責めてたのに、直後に俺が同じ轍を踏むとか、ホントにありえねーよな」
少しだけバツが悪そうな顔をして、俺の胸に頭を寄せるので、康史の髪を指先で爪弾くように梳く。
「なかったことにしたし、なかったことになったんだから、それは蒸し返すんじゃねぇ」
「そうだったな。……あーあ、トールは、本当に優しい」
それをいうなら、あの時のことは、俺にとっても康史を助けることが出来なかった出来事で、不覚なことだった。
忘れるなら、そこだけでも忘れて欲しいくらいに。
「トールのプロポーズの言葉。それ、聞いたら、オレのもやもやしてた頭の中がハッキリして、色んなことがぜんぶつながったんだ」
呟くように康史はそう言って、俺の腰に腕を回す。
「初めて言った時は、俺、酷い格好だったけどな」
「M字開脚でね。それなのに、あの時は、凄くカッコ良く思えた」
頭を擦り寄せてくる様子が可愛くて、俺はふと笑いながらチュッチュと唇を頭の上に落とす。
「今もパイパンだから、かわんねーちゃ、かわんねーけどな」
笑いながら言葉を返すと、ちらと上目遣いで康史は俺を見上げて、照れたように呟いた。
「違いねーけど、トールはいつだってカッケーからいいんだ。だって、ソレって全部オレのため、だろ?」
いまのはそんな流れはあの時と違って、一切なかった。
そうなると、いくら鈍感な俺でもわかる。
康史から、その答えが出る理由はひとつだ。
「ヤス、なあ、思い出したのか?」
腕の中にいる康史におそるおそる聞いてみる。
全部じゃないにしても、ら少なくとも、最初のプロポーズのことは思い出しているはずだ。
康史は頷いてら俺の頬を撫でる。
「一切合切全部だ…………なんって言いたいけど、俺にも全部だっていえる根拠もないからね。ただ、夏からの出来事は思い出した」
俺は無言で康史の背中に腕をまわした。
「トールのことをあんなふうに責めてたのに、直後に俺が同じ轍を踏むとか、ホントにありえねーよな」
少しだけバツが悪そうな顔をして、俺の胸に頭を寄せるので、康史の髪を指先で爪弾くように梳く。
「なかったことにしたし、なかったことになったんだから、それは蒸し返すんじゃねぇ」
「そうだったな。……あーあ、トールは、本当に優しい」
それをいうなら、あの時のことは、俺にとっても康史を助けることが出来なかった出来事で、不覚なことだった。
忘れるなら、そこだけでも忘れて欲しいくらいに。
「トールのプロポーズの言葉。それ、聞いたら、オレのもやもやしてた頭の中がハッキリして、色んなことがぜんぶつながったんだ」
呟くように康史はそう言って、俺の腰に腕を回す。
「初めて言った時は、俺、酷い格好だったけどな」
「M字開脚でね。それなのに、あの時は、凄くカッコ良く思えた」
頭を擦り寄せてくる様子が可愛くて、俺はふと笑いながらチュッチュと唇を頭の上に落とす。
「今もパイパンだから、かわんねーちゃ、かわんねーけどな」
笑いながら言葉を返すと、ちらと上目遣いで康史は俺を見上げて、照れたように呟いた。
「違いねーけど、トールはいつだってカッケーからいいんだ。だって、ソレって全部オレのため、だろ?」
0
お気に入りに追加
360
あなたにおすすめの小説
待てって言われたから…
ふみ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。
//今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて…
がっつり小スカです。
投稿不定期です🙇表紙は自筆です。
華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!?
※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。
いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。
しかしまだ問題が残っていた。
その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。
果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか?
また、恋の行方は如何に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる