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三学期編
奪還作戦 →side Y
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数のみでこれからすぐに乗り込むと言う士龍を、オレは一旦諌めた。
昔はかなり思案深い方だったのだが、東高のやり方に感化されたのか。
この数で事務所を取囲んだら、通報されてさすがに警察も動くだろう。
一斉検挙みたいな形で捕まるのは勘弁してほしい。
士龍いわく、警察を動かしても恋人が助かればと考えたらしいが、死なば諸共な考え方は、オレは好きではない。
東流には誠士に、防弾チョッキとかをくすねてくるように電話させた。
銃とかを持っている可能性もある。
そのへんの武装などを用意していくのは当然だ。
それと、秘策。
「シロ、ヤクザさんも男だからね。女には油断するだろ?」
諭すように言うと、士龍は東流とは違って確かにそうだねえと言って話を聞こうとしてくれる。
まあ、昔の士龍はどっちかと言えば、オレと似たタイプだったしな。
「ヤッちゃん、その作戦はありだけどね。でも、女の子がいないよ?」
ぐるっと回りを見回して、昔のように可愛らしくこてんと首をかしげる。
こんだけの人数集められる派閥のアタマには到底思えない。
2年のころから、東の最大派閥でいつか襲ってくると言われていたので警戒はしていた。
しかし全くそんな気配はなく、逆に不気味だと思っていたのは覚えている。
襲ってくるどころか、近くをその派閥のヤツをみたことがなかった。
周りを見回しても、知らないヤツらばかりだ。
「オレが女装する。自慢じゃねーけど、そこらの女よりイケてるぜ」
士龍は俺をマジマジと見つめて、ぽんと手を叩いた。
「そか、ヤッちゃんは今も綺麗だもんね」
邪気のない笑顔で言われると、すっかり毒気をぬかれる。
小学生の時は姿形も天使の様で、微笑みは最高に天使だった。
いまでもその笑顔だけは、健在のようである。
「シロの昔の可愛さには負けるけどね。任せておけ。美人局作戦だ、オレは滅多に女装なんかしないんだからな」
「そうだよね。ヤッちゃん、すっごいイケメンだもんね」
おまえこそ、十分イケメンになっちまったよなと思う。
オレは東流のおふくろさんに服を借りに一旦店に戻ることにした。
「まあ、あの橘病院のシロちゃんが?」
東流のおふくろさんと双子に襲撃じゃなかったことと、事情を話して、夜の仕事用の服を借りて着替えている。
「すげえ背が高くてイケメンになってたよ」
「ヤッちゃん、ブラジャーちゃんとつけてね。女は胸が命よ!」
おふくろさんは妙にパリパリと張り切っている。
胸にパッドをつめて、ひらひらした服を着ると、化粧道具を借りる。
「ダメダメ、ヤッちゃん。ヤクザの人向けの化粧じゃなきゃね。それじゃ清楚すぎるわ」
パタパタと少し濃すぎるかなと思うような化粧を施してくれる。さすが、ヤクザの嫁。
長いこと夜の仕事をしてきただけある。
オヤジさんの関係のひともよく来るだろうしな。
「やっぱり、ヤッちゃん、やばいね。すんげー美人ー」
北羅の素直な言葉になんだか気分がよくなる。
作戦通りにいけば、被害も警察もこないうちになんとかできるかな。
オレは、おふくろさんに渡されたヒールなしの靴を履くと、再度東流たちのいる空き地へと戻った。
昔はかなり思案深い方だったのだが、東高のやり方に感化されたのか。
この数で事務所を取囲んだら、通報されてさすがに警察も動くだろう。
一斉検挙みたいな形で捕まるのは勘弁してほしい。
士龍いわく、警察を動かしても恋人が助かればと考えたらしいが、死なば諸共な考え方は、オレは好きではない。
東流には誠士に、防弾チョッキとかをくすねてくるように電話させた。
銃とかを持っている可能性もある。
そのへんの武装などを用意していくのは当然だ。
それと、秘策。
「シロ、ヤクザさんも男だからね。女には油断するだろ?」
諭すように言うと、士龍は東流とは違って確かにそうだねえと言って話を聞こうとしてくれる。
まあ、昔の士龍はどっちかと言えば、オレと似たタイプだったしな。
「ヤッちゃん、その作戦はありだけどね。でも、女の子がいないよ?」
ぐるっと回りを見回して、昔のように可愛らしくこてんと首をかしげる。
こんだけの人数集められる派閥のアタマには到底思えない。
2年のころから、東の最大派閥でいつか襲ってくると言われていたので警戒はしていた。
しかし全くそんな気配はなく、逆に不気味だと思っていたのは覚えている。
襲ってくるどころか、近くをその派閥のヤツをみたことがなかった。
周りを見回しても、知らないヤツらばかりだ。
「オレが女装する。自慢じゃねーけど、そこらの女よりイケてるぜ」
士龍は俺をマジマジと見つめて、ぽんと手を叩いた。
「そか、ヤッちゃんは今も綺麗だもんね」
邪気のない笑顔で言われると、すっかり毒気をぬかれる。
小学生の時は姿形も天使の様で、微笑みは最高に天使だった。
いまでもその笑顔だけは、健在のようである。
「シロの昔の可愛さには負けるけどね。任せておけ。美人局作戦だ、オレは滅多に女装なんかしないんだからな」
「そうだよね。ヤッちゃん、すっごいイケメンだもんね」
おまえこそ、十分イケメンになっちまったよなと思う。
オレは東流のおふくろさんに服を借りに一旦店に戻ることにした。
「まあ、あの橘病院のシロちゃんが?」
東流のおふくろさんと双子に襲撃じゃなかったことと、事情を話して、夜の仕事用の服を借りて着替えている。
「すげえ背が高くてイケメンになってたよ」
「ヤッちゃん、ブラジャーちゃんとつけてね。女は胸が命よ!」
おふくろさんは妙にパリパリと張り切っている。
胸にパッドをつめて、ひらひらした服を着ると、化粧道具を借りる。
「ダメダメ、ヤッちゃん。ヤクザの人向けの化粧じゃなきゃね。それじゃ清楚すぎるわ」
パタパタと少し濃すぎるかなと思うような化粧を施してくれる。さすが、ヤクザの嫁。
長いこと夜の仕事をしてきただけある。
オヤジさんの関係のひともよく来るだろうしな。
「やっぱり、ヤッちゃん、やばいね。すんげー美人ー」
北羅の素直な言葉になんだか気分がよくなる。
作戦通りにいけば、被害も警察もこないうちになんとかできるかな。
オレは、おふくろさんに渡されたヒールなしの靴を履くと、再度東流たちのいる空き地へと戻った。
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