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三学期編
統べる男 →side Y
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確かにトラウマみたいなものが、オレの心の中に巣食ってしまっているようだ。
東流には忘れるように言われても、体が反応してしまう。
東高の黒と赤のラインよに学ランを見るだけで背中がぞわりとする。
東流はああは言うけど、100人はさすがにキツイだろう。
空き地に近づくと、東高の学ランで黒山になっている。
二人で潰せる自信はないな。
多勢に無勢だ。
だけど、東流の母親の店に何かあったら、大変なのでら逃げるわけにはいかねえしな。
東流は東高のヤツらがたまっている空き地の人だかりをぐるりと見回す。
この人数を統べる男を、野生の勘で特定したらしい。
こういうカンだけは東流は鋭いのだ。
東流は指示をくだしているヤツらから、突っ立って報告を受けている金髪の男の方へずかずかと入り込んでいった。
オレもその背後を、震える足にムチを打つように平然を装って空き地に入った。
多分数を潰すよりは、最初にアタマを潰した方がいいという考えなのだろう。
ずいずいと金髪に向かって歩いていく東流の2歩後ろを、周りの動きに気を配りながら進む。
驚き慌てたようにざわりと戦闘態勢をとり、周りの男たちは僅かに距離をおいてオレたちをを囲む。
見知った顔はまったくなく、いつも仕掛けてくるヤツらではなさそうだ。
アタマと思われる金髪の男は身長は東流より少し高く、タレ目の甘ったるいマスクをしている。
見た感じハーフだろうか。
女受けのよさそうなイケメンである。
こんなイケメンは記憶にはない。
多分オレを襲ったヤツらではないだろう。
これだけの人数を集められるヤツと言えば、東の人数最大派閥の眞壁くらいだろうか。
有名なのに、オレらの前には姿を見せたことはなかったし、眞壁派の奴もからんできたことはない。
金髪の男は東流の顔を見るなり、何故か嬉しそうに笑顔を見せた。
大抵東高の奴らは敵なので、襲ってくるのが普通なのに、奴は手を軽くあげて周りのヤツらを引かせた。
東流も何故か戦闘モードを解いて、相手に何か呼びかけ親しげになにやら話しだした。
なんだ?知り合い、か?
オレは不審に思いながらゆっくり2人に近づくと、金髪はオレの顔をじっと見つめて目を細め懐かしそうな表情を浮かべた。
「トール?知り合い?」
問いかけると、金髪のイケメンは少しオレに近づいて己を指さして、
「久しぶり、覚えてるかな?……ヤッちゃんだよね?俺、シロだよ」
オレの昔の呼び名を呼んで、ふわふわと昔のように柔らかい表情で笑う。
シロ……?
あ、あ、そういや、こないだ東流が会ったって言ってたな。
オレと東流の共通の友達のシロというのは小学生の時の親友だ。
その頃はまるで西洋絵画の天使のような美少年だった。
目の前にいるのは、少し日本人ばなれした顔の背の高いイケメンである。
「シロ?!…………橘、士龍か?ちょ、でかくなったな!!」
オレよりも小さくて可愛い美しい天使のような少年だったのに。
それが、まさか見上げるほどでかくなっているとは。
ドイツの血が入ってはいたクォーターの遺伝子のせいだろうけど。
それにしても、士龍がこの集団のアタマなのか?
他には、見たところ彼ほど強そうな奴はいないし。
ちょっと照れたように笑みを浮かべて、昔のようにやんわりとした表情で言った。
「ああ、えっと、引越しするまえに、親が離婚したから、橘じゃなくなっちゃった。今はかーちゃんの苗字で、眞壁士龍だよ」
士龍は改めて自己紹介をした。
東流には忘れるように言われても、体が反応してしまう。
東高の黒と赤のラインよに学ランを見るだけで背中がぞわりとする。
東流はああは言うけど、100人はさすがにキツイだろう。
空き地に近づくと、東高の学ランで黒山になっている。
二人で潰せる自信はないな。
多勢に無勢だ。
だけど、東流の母親の店に何かあったら、大変なのでら逃げるわけにはいかねえしな。
東流は東高のヤツらがたまっている空き地の人だかりをぐるりと見回す。
この人数を統べる男を、野生の勘で特定したらしい。
こういうカンだけは東流は鋭いのだ。
東流は指示をくだしているヤツらから、突っ立って報告を受けている金髪の男の方へずかずかと入り込んでいった。
オレもその背後を、震える足にムチを打つように平然を装って空き地に入った。
多分数を潰すよりは、最初にアタマを潰した方がいいという考えなのだろう。
ずいずいと金髪に向かって歩いていく東流の2歩後ろを、周りの動きに気を配りながら進む。
驚き慌てたようにざわりと戦闘態勢をとり、周りの男たちは僅かに距離をおいてオレたちをを囲む。
見知った顔はまったくなく、いつも仕掛けてくるヤツらではなさそうだ。
アタマと思われる金髪の男は身長は東流より少し高く、タレ目の甘ったるいマスクをしている。
見た感じハーフだろうか。
女受けのよさそうなイケメンである。
こんなイケメンは記憶にはない。
多分オレを襲ったヤツらではないだろう。
これだけの人数を集められるヤツと言えば、東の人数最大派閥の眞壁くらいだろうか。
有名なのに、オレらの前には姿を見せたことはなかったし、眞壁派の奴もからんできたことはない。
金髪の男は東流の顔を見るなり、何故か嬉しそうに笑顔を見せた。
大抵東高の奴らは敵なので、襲ってくるのが普通なのに、奴は手を軽くあげて周りのヤツらを引かせた。
東流も何故か戦闘モードを解いて、相手に何か呼びかけ親しげになにやら話しだした。
なんだ?知り合い、か?
オレは不審に思いながらゆっくり2人に近づくと、金髪はオレの顔をじっと見つめて目を細め懐かしそうな表情を浮かべた。
「トール?知り合い?」
問いかけると、金髪のイケメンは少しオレに近づいて己を指さして、
「久しぶり、覚えてるかな?……ヤッちゃんだよね?俺、シロだよ」
オレの昔の呼び名を呼んで、ふわふわと昔のように柔らかい表情で笑う。
シロ……?
あ、あ、そういや、こないだ東流が会ったって言ってたな。
オレと東流の共通の友達のシロというのは小学生の時の親友だ。
その頃はまるで西洋絵画の天使のような美少年だった。
目の前にいるのは、少し日本人ばなれした顔の背の高いイケメンである。
「シロ?!…………橘、士龍か?ちょ、でかくなったな!!」
オレよりも小さくて可愛い美しい天使のような少年だったのに。
それが、まさか見上げるほどでかくなっているとは。
ドイツの血が入ってはいたクォーターの遺伝子のせいだろうけど。
それにしても、士龍がこの集団のアタマなのか?
他には、見たところ彼ほど強そうな奴はいないし。
ちょっと照れたように笑みを浮かべて、昔のようにやんわりとした表情で言った。
「ああ、えっと、引越しするまえに、親が離婚したから、橘じゃなくなっちゃった。今はかーちゃんの苗字で、眞壁士龍だよ」
士龍は改めて自己紹介をした。
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