俺たちの××

怜悧(サトシ)

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冬休み編

プレゼント →side T

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見渡す限りカップルの群れ、群れ、群れ。
こんだけカップルいれば、人口減少も少しは緩和されるかもな。貢献はできねーけど。

真昼間だっていうのにキラキラした装飾が街中施されている。
路上でチキンやらケーキやらを販売したり、呼び込みやらでいつもより騒々しい。

「プレゼントとかって、何やったらいいもんなんかなァ」
とりあえず、駅前の専門店街に入ったグルグル回っているが、まったく見当がつかない。
波砂と付き合ってた頃は、康史を呼び出して選ぶのを手伝ってもらってたし。

今考えると、ずっと今まで随分残酷な仕打ちを康史にはしてたかもしれない。
ガキの時からずっと好きでいてくれたって言ってたし、でも、あいつもオンナとっかえひっかえしてたんだから、俺に分かるはずもねえし。
まあ、あいつのことだし分からないようにしてくれてたのかもしんねーけどさ。

「好みっぽいモンかなって思うけど、康史、オシャレさんだしなー。」
「誠士のセンスでも厳しいか」
「まあ、オマエに貰えりゃなんでも喜ぶと思うけどな。前に、東流がヤツにやった射的の景品のウサギのぬいぐるみ、まだ部屋に飾ってあるだろ」
「え……そうだっけ?」

そういや、机の上に黒いウサギがずっと乗ってるようなきがする。
「東流がこんなもんイラネって、渡したの。大事に置いてあるぜ」
「……セージは気づいてたのか」
「アイツのオンナ好きカムフラには騙されてたけど、弁当毎日手作りとかありえんし……。康史は、東流には思いを伝えたりしねえだろうなってどっかで思ってた」
よく見ているなと、思う。
男物のファッション雑貨が置いてある店に入ると、とりあえず中を見回す。
すぐに目に入るのは、龍やら虎などの柄の入ったカバンやマフラーに引かれて、つい目で追ってしまう。
「……俺が鈍感なンかなァ」
「まあ、二人して鈍感ちゃあ鈍感だけどな。」
店内を見回して、セージはちょっと考え込むようにうなりながら、店内の品物を手にとる。
「そーなのか?」
「ン。俺から見たら、オマエら昔から相思相愛だしよ」
昔からそう見えていたのか。
「康史も強姦なんかしねえでも、スキだって言えば、東流も簡単にはOKだしただろうに」
「あー。………多分…そうだなァ……って簡単とか」
「康史が言えば簡単だと思うぞ。大体、アイツは俺に相談くらいしてくれりゃいいのに。俺に相談があれば、ビシッと好きだと告白すれば大丈夫って助言できたのによ」
ぶつぶつとグチっぽく言いながら、誠士はシンプルな白と緑のツートーンのマフラーを手にして、俺の腕に乗せた。
まァ。きっとそのとおりだろう。
多分、好きだと康史がいってくれたら、俺は拒否はしなかったと思う。
誠士の言葉に頷きつつ、マフラーや手袋などが並べられるのをじっと見る。
なんとなく地味っぽい。
「無地とかシマシマとか、そういうのがアイツっぽくねえかな」
「でも、そっちのライオンとか虎とかのもカッケエぞ」
「獣系は、オマエには似合うけど、康史にはあんましゴテゴテしてねえのがいいよ」
「このシマウマとか虎柄もシマシマだぜ」
「東流。動物禁止だ」
俺が手にしていた虎柄のマフラーを元に戻して、誠士は横に手を振った。
もらった意見を参考にしながら、少し考えて俺はウォレットチェーンに手を伸ばす。
チェーン自体はしっかりしていて、さきっぽに綺麗な赤い革の飾りがついていてシンプルである。
重さも丁度いいくらいで、外せば武器にもなりそうだ。
「……カッコイイから、コレにしようかなァ」
「まあ、服のセンスとかは、本当に難しいけど、コレなら問題なさそうだしな」
「……こういう風に、ヤスにプレゼントとか選ぶの初めてだけどよ……なんかそれって、嬉しいよなァ」
誠士を振り返って言うと、誠士は一瞬笑顔を作りかけたが、ハッとしたように中指をたてる、
「リア充、爆発シロ。とりあえず、会計したら、ラッピングしてくださいって言うんだぞ」

誠士に教わると、俺は喜び勇んで会計へと向かった。
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