俺たちの××

怜悧(サトシ)

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二学期編

ちかい →side Y

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誠士の背中を見送り、ベッドに横になっている東流を見下ろすと、熱っぽいようなどこかうかされたような表情にぶつかる。

発情期なんていうモノはないだろうけど、止まらなくなっているのは、精神的なモノと俺が昨日も放置したりしたから心も身体も不安定になっているんだろう。

多分、誠士の言っていることは正論。

どこまでいったら東流の限界にたどり着けるかとか、オレが一番になりたくて無闇に手を伸ばしていた。
東流がオレをなくすことを怖がってることは、昨日直接言われたのに。

他人から聞くのはまたちょっと違う感じなんだな。

オレは手を伸ばして、東流の腕にかかっている手錠を外す。
「ゴメンな、辛い思いさせた」
自分も寝そべって、東流の逞しい体をぐっと抱き寄せる。
それだけで膚を震わせて、オレの体を抱き返し何かを堪えるように強く力を篭める様子がいじらしくてたまらない。
虐めたくなる気持ちを抑えて、そっと宥めるように背中を撫でて頭の上に何度も唇を充てた。

「謝るなよ。俺だってわかんねえんだ、オマエだけのせいじゃない」

オレの顔を見上げて、ちょっと欲情に潤んだ目を向けられるとたまらず喉が鳴る。
今日は無理をさせず、トールの求めにだけ応じようと心に決めた。
「わからないって?」
「俺はどうやって、セックスに応える以外でオマエに愛情表現すりゃあいい?」
付き合ってからずっと一緒にいればセックスばかりを繰り返していた。
たまに出かければ、まあ、なじみの喧嘩に巻き込まれたし、ちゃんとしたデートのようなこともあまりしてない。
一緒にいるとたまらなく欲しくなって暴走する。

「……それは本当にオレのせいだよ。ラブラブな恋人になりてえとか自分で言っといて、調子ノリ過ぎて俺の性癖押し付けたセックスばっかになってた」
「俺は……オマエと一緒にいれりゃあイイんだけどな」
反省した俺の言葉に、うーんとは唸って、熟れきった熱い体を押し付けてくる。
一緒にいれりゃあいいという東流とは、一ヶ月間教室以外でほとんど一緒にいなかった。
一緒にいると暴走してしまい、まともに受験勉強できねえと思い、ちょっと遠ざけていた。
その分教室でスキンシップをとって補ってはいたのだが、補ったのは俺だけで、東流はどう思っていたのだろう。
だったら…………いつも一緒にいればいいんじゃないか。
「一ヶ月もほっといてゴメンな……、トール……一緒に住まないか?ここに」
「オマエの……勉強の邪魔じゃねえか?」
「別に平気だよ。どうせ、トールは部屋にいてもゲームしてるか、漫画読んでるかだろ」
決め付けて言うと、東流は首を振って反論する。
「腹筋鍛えるときもあるし、サンドバック叩くこともあるぞ」
まあ、その鍛え上げられた肉体を維持するにはそれくらいはしてそうだけどな。
「それくれえ気にならないよ。じゃあ今日から同棲しよう」
「お………おう。俺は嬉しいけど」
ちょっと戸惑ったような、でも嬉しそうな表情で東流は頷いてぎゅっと抱きついてくる。
股間のほうはビンビンに勃っていて、もじもじとオレの腰に押し付けられる。
「決まりだ。トール、体、大丈夫?」
熱をもってたまらなそうに震えるいちもつに、俺は心配になって東流の体を抱き寄せる。
狂ったように俺を求めてくる体が愛しくてしかたなかった。
「朝から、俺、スゲエ、ヤスとエッチしたくてたまんなかった」
「それは、それでそそる言葉だけどね」
精神的に不安になって、色情症になるっていうのはよく聞く話だし、調教法のひとつとして聞いたことがある。
でも、やっぱりそういうのは、東流らしくねえとも思うから、不安を解消する方向に動こうと思う。
「でも、俺、壊れねえよ」
「不安になると、そんな風になるってのは聞いたことがある」
「そうなのか」
いまいちピンときてはいないらしい。
こころのどっかで不安になってたとしても、鈍感な東流は自分のことにもまったく気づいていないのだろう。
だから、あの誠士は俺を呼びつけたのだろう。東流に言っても解決はしない。
「そうさせてたのは、オレだとも思うから」
「ンなこたねえよ」
「だから、ちゃんと言っておくよ。オレはトールに小学生の頃からずっと惚れてっからさ。やっと手に入れたのに、絶手放したりしねえからな。誓うよ」
抱き寄せたからだがぶるぶると震える。
東流は、キュッと唇を噛んで、俺の体をその腕にぐっと抱き込むようにして引き寄せる。

そして、耳元に熱い唇を寄せて、低くかすれた欲情した声で囁きかけてくる。

「…………ヤス……我慢できねえ。今すぐ、抱いてくれ」
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