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二学期編
異常事態 →side S
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東流がトイレに篭って約一時間、まったく出てくる気配がない。さすがの俺もやべえかもしれないなと重い腰をあげて、トイレ前までやってくる。
「おい、東流?大丈夫か、とりあえず1度あけろ」
ガツガツとノックするが中からのいらえはなかった。
って、本気でやべえのか、コレ。
部屋に戻り、本棚の脇からドライバーをとってドアノブの真ん中の回して開くと、ぐったりと便器の背もたれに凭れかかる東流にでくわす。
目は完全にイッてるようすで、呼吸をせわしなく繰り返して半開きの唇は微かに震えている。
っつか……コレ、マジでぶっ壊れちまってんだろ。
床を見ると大量のトイパーが引き出されて溢れている。
「東流、おい。おい、しっかりしろ」
肩をつかんでも激しく揺すっても東流の表情はとろんと蕩けたままで、かえってこない。
「……せえじ……おれ…おかし、い」
もつれたような言葉とかすれきった声には、艶が含まれ一瞬腰を刺激する。
つか、男に反応する自分が初めてで、慌てて軽く自分の頬を叩く。
俺がしっかりしなくてどうする。
つーか、5年来のダチだぜ、こいつは。
「オカシイのは分かるから、ほら、首つかまれ」
「ん……ごめん……っ」
腕をとって自分の首に回すと、両脚を片腕にかけて姫抱きにして持ち上げる。
多分、この巨体を運べるのは俺くらいのもんだろう。
康史では多分引きずるのがやっとだ。
「バカだな。謝ってんじゃねえよ。……らしくねえ」
部屋に戻って、ベッドにどさりとおろすと殊勝な様子で東流は体を横にして、荒い呼吸のまま瞼を閉じて首を横に揺らす。
「ちんこしごいても………ぜんぜんたんねえんだ」
「ああー、だから、いらねえよそんな報告」
布団をかけてやろうと、体をのけて布団をめくると、確かに東流のうらやましいくらい雄雄しいジュニアは屹立して、モノ欲しそうに震えている。
「でも、やりたくなっちまうから、腕、縛ってくれ」
多分、これをヤりつづけたら体力的にもたないだろう。
俺はベッドサイドに、いたって普通の雑貨のように引っかかっている手錠を手にとると、触れられないように腕を掴んで後ろ手に手錠をかける。
初めてにの犯人確保の時にかけたかったな。手錠は。
「ったく。俺にはそんな趣味ないんだぞ」
「ん」
おとなしく東流は俺を見上げて、素直に頷く。
ふてぶてしい表情も今は見る影もなく、壊れてる体に戸惑ってるのと欲情に煽られて切なそうな表情にとってかわっている。
「康史呼ぶから、待ってな」
「呼ぶな……」
嫌がるように首を振る様子は、それまでと打ってかわって強い意志をたたえている。
「なんでだよ」
「アイツは……ヨビコーでがんばってんだから。昨日も途中で帰らせちまったし」
ったく。
こいつはどこまで……アホなんだ。
だから見てられない。親友として、ガツンといわなきゃならない。
そうじゃないと俺は後悔するだろう。
「東流。どこまでオマエは康史に捧げちまうんだよ……。体ぶっ壊されてるんだぜ」
「ぜんぶ」
思ったとおりの答えに俺はため息をついて、携帯をポケットから取り出した。
「また………オマエは。アホだな」
本当に男らしくていさぎがいいから、俺は心配になる。
何でもかんでも、全部本当に手放してしまえる。
ソレが怖いくらいた。
俺は通話ボタンを押して、康史に電話をかけた。
「って、何電話してんだよ、セージ」
俺の動きに気づいた東流が声をあげるが、手錠にくくられて手を出すこともできずに悔しそうに俺を見上げる。
少し赤らんだ顔が、欲情をそそるが、俺はミカちゃん一筋なので大丈夫だ。多分。
「東流、俺はオマエに幸せになってほしいの。康史にも。だから、俺は二人を怒ることに決めた」
少し長めにコール音がして、かちりと電話が繋がる音がする。
”誠士、なんかあった?”
「あ、康史。戻って来い。」
後ろは静かなのでまだ予備校にいっているのだろう。
「東流の体がおかしくなってる。早く帰ってこいよ。オマエ帰ってくるまで待ってるから」
”おかしく………。わかった、すぐ帰る。ゴメン”
焦った様子で電話を切った康史はこころあたりがるのだろう。
必死そうな声がすべてを物語っている。
そこで平然としていたら、帰ってきたとき手がでちまうかもしれない。
「セージ……なんで………勝手なことすんだ?」
不満そうな表情の東流のぱっさぱっさの髪をゆっくり梳くように撫でる。
「親友だろ?それくらいの権利くらい俺に残せよ」
ダチだから二人にしてやれることがあるはずだ。
東流は熱を孕んだ目を俺に向けて、静かに言った。
「…………アリガト」
「バカ。これから二人を怒るんだからな」
なんだか、東流にそういう殊勝な態度をとられると、どこかで違和感を覚える。
俺は、二人をダチとしてこのまま見ているだけってわけにはいかない。
なんとかしてやる。
誰より、幸せを願っているんだ。俺は。
「おい、東流?大丈夫か、とりあえず1度あけろ」
ガツガツとノックするが中からのいらえはなかった。
って、本気でやべえのか、コレ。
部屋に戻り、本棚の脇からドライバーをとってドアノブの真ん中の回して開くと、ぐったりと便器の背もたれに凭れかかる東流にでくわす。
目は完全にイッてるようすで、呼吸をせわしなく繰り返して半開きの唇は微かに震えている。
っつか……コレ、マジでぶっ壊れちまってんだろ。
床を見ると大量のトイパーが引き出されて溢れている。
「東流、おい。おい、しっかりしろ」
肩をつかんでも激しく揺すっても東流の表情はとろんと蕩けたままで、かえってこない。
「……せえじ……おれ…おかし、い」
もつれたような言葉とかすれきった声には、艶が含まれ一瞬腰を刺激する。
つか、男に反応する自分が初めてで、慌てて軽く自分の頬を叩く。
俺がしっかりしなくてどうする。
つーか、5年来のダチだぜ、こいつは。
「オカシイのは分かるから、ほら、首つかまれ」
「ん……ごめん……っ」
腕をとって自分の首に回すと、両脚を片腕にかけて姫抱きにして持ち上げる。
多分、この巨体を運べるのは俺くらいのもんだろう。
康史では多分引きずるのがやっとだ。
「バカだな。謝ってんじゃねえよ。……らしくねえ」
部屋に戻って、ベッドにどさりとおろすと殊勝な様子で東流は体を横にして、荒い呼吸のまま瞼を閉じて首を横に揺らす。
「ちんこしごいても………ぜんぜんたんねえんだ」
「ああー、だから、いらねえよそんな報告」
布団をかけてやろうと、体をのけて布団をめくると、確かに東流のうらやましいくらい雄雄しいジュニアは屹立して、モノ欲しそうに震えている。
「でも、やりたくなっちまうから、腕、縛ってくれ」
多分、これをヤりつづけたら体力的にもたないだろう。
俺はベッドサイドに、いたって普通の雑貨のように引っかかっている手錠を手にとると、触れられないように腕を掴んで後ろ手に手錠をかける。
初めてにの犯人確保の時にかけたかったな。手錠は。
「ったく。俺にはそんな趣味ないんだぞ」
「ん」
おとなしく東流は俺を見上げて、素直に頷く。
ふてぶてしい表情も今は見る影もなく、壊れてる体に戸惑ってるのと欲情に煽られて切なそうな表情にとってかわっている。
「康史呼ぶから、待ってな」
「呼ぶな……」
嫌がるように首を振る様子は、それまでと打ってかわって強い意志をたたえている。
「なんでだよ」
「アイツは……ヨビコーでがんばってんだから。昨日も途中で帰らせちまったし」
ったく。
こいつはどこまで……アホなんだ。
だから見てられない。親友として、ガツンといわなきゃならない。
そうじゃないと俺は後悔するだろう。
「東流。どこまでオマエは康史に捧げちまうんだよ……。体ぶっ壊されてるんだぜ」
「ぜんぶ」
思ったとおりの答えに俺はため息をついて、携帯をポケットから取り出した。
「また………オマエは。アホだな」
本当に男らしくていさぎがいいから、俺は心配になる。
何でもかんでも、全部本当に手放してしまえる。
ソレが怖いくらいた。
俺は通話ボタンを押して、康史に電話をかけた。
「って、何電話してんだよ、セージ」
俺の動きに気づいた東流が声をあげるが、手錠にくくられて手を出すこともできずに悔しそうに俺を見上げる。
少し赤らんだ顔が、欲情をそそるが、俺はミカちゃん一筋なので大丈夫だ。多分。
「東流、俺はオマエに幸せになってほしいの。康史にも。だから、俺は二人を怒ることに決めた」
少し長めにコール音がして、かちりと電話が繋がる音がする。
”誠士、なんかあった?”
「あ、康史。戻って来い。」
後ろは静かなのでまだ予備校にいっているのだろう。
「東流の体がおかしくなってる。早く帰ってこいよ。オマエ帰ってくるまで待ってるから」
”おかしく………。わかった、すぐ帰る。ゴメン”
焦った様子で電話を切った康史はこころあたりがるのだろう。
必死そうな声がすべてを物語っている。
そこで平然としていたら、帰ってきたとき手がでちまうかもしれない。
「セージ……なんで………勝手なことすんだ?」
不満そうな表情の東流のぱっさぱっさの髪をゆっくり梳くように撫でる。
「親友だろ?それくらいの権利くらい俺に残せよ」
ダチだから二人にしてやれることがあるはずだ。
東流は熱を孕んだ目を俺に向けて、静かに言った。
「…………アリガト」
「バカ。これから二人を怒るんだからな」
なんだか、東流にそういう殊勝な態度をとられると、どこかで違和感を覚える。
俺は、二人をダチとしてこのまま見ているだけってわけにはいかない。
なんとかしてやる。
誰より、幸せを願っているんだ。俺は。
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