俺たちの××

夏休み編

クールダウン →side T

ザーザーザー

シャワーの水の量を多くして、少しぬるめのお湯を頭からかぶる。
身体中に注がれたものを流したとしても、全部の汚れは染み付いてしまって流れないような気がした。
あの日ホテルを出て、病院に康史を運んだあとで帰ってから気づいた。ケツを掘られただけでなく、尻に卑猥な言葉を彫られていた。
あまり痛くなくてすぐには分かんなかった。
鏡に映る腹筋は何度も焼かれて、ひどく爛れてケロイドになって見るだけで汚い肌になっている。

脚を開いてシャワーをアナルにあてて、軽くいきんで吐き出された体液を綺麗にゆすぐ。
それだけで、俺の狂っ他は身体は感じちまうのかペニスがじくじくと熱をもってきてしまう。

浅ましく欲情しやがって、まるで、ホントに発情した猿じゃねーか…………よ。

きっ、たねーな…………からだ、も、なんもかんも…………きたねえ…………。

乳首にも誰かにつけられたピアスがくい込んでる。
さっさと外して捨ててしまいたいが、引っ張るだけでズキッと背筋に痛みが走るし、何日遊ばれていたかわからないが、すでに痛みですら欲情するようなわけが分からない身体になっちまってる。

シャワーの水を更に強くする。
全部スッキリするだけの話だ。

…………大丈夫。

大丈夫だ。

さっさといつもの俺に戻らなきゃいけねえ…………。
ちゃんと覚悟くらいする。

康史触れたら、漸く腹に括った覚悟も簡単に揺らぎそうで、すぐにでも抱きしめたいのを我慢した。

ハッ、何を泣きそうになってやがんだ。

いまさらだ、…………あの時最初から決めていたはずだろ。

普通どうりの態度で、さらっと康史から離れればいい。俺が揺げば康史は、付け入ろうとするだろう。
そんな隙はみせるべきじゃない。

俺はアイツに見合わない男だ。
だから、俺がキッチリ決めればいいだけの話だ。

今までどおりの親友に戻れば、完全に無くすことはないはずだ。
こんなに汚くなっちまった俺を見せるくらいなら、全部なかったことにすりゃいいはずだ。

それでも、康史が、俺の顔もみたくねえっていうなら、さっさとどっかに行方をくらませばいい。
俺一人ならば、なんとか生きていける。
大丈夫だ。

何を怖がってるんだ。
こんなことで動揺するだなんて情けない話だろ。

俺は決意を胸にしまうと、パンッと1度だけ顔を強く叩いて浴室を出た。