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おじさん報告をする
しおりを挟む退勤間近になると、ナリオさんから通信が入った。
「仕方ない。ナリオのこと迎えに行ってくる。ちょっと待ってて」
「分かりました」
ナリオさんが無事なようでよかった。
その報告を聞いて、規模や場所によっては直ぐに遠征計画を立てて報告書を作成して、みんなに通達を出して、今日は残業かな。
そんなことを考えていると間も無くナリオさんを連れてラウロが戻ってきた。
「おかえりなさい。報告を聞きますよ」
「え~? 明日でよくない?」
「ダメです。報告書は私が書きますから。ナリオさん調査内容をお願いします」
「あ、はい。場所はミルド街から南西凡そ30キロ、規模は目視で3メートル、まだ成長中なのであとどれくらい大きくなるかは分かりません。周囲は森で囲まれているので周りへの影響はまだ無い。しかしそこから魔物が溢れ出せばどうなるか」
「ラウロ、どうしますか? 遠征の日程は? 人数は?」
「んー広がってる途中ってのは不味いね~
遠征はとりあえず50人。そのうち20人は結界得意な奴ね。人数は広がり具合で増やすかも。日程は明日の昼に俺が全員連れて転移する。物資は明日の午前中に用意できるだろ。
魔物が湧いてるようなら騎士にも討伐や街の守りを依頼するけど、そこは到着してからの現地判断になるね。以上かな」
私は彼らの話した内容をサッと報告書にまとめた。そして通達書類もすぐに作成してラウロに魔術で何枚か複写してもらった。
「私は陛下に報告に向かいますので、お二人は魔術師たちに通達を」
「分かった」
私は報告書を持って、走って陛下の執務室へ向かい、陛下に報告した。
「シモン、助かる。報告には数日かかると思っていた。報告が早かったのはシモンのおかげだろ?」
「いいえ。私は何もしていません。
ラウロがナリオさんを現地に転移で派遣し、先ほど戻ってきたので話を聞いてラウロが遠征の詳細を決めたのです。私はそれを報告書にまとめて持ってきただけです」
「シモン、そなたは自己評価が低い。宰相や文官たちからもそなたの働きは聞いている。処理速度が速いだけでなく記憶もいいとか」
「そうでしょうか? 評価していただけるのはありがたいです」
「シモンも明日の遠征に行くんだろ?」
「え? 私ですか? 私は魔力がありませんし、行っても役に立てないと思います」
「ラウロがシモンを1人で置いていくとは思えん」
「それは確かに。行くのであれば皆さんの足を引っ張らないよう気をつけます」
「それは大丈夫だろう。ラウロがなんとかするだろうし。医療班はしっかり整えておくが、気を付けてな」
「え? あ、はい」
医療班? 魔力溜まりの処理とはそれほど危険を伴うものなのか。知らなかった。
確かに魔物が湧いていたら危険だよな。自分の身は自分で守るために帯剣くらいしておくか。
報告を終えてラウロの部屋に戻ると、ラウロとナリオさんはもう戻っていた。
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