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 ある朝、カリオがいつものように起きて顔を洗い、ジルベルトの元を訪れると、今までにない魔力の波長を感じた。

「ジルベルト様、おはようございます。
 如何されたのですか? どこか体が痛いとかですか? 確認のために布団を捲りますね」

 カリオがそう告げると、魔力の波長がおかしな乱れ方をした。
 首を傾げながら布団を捲ると、ジルベルトの中央で着衣の布を持ち上げているものがあった。

「えっと、ジルベルト様はこれが恥ずかしかったのですか?
 僕は知識として体の仕組みを知ってはいるのですが、僕はまだ経験がなくて、どうしましょう?
 精気が湧いてきたのはいいことだと思うのです。恥ずかしがることはないと思います。申し訳ないのですが、僕には性的な知識がないので、とにかく今すぐに街に本を買いに行ってきます。
 結界は張ったままにするので危険はありませんが、1人にしてしまうことをお許しください」

 カリオはジルベルトにそう告げると、魔物の買取で得たお金を持って屋敷を飛び出していった。

「妖精さんたち、ジルベルト様に何かあればすぐに僕に知らせてね」

 カリオは自分が不在中は、ジルベルトのことを妖精に頼むつもりらしい。
 カリオは眠っているジルベルトだけでなく、返事をしない妖精たちにも根気よく話しかけていたから、妖精たちもカリオのことを慕い始めていた。
 カリオの周りを飛び回ったり、庭の花が咲けば案内してくれたり、勝手に作った料理の味見をされることもあったが、カリオはそれを咎めることなく、好きにさせていた。

 性的な知識のないカリオは、本屋に入ると自分で探すより本屋の主人に聞いた方が早いと、性欲処理の方法が載った本を探してもらうよう頼んだ。
 本屋の主人は、少年がそのようなものを買いに来ることに少し戸惑ったものの、ちょうど性に目覚める時期なのかと少し微笑ましい気持ちで本をいくつか出してきた。

「この本全部買ったらいくらになりますか? 手持ちと相談させてください」
「ああいいよ。この3冊全部買うなら銀貨4枚だ」
「それなら足りそう。全部ください」
「分かった。毎度あり」

 カリオは本を買うと、急いで屋敷に戻った。

 コンコン
「ただいま戻りました。
 1人にしてしまってごめんなさい。本はちゃんと買えました。
 あれ? 僕の帰りが遅かったから落ち着いてしまいましたか?
 すみません。次までにはちゃんと勉強しておきます」

 遅めの朝食をとると、カリオは買った本を読み始めた。とても真剣に。
 本屋の主人に相手は男だと言うと、男相手の性交の方法が載った本や、生々しい表現のある物語を選んでくれたらしい。

「え? なんで……
 ジルベルト様、買ってきた本を読んでいたら、僕のものが反応してしまいました。
 なるほど。なんとなく恥ずかしい気がします。ジルベルト様が朝様子がおかしかったのが理解できました。
 わあ~この状態で触ると、凄いですね。まずは自分で体験してみようと思います。
 あ……すごい、気持ちいい……なるほど、これが性欲……。
 あ、あ、あっ……なんか込み上げてくる。あっ、なんか出そう……あっ、あ、んんん……
 あ、出た。おお、これが精液ですか。へえ~
 ジルベルト様、すごいです。僕できました」

 カリオの自慰の実況を聞いたジルベルトの魔力の波長は乱れた。やはりジルベルトは眠っていても意識があり、カリオや周りの声を聞いていたようだ。
 その証拠に、ジルベルトの中心は大きく反応している。

「あ、ジルベルト様も欲が湧いてきましたか? ではさっそく僕が処理させてもらいます。
 脱がせますね」

 ジルベルトの下半身の着衣のみ取り払って、カリオはまじまじとジルベルトの立ち上がったものを見た。

「すごい。僕のより大きくて長い。
 触りますね。わあ~、すごく硬い。ピクピクしています。手でゆっくりしますから、出そうになったら出してください。清浄魔法をかけるので汚れても気にすることはありませんよ」

 カリオはジルベルトの昂ったものをそっと包むように握ると、ゆっくり上下に扱き始めた。

「もう少し強い方がいいですか? そうですか。じゃあもう少し強くします。
 気持ちいいですか? よかった。
 出そうですか? 出していいですよ」

 波長で会話しながらカリオはジルベルトのものを扱き続けた。ピクピクと脈打つのを眺めていると、ビュルルーと天井を向けて白い液体が飛び出していった。
 それをカリオは満足そうに眺めた。
 そんな風に観察されるように眺められるジルベルトが少し可哀想だが、それはジルベルトにとって眠りについてから初めての射精だった。

「すごい飛びました。僕よりたくさん。やっぱり大きいとそれだけ量が出るのかも。
 性欲が復活してよかったです。
 性欲処理も終わりましたし、ジルベルト様の着衣を戻したら、僕はまた本を読み進めますね」

 こうしてカリオの仕事にジルベルトの性欲処理という仕事が加わった。
 何やらカリオが熱心に読んでいるページがあったが、それはまだ今は触れないでおこう。
 しかしカリオに心境の変化が訪れたことには触れたいと思う。
 その紅潮した顔を見れば、大抵の人は予想がつくと思うが、カリオの心に種を落とした恋心の芽がとうとう顔を出してしまったようだ。

  
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