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2.友人と従者

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「ニック、みんな、食堂に行こう。」
「あぁ。」

私は10歳の祝賀会にも出席しなかったし、同年代の知り合いはリオしかいなかったから、ニックや他のみんなと仲良くできることが嬉しい。

「ランディーの髪色って珍しいよな。銀のようで少し青みがかって。」
「確かに珍しいなー」
「帝国では見ないよな。」
「綺麗な色で羨ましい。」

「そうかな?母上が同じような色なんだ。」

髪の色なんて褒められたことがないからちょっと照れる。
帝国は黒や茶色、緑や青でも濃い色が多いから、私のように薄い色は珍しいらしい。私とテーブルを囲んでいる他の4人も、紺色や濃い紫、黒だったりする。

「おー、ランディーの髪、細くて柔らかいんだな。」
「どれどれ?本当だ。」
「寝癖もつきにくそうだな。」
「綺麗な髪だな。」

次々と私の髪を触っていく級友たち。こんなに距離が近いのも最初は戸惑っていたが、いつの間にか慣れてしまった。
王国学園にそのまま入学していたら、私もリオと共にテーブルを囲んで教授の口癖の真似をしたりバカみたいな話なんかもしていたんだろうか?

「ランディー、手。」
「ん?あぁ。」

ニックと手を繋いで歩く。帝国では友人同士が手を繋いで歩くことも肩を組んで歩くことも普通らしい。

「じゃあランディーのこっちの手は俺ね~」
「ずりー、明日は代われよ。」

なんて会話をしながら今日も学園生活は平和に過ぎていく。
勉強は難しいものもあるけど、放課後や休み時間にみんなで集まって勉強したりするのも楽しかった。

1年もすると、たまに両親から手紙が届くと思い出すくらいで、母国のことなど思い出すことも減っていった。



「ランディー様、ご友人方と楽しくお過ごしのようですね。」
「そうだな。週末には皆で集まって演劇を見にいくんだ。」
「そうですか。それは楽しそうですね。俺も付いていきましょうか?子供だけで学園の外を彷徨くと変な輩が出ないとも限りませんし。」

そっか。確かに。学園の中であれば安全だが、みんな貴族の子息たちなんだから、子供だけで出歩けば狙われないとも限らない。

「マルク、お願いできるか?」
「かしこまりました。」
「休みの日まで付き合わせて悪いな。」
「俺はランディー様の従者ですからお気になさらないでください。
さぁ、明日は早朝訓練の日ですから、もうお風呂に入って早めに寝ましょう。」
「分かった。」

マルクは風呂の準備をし、私を風呂に入れてくれる。マルクが服を脱いで、私も服を脱がされ裸にされると、お湯を全身にかけられ、石鹸を纏わせた手で洗われる。

「洗い終わりましたよ。体が冷えないうちにバスタブに浸かってください。」
「あぁ、ありがとう。」

私がバスタブに浸かって温まっていると、マルクも全身を洗い終えてバスタブに入ってきた。

「ランディー様、髪が伸びましたね。このまま伸ばされますか?」
「そうしようと思う。私の髪を友人たちが綺麗だと言ってくれるんだ。だから伸ばしたい。」
「そうですか。確かにランディー様の髪はとても美しい。」

そう言ってマルクは私の濡れた髪をひと掬い手に取ると、そこに口付ける。
初めは何をしているんだ?と思ったが、これも慣れてしまえば挨拶のようなものらしい。従者なら普通なのだと言われれば納得した。


それはみんなで演劇を見に行った日の夜から始まったような気がする。

マルクと一緒に風呂に入って温まると、それは始まる。

「さぁ、今日も練習しましょう。貴族の嗜みとして大人になるまでに上手くできるようにならなければなりません。」
「分かった。」

私は家を出て、このまま母国へは帰らないつもりでいたから、貴族の嗜みなど必要ないと言ったのだが、マルクに国を出たとしても貴族と関わることはあるし、今後何が起こるか分からないのだから必要だと言われて渋々了承した。
私は実はこれが苦手なんだ。

バスタブから上がって立っているマルクの前にしゃがみ、マルクの中心にあるものを手に取る。

「さぁどうぞ。」
「あぁ。」

私はそれを口に含んで、舌を使って舐めながら前後に動く。

「いいですよ。もっと奥まで咥えて。」
「んぐぅ、、」

頭を押し付けられると吐きそうになるし、息ができなくて苦しい。まだ慣れていないからかもしれないが、この苦しさが辛い。
硬く肥大したそれで喉の奥を突かれると、涎と涙が止まらなくなる。

「いいですね。ランディー様、その表情は素晴らしいですよ。」

尿ではない何かを私の喉の奥に吐き出すと、なんとも言えない香りがする。そしてマルクのそれは私の口から出ていくのだが、せっかく熱心に指導してくれているマルクには悪いが、少し気持ち悪いとも思っているんだ。

「お疲れ様でした。さぁ、口を濯いで歯を磨きましょう。」
「あぁ。」

何度も口を濯いで、残った香りを取り去る。
このような苦しいことを貴族は何のためにするのか?私には正直分からない。


14歳になると、マルクが私の口の中に出していたものが何なのか分かるようになった。それが私のものからも出るようになったからだ。

「マルク、ちょっときてくれ。マルクが私の口に出していたものが出た。」
「そうですか。それはおめでとうございます。」
「めでたいのか?」
「えぇとても。俺が触って差し上げます。」
「え?」

私が戸惑っていると、マルクは私のそれを掴んで口に含んだ。生温かい舌で刺激されると、とても気持ちよくて、また出そうになった。

「マルク、出そうだ。」

私はそのままマルクの口の中にそれを出した。
その時に初めて分かった。そうか、される側とする側、苦しいが相手が気持ちよくなることをすることに意味があるんだな。

 
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