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真実
しおりを挟む何が起きているのか理解できないまま、呆けたような表情を取り繕うことなく会場を後にする僕たち。
「面白かったな。シオン様の『へ?』っての。」
ジャンがクスクスと笑いながら言った。
「なぜ皆はそれほど驚いていないのですか?」
「そのマント。」
「マント?これが何か?」
「それ、正妃様しか着れないやつ。」
「えぇぇぇぇえええ!知らないよ。僕そんなのあるって知らない。」
「あぁ、シオン様は他国から嫁いだから知らないのね。他のみんなは知ってるわ。」
嘘だ・・・僕だけ知らなかったの?
だから会場まで案内してくれた使用人がよかったですねって言ったのか。
そして僕を見た側妃たちの反応・・・思い返せば、なるほどって思える。
このマントを見た時点で、みんなはこの発表の内容を理解していたということなのか・・・。
なんか僕だけバカみたい。
「そんな・・・僕だけ何の心の準備もないままこんな発表されて・・・。」
「それにみんなシオン様が正妃になるってのは分かってたから。」
「ですね。陛下はシオン様が成人すると同時に正妃にしようとしてたんだと思うけど、邪魔が入ったみたいだったわ。」
なぜみんなそんな朗らかな表情でそんなことを言うの?
正妃になりたいって思ってる妃もいたんじゃないの?
「え?何でそう思うのですか?僕はもう放逐される寸前かと・・・。
仕事のために僕を繋ぎ止めているのかと思っていました。」
「なるほど。それで一昨日のあれか。でもまぁあれで陛下が強硬手段に出たんだろうな。
シオン様はあのままでは消えてしまいそうだったから。」
あれは・・・なんて言うか思い出したくない。
今考えても自分が恥ずかしい。しかもジャンに頼んだってことがまた恥ずかしい。
「ジャンには迷惑をかけました・・・それと、ジャンとルークって何者?宰相は男娼って言ってたけど。」
「男娼だな。陛下に男を抱くテクを教えたのは俺たち。」
「そ、そうなんだ・・・、でも何で後宮に?」
「俺は衣食住保証するって言われて、男娼なんてそこそこ危険あるしね。まぁいっか~って。ジャンは?」
「俺は皇帝から、めちゃくちゃ中も感度も良くて美しい寵妃を楽しませたい、共に遊ぼうって言われてOKした。」
「それは俺も言われたわ~、確かにシオン様を最初に見た時、こんな綺麗な人がいるんだって驚いたし。精霊か何かかと思った。」
「・・・。」
「いや~でもあれは良くなかったね。皇帝もシオン様を楽しませたいと思ってるなら、ちゃんと事前に説明するべきだった。
何の説明もなく、逆らえないまま犯されて、それを好きな人に見られるとかシオン様が可哀想。」
「そういうことだ。気が向いたら遊んでやるよ。あんな切羽詰まった迫り方でなければな。」
「・・・。」
僕はガックリと膝から崩れ落ちた。
「陛下は僕のことが嫌いすぎて嗜虐的思考に走った結果なのかと・・・。」
「いや、全然違う。皇帝はむしろシオン様のことを愛しすぎている。」
※)以降はその後のお話ですが変態度が加速しますので、苦手な方はご注意下さい。
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