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ジャン
しおりを挟むもう、苦しくて限界だった。
優しくされることが辛くて仕方なかった。
誰でもいいめちゃくちゃに僕を壊してほしい。
一度他の人にも穿たれているんだから、別にもう陛下しか知らない清い体でもなんでもない。
そして僕が助けを求めたのは、ジャンだった。
ヨロヨロと倒れそうになりながら後宮へ向かうと、その辺にいた使用人にジャンの部屋を聞いた。
そして、ジャンの部屋へ向かった。
コンコン
「シオンです。助けください・・・。」
「シオン様、どうかされましたか?」
「どうか、どうか、僕を、壊してください。壊れるまで抱いてください。お願いします・・・。」
泣きながら抱いてほしいと縋り付く僕は、側から見たら異常に見えるだろう。
しかも後宮に上がった彼に頼むのもバカみたいだと思った。
宰相なんかには頼めないし、仕事で関わっている貴族に頼むこともできない。僕は陛下のものであるから、その辺の使用人や近衛騎士などにも頼めない。
そうなると、ジャンかルークしかいなかった。それならまだ触れ合ったことがあるジャンに・・・。
そう思って僕はジャンを訪ねた。
「いいのか?」
「いい。僕はこのままでは心が壊れてしまう。だから、お願いだ・・・。」
「皇帝の許可は得ているのか?」
「・・・。」
「ふぅ・・・俺も罰されたりはしたくない。」
「そう、ですよね・・・。」
「お前、皇帝とちゃんと話をしたのか?」
「怖くて話せない。現実を突きつけられたら死んでしまうかもしれない。」
「そうか。なら、余計話すべきだ。」
そう言うと、ジャンは僕を肩に担いで後宮を出て、陛下の部屋に向かった。
「下ろして。」
「ジッとしてろ。頭から落ちるぞ?」
ジタバタしたけど、連日の精神疲労で僕には抵抗を続けるような体力は残っていないなかった。
コンコン
「ジャンです。」
「入っていい。」
「シオン様をお届けに参りました。」
「そ、そうか。そこのソファーへ。」
「陛下、僭越ながら、シオン様は心が壊れかけております。恐らく陛下のせいで。先ほど、壊してくれと、壊れるまで抱いてくれと泣きながら俺の部屋に来ました。何とかして下さい。」
ジャン、お前全部言うなよ。よりにもよって陛下本人に。
僕はジャンを恨みがましい目で睨んだけど、ジャンはフッと鼻で笑って、失礼しますと言って部屋を出て行った。
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