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エミリー

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後宮の庭園にあるガゼボの柱にもたれ掛かるように蹲って、震える体を抱きしめた。
ただただ、悲しかった。

僕は陛下に何をしてしまったんだろう?
そんなに嫌われるようなことをしてしまったんだろうか。


シクシクとしばらく泣いていると、人の気配がした。

「あら?シオン様、どうかしたの?」
「ゔぅ、、エミリー様、、僕は、陛下に嫌われたようです・・・。」
「まさか~」
「後宮に新しく入った男性を知っていますか?」
「えぇ、ジャンとルークですわね。」
「陛下は、ジャンに僕を抱くよう言いました。陛下が見ている前で・・・。」
「そう。」
「僕は陛下の前で誰かに抱かれるなど耐えられなかった。だから逃げ出したんです。」

「私は平気だけど、シオン様は純粋なのね。」
「僕は間違っていたんでしょうか?」
「さぁ?でも、辛いことを無理にする必要はないわ。心が壊れてしまうもの。」
「そう、ですよね・・・。
陛下が僕のことを嫌いになったのなら、僕はここを出ていきたい。それが無理なら、殺してほしい・・・。」

「そう。それは陛下にちゃんと言った方がいいわ。シオン様にはみんな感謝しているのよ。
実はね、子は欲しかったけど、陛下の夜伽は皆憂鬱だったのよ。大きすぎるし、挿入も長いし、しんどいのよ。それに陛下に抱かれている時に女性を扱うシオン様の指使いも舌使いも、妃はみんな好きよ。シオン様の筆下ろしをしたいとみんな言っているくらい。」
「そう、なんですか・・・。」
「だから陛下の夜伽が嫌になったら妃の誰かの部屋に匿ってもらいなさい。みんなシオン様には協力すると思うわ。」


その日僕は、エミリー様の部屋に匿ってもらった。部屋にも戻れずどこにも行く場所がなかったから、本当に有り難かった。
何もせず僕をただ抱きしめて寝てくれた。
逞しい身体の陛下とは違う、とても柔らかい感触と滑らかな肌触り、小さくて、それにいい香りがした。

陛下に会うのが怖くて、僕は執務室へも行けなかった。毎日、代わる代わる別の妃のところを渡り歩いた。

「シオン様、キスして。」
「いいですよ。」
「ここ触ってくれない?」
「いいですよ。」
「ぁ、あぁ、、シオン様の指遣いはとても気持ちいいわ。」
「そうですか。それはよかった。」
「シオン様も触って差し上げましょうか?」
「いえ、僕は結構です。」

時々キスや愛撫をしてあげることはあったけど、僕の陰茎や後孔は誰にも触らせなかった。

今日も妃を抱きしめて寝る。
女の人ってこんなに柔らかくて華奢なんだな。知らなかった。

毎日こんな淫らなことをしていたわけじゃない。まだ幼い皇子や皇女と遊んだり、後宮の中で妃たちとお茶を飲んだり花を愛でたり、妃たちに着せ替え人形にされたり、自分の部屋にも戻らずただ後宮という場所で時間を潰した。

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