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2.プレイ

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Lick舐めろ俺のものを舐めろ」
「はい」
「手は使うなよ」
「はい」

 彼はしゃがむと、俺のベルトを口で器用に外し、ボタンも外すとファスナーも咥えて下ろした。別にそこは手でやってくれてよかったんだが、指示を上手く出せなくて申し訳ない。
 手慣れた様子であることから、誰かに仕込まれたのかもしれないと思うと嫉妬に似た感情が湧き上がってくる。

「慣れているな。誰に仕込まれた?」
「ごめんなさい。嫌わないで。母に教えてもらったんです。別のDomに仕込まれたわけじゃないです。
 ああぁ……タキさんのGlare威圧気持ちいい……好き」

 嫉妬からGlare威圧が少し出てしまったようだ。気をつけなければ。少量であれば軽い恐怖と震え程度で済むが、あまり強いGlareはSubをSub dropサブドロップと呼ばれる体調不良にしてしまったり酷い時には倒れたり死に至ることもあるとか。

「母親がなぜそんなことを教えるんだ?」
「僕の母はSubで僕がSubとしてパートナーに尽くす方法を教えてくれたんです。
 しょっちゅうDomの男を取っ替えて家に連れてきていたのでいい母親かは分かりませんが……」
「そうか。お前の話を信じてやる。続けろ」
「はい」

 ミツルの母の対応が正しいのかは分からない。おかしいと思ったのは俺がDomだからかもしれない。
 この可愛い彼が俺に従ってくれている。一生懸命に尽くそうとしてくれている。ただそれだけで俺のものは我慢できないと熱く激っていった。

「あぁ、凄い。大きい」
 パンツも下ろされ、俺のものが彼の前に晒されると、彼はそう呟いて俺のものを咥えた。

「もっと奥まで入れろ」

 グェッ

 俺は彼の頭を掴んで喉の奥までグイッと突っ込んで、ガツガツと自分勝手に出し入れした。彼の口の端から涎がダラダラと流れ涙目になっていく。一瞬怯んだがそのまま続けると、次第に涙がポロポロと零れ落ちていった。

「アグゥッ……アガッ……」
「苦しいか?」

 そう聞くと、彼は涙を流しながら俺の目をチラリと見た。あぁ、可愛い。本当に可愛い。
 苦しいよな。こんなんでいいのか?

「あぁ、もうイきそうだ。ちゃんと飲めよ」
 俺はミツルの喉の奥へ吐き出すと、少し昂りが収まったものを引き抜いた。

 ケホッ、ケホッ

「飲みました」
 少し咳き込んでからミツルは俺に向かって口を大きく開けて、ちゃんと飲んだと口の中を見せてきた。

「ん。いい子だ、Good boy」

 俺はミツルを立たせて頭を撫でる。ダラダラと流れた涎と涙を丁寧に拭いて抱きしめた。Careケアというよりは、うっとり頬を染めるミツルを抱きしめたくなったからだ。
 そして、そのまま抱き抱えてソファーに向かうと、俺はソファーに座り膝の上にミツルを乗せて髪を撫でる。
 もうこれ以上は俺が無理だった。甘えさせてやるならいいんだが、これ以上は苦しめたり痛めつけるなんてできない。

「ミツルはいい子だ。苦しかったか?」
「はぁ……ぁ……気持ちいい……好き。タキさん、好き」

 急にミツルは俺の胸に縋って甘えてきた。
 暴力を要求してくるかと思えば、こんなに可愛く甘えてくることもあるのか。暴力を要求されないことにホッとした。
 俺としてはこちらの方が嬉しい。俺は可愛いミツルをギュッと抱きしめた。
 そのまましばらく、満たされた気分で彼の滑らかな背中を撫でていた。えらく大人しくしていると思って見てみれば、彼はそのまま俺の腕の中で眠っていたんだ。

 どうするかな。このバーはプレイルームを備えているとはいえ、ホテルではないのだから泊まることは想定されていない。
 俺は仕方なくミツルに服を着せると背負って店を出た。

 意外と起きないものだ。
 かなり疲れていたのか、欲求が満たされて苦しさから解放されたのかもしれない。
 タクシーを捕まえると、彼の家など知らないため送って行くこともできず俺の家に連れ帰った。
 ホテルの方がよかったか?
 まぁいい。

 部屋に入りベッドにミツルを寝かせると、俺は母親が来た時に勝手に置いていった布団を引っ張り出してきて床に敷いてそこに寝た。
 この布団、短いな。足を伸ばすと布団から出てしまうため、仕方なく俺は横向きになり膝を折って丸まって寝た。


「え? え? ここどこ?」
 戸惑うミツルの声で俺は目覚めた。

「あ、タキさん、えっとここは?」
「俺の部屋だ。あの後ミツルは寝てしまったから、家も知らないしうちに連れてきた」
「そうだったんですか。迷惑かけてごめんなさい。それに、ベッド使わせてもらったみたいで……」
「あぁ、別にいい」
 肩を落としてシュンとしている彼も可愛い。俺たちはパートナーになったんだから気にすることなどないんだけどな。

「あ、あの……」
「なんだ?」
 視線を漂わせながらモジモジして、口を開いて話し始めようとするも、彼はまた口を閉じてしまった。そのまま待っていたが、なかなか話し始めない。
 いきなり部屋に連れてきたから怖いのか?

「その、僕たちは……」
「ん? なんだ? パートナーになってくれと言ったのはミツルだが、俺は了承してパートナーになったと思っている」
「はい」

「気に入らなければ解消するか?」

 昨日は酒に酔った勢いだったのかもしれない。朝起きて正気になれば間違いに気付くということも有るだろう。
 離したくはない。しかし無理強いはもっとしたくない。

「嫌です。解消したくない」
「そうか」
 どうやらミツルは俺のパートナーでいてくれるらしい。

 じゃあさっきのモジモジしながら言いかけて言わなかったあれは何だ?
「俺に何を聞きたい?」
「……僕たちはセックスしたのですか? 覚えていなくて……ごめんなさい」
「挿入はしていない。ミツルに口で処理してもらっただけだ」
「そうですか。それは覚えています。僕が寝ている間に犯したのかと思ってたから」
「は?」

 そんなことをしたら、もうそれは犯罪だろ。
 ミツルには俺がそんなことする奴に見えているのか。そこは少し悲しい。

「ごめんなさい、何の反応もない寝ている僕を犯しても楽しくないですよね。寝てしまってごめんなさい」
「そういうことではないんだが、疲れてたんだろ? 別にいい」
「タキさん優しい。ただ乱暴なだけじゃないってところが本当に……好き。はぁ、格好いい。硬派って感じ。寝ちゃって犯してもらえなかったのが凄く残念」
「……あぁ、そうだな」

 抱いてもらえなかったではなく、犯してもらえなかったという言葉のチョイスをするところがまたなんとも……
 俺、ちゃんとミツルの期待に応えられるんだろうか。
 少し不安だ。
 昨日はちゃんと調べられなかったから、ミツルが帰ったらちゃんとネットで調べよう。とりあえずSMのページとかを調べればいいんだよな?
 怪我をさせたりはしたくないし、力加減もちゃんと練習しておきたい。


「ミツル、腹は減っているか?」
「いえ……」

 いえと言ったそばから、ミツルの腹がくぅ~と可愛く鳴った。

「ははは、腹の方が正直みたいだな。嘘はダメだ」
「はい。ごめんなさい」
「ちょっと待ってろ、何か作ってやるから」

 俺は高校を卒業してからずっと一人暮らしをしているし、実家にいた頃も両親は共働きで帰りが遅かったから、妹に飯を作っていた。
 それほど料理が上手いというわけではないが一通りは作れる。

「あ、あの。僕も何か」
「いい、いい、そこで大人しく待ってろ」
「はい」

 いきなり起きたら昨日会ったばかりの奴の部屋にいたんだ、戸惑うだろう。
 ソワソワと居心地が悪そうにしているミツルを眺めながら、俺は簡単な料理を作った。ベーコンとチーズを入れたスクランブルエッグを挟んだサンドイッチと、お湯を注ぐだけのカップスープをテーブルに置く。

「大したもんじゃねぇけど」
「ううん、ありがとう。嬉しい」

 そう言って微笑んだミツルはとても可愛いかった。
 バーやプレイルームは照明が控えめだから、こんなに明るい中で見るとまた違った印象を受ける。
 俺のような顔も怖いし厳つい奴が相手で本当にいいんだろうか?

「タキさん、どうかしましたか?」
「あ、いや、可愛いなと思って」
「虐めたくなりましたか? 犯したくなりましたか? いいですよ」

 またそんなことをサラッと……
 こんな可愛い顔をして爽やかな笑顔でとんでもないことを言うものだ。

「また今度な」
「そっか。残念です。あ、連絡先交換したいです」
「あぁ、いいぞ」

 俺たちは連絡先を交換して、その日ミツルは朝食を食べるとすぐに帰っていった。

「タキさん、また会ってくれますか?」
「もちろんだ。俺たちはパートナーだろ?」
「はい! 嬉しい。タキさん好きです」

 ミツルはそう言うと、モジモジして何かを求めているような表情で俺を見ている。
 なんだ?

Comeおいで
「はい」
 手を広げて待っていると、ミツルはタックルする勢いで俺の胸に飛び込んできた。

「Good boyいいこだ」
「あぁ、気持ちいい。痺れる。タキさんのCareケア凄い。僕が勢いよく飛び込んでも全然フラついたりしないし凄い! 格好いい」

 細腕でギュウギュウ締めつけてくるのが可愛い。こんな俺に格好いいなんて言ってくれるのはミツルくらいだ。
 ミツルを喜ばせることができるなら、こんなゴツい体である意味もあったんだ。

「名残惜しいけど、今日は大人しく帰ります。泊めてくれてありがとう。タキさん大好きです」
「あぁ」

 こうして俺に初めてのパートナーができた。

 
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