559 / 739
八章
5
しおりを挟む
カルダモンの香るアラビアコーヒーは、水面を揺らさぬようにゆっくりと上澄みを啜る。
「おかわりは?」
真鍮のポットを持ちあげるサウードに、吉野は首を横に振る。
白大理石に透かし彫りの入った飾り窓超しには、広々とした庭園と吹きあがる噴水がみえる。青を基調にしたモザイクタイルの水路に湛えられた透明の水面が光を跳ねている。だが、周囲に濃緑の樹々が植えられた中庭で羽を休めているのは、しずしずと気取った調子で歩く孔雀くらいか。
しばらくの間、何ということもなく二人を覆っていた沈黙を破ったのはサウードからだった。
「アレンはなんて?」
「うん、飛鳥がどうにかしてくれるって」
「どうにか――」
曖昧な吉野の返答に、サウードは訝しげに首を傾げる。
「症状が緩和できるかは判らないけど、心を穏やかにしてくれる映像を作ってくれているって、書いてあった」
サウードは、ベッドで半身を起こしてアレンからのメッセージを目を細めて嬉しそうに読んでいる吉野を、漆黒の瞳を曇らせて眺めつつ嘆息する。
「きみの原因不明の熱も、その映像で治るのかな?」
ぽつりと呟かれた独り言のような問いに、吉野は首をすくめて笑顔で応じる。
「こんなもの熱の内に入らないよ。少し疲れがでただけだ。それに、」
吉野は言葉を切ると、意地悪くにやりと頬を歪めた。
「俺が病気の方が、何かと都合がいい面もあるだろ?」
サウードは眉根を寄せ、どこか取り繕ったような笑みを浮かべて首を振る。
「万事順調だよ」
その口調は淡々としているが、とくに嬉しそうでもない。
アブドによって破壊された発電所、温室工場の再建が始まっている。撤退した外国企業に変わり、新しく参画したルベリーニからの人員も続々と到着している。
後ひと月もすれば、太陽光発電施設を運営する国営企業アッシャムスの正式な破綻が発表される。その後の道筋もすでに着けられている。米国企業が技術協力を担うという形で利益を吸いあげていた、温室、栽培工場の株式は、破格の安値でルベリーニが買いとる事になるだろう。彼らは膨大な損失を抱えたうえでの撤退を余儀なくされるのだ。
アブドが亡命した今、彼との癒着によって甘い汁を吸っていた参画企業に、それまで通りの都合の良い利益がもたらされることはないからだ。それに彼らにしてみれば、今は軍部によって抑えられているテロの脅威もある。すでにアブドの組織したテログループは解体され、所詮は金で雇われたにすぎない傭兵テロリストはいち早く国外逃亡していることなど、今となっては、彼らには知る由もないのだ。
たとえ誰にも会わずに自室に籠っていたところで、すべては目の前に横たわる吉野の手の内にある。
自分も、彼も、流れだした水流が怒涛となり、これまで築かれていた土台を崩し、決壊させ、押し流していく様を、高台から見届けるだけだ。
すべては予定調和の内のこと。吉野とともにいる間に、サウードもまた、流れの行き着く先を見据え見守る視界を身につけていた。
「お前たちは、気が長いな」
ふっと自分に向けられた柔らかな視線に、サウードは鷹揚な笑みで以って応えた。
「それだけの歴史を生きているからね」
「だから俺はお前を信じられるんだ。お前たちは時の長さを知っている」
ベッドヘッドにもたれていた半身をシーツの中に戻し、枕に頭を沈めながら吉野は脱力しきった様子で窓の外に戻した。
「生きている間に叶わなくても、何世代かかろうとも、この緑を必ず国中に広げてやる。だから、」
「分かっているよ、ヨシノ。今の僕たちでは、一国を統治できるほどに成熟していないことも。それを試みることさえ許されないだろうってことも。きみの言う意味を僕はちゃんと理解している」
「耐えることに慣れたか、サウード?」
ゆっくりと持ちあげられた彼のカーブを描く口許に、吉野もまた笑みを返した。
「俺、どこまでできるかな?」
「きみの意志はどこまでも受け継いでいく。きみがこの国を去った後でも――。そのための仮病でもあるんだろう?」
熱を測るように額にのせられた掌を、吉野は肩を震わせて笑いながら首を振って払った。
「いくら俺でもさ、仮病で熱はあがらないぞ」
「きみにできないことはないよ、砂漠のイブリース」
揶揄うように黒曜石の瞳が笑う。
吉野は軽く舌打ちして、にやりと笑い目を瞑った。
『砂漠のイブリース』、吉野がこの国を訪れた日から彼にはそんなあだ名で呼ばれている。
彼は、東洋人の姿に化けた魔人ジンの化身である、と。それも格下のジンではない。魔人の王イブリースに違いない、と。
彼はまるで魔法のように、短期間で悪夢を希望に溢れる夢に変えてくれたのだ。
石油資源のみに頼る財政から、欧州銀行任せだった政府系ファンドの資産運用を自国のスーパーコンピューターのプログラムで直接運用できる様にした。それ以降の国庫の改善は計り知れない。
海岸沿いの太陽光発電施設、温室工場等の自国産業の創出による雇用増加。工業地帯の拡大を見据えた移民政策。一筋縄ではいかない宗派間の対立を乗り越えて、戦争やテロ被害から逃れてきた、近隣諸国からの戦争難民を受け入れる政策も進んでいる。
それはアブドが大臣職にある時、強行的に進めてきた政策でもある。
見据えていた未来は同じだったのだ。
ただ、彼は夢物語を信じきれなかっただけで。
だからこそ、生きつづけて欲しいとサウードは願ったのだ。もしも、自分の手がこの夢を掴みきれない時、その道を継いでくれるのは彼しかいないのだから、と――。
人々が住み、日々の糧を得て生活するこの都は、決して魔人が煙から捻りだして造った蜃気楼の都ではない。
夢が、夢でなくなる日を夢見て――。
腰掛ける椅子の座面に深くもたれて物思いに沈んでいたサウードは、いつの間にか眠りに落ちて静かな寝息をたてている吉野から視線を戸外に移し、その色濃く、けれど熱射に焼かれて褪せて乾いた緑に、淋しげな微笑を向けていた。
「おかわりは?」
真鍮のポットを持ちあげるサウードに、吉野は首を横に振る。
白大理石に透かし彫りの入った飾り窓超しには、広々とした庭園と吹きあがる噴水がみえる。青を基調にしたモザイクタイルの水路に湛えられた透明の水面が光を跳ねている。だが、周囲に濃緑の樹々が植えられた中庭で羽を休めているのは、しずしずと気取った調子で歩く孔雀くらいか。
しばらくの間、何ということもなく二人を覆っていた沈黙を破ったのはサウードからだった。
「アレンはなんて?」
「うん、飛鳥がどうにかしてくれるって」
「どうにか――」
曖昧な吉野の返答に、サウードは訝しげに首を傾げる。
「症状が緩和できるかは判らないけど、心を穏やかにしてくれる映像を作ってくれているって、書いてあった」
サウードは、ベッドで半身を起こしてアレンからのメッセージを目を細めて嬉しそうに読んでいる吉野を、漆黒の瞳を曇らせて眺めつつ嘆息する。
「きみの原因不明の熱も、その映像で治るのかな?」
ぽつりと呟かれた独り言のような問いに、吉野は首をすくめて笑顔で応じる。
「こんなもの熱の内に入らないよ。少し疲れがでただけだ。それに、」
吉野は言葉を切ると、意地悪くにやりと頬を歪めた。
「俺が病気の方が、何かと都合がいい面もあるだろ?」
サウードは眉根を寄せ、どこか取り繕ったような笑みを浮かべて首を振る。
「万事順調だよ」
その口調は淡々としているが、とくに嬉しそうでもない。
アブドによって破壊された発電所、温室工場の再建が始まっている。撤退した外国企業に変わり、新しく参画したルベリーニからの人員も続々と到着している。
後ひと月もすれば、太陽光発電施設を運営する国営企業アッシャムスの正式な破綻が発表される。その後の道筋もすでに着けられている。米国企業が技術協力を担うという形で利益を吸いあげていた、温室、栽培工場の株式は、破格の安値でルベリーニが買いとる事になるだろう。彼らは膨大な損失を抱えたうえでの撤退を余儀なくされるのだ。
アブドが亡命した今、彼との癒着によって甘い汁を吸っていた参画企業に、それまで通りの都合の良い利益がもたらされることはないからだ。それに彼らにしてみれば、今は軍部によって抑えられているテロの脅威もある。すでにアブドの組織したテログループは解体され、所詮は金で雇われたにすぎない傭兵テロリストはいち早く国外逃亡していることなど、今となっては、彼らには知る由もないのだ。
たとえ誰にも会わずに自室に籠っていたところで、すべては目の前に横たわる吉野の手の内にある。
自分も、彼も、流れだした水流が怒涛となり、これまで築かれていた土台を崩し、決壊させ、押し流していく様を、高台から見届けるだけだ。
すべては予定調和の内のこと。吉野とともにいる間に、サウードもまた、流れの行き着く先を見据え見守る視界を身につけていた。
「お前たちは、気が長いな」
ふっと自分に向けられた柔らかな視線に、サウードは鷹揚な笑みで以って応えた。
「それだけの歴史を生きているからね」
「だから俺はお前を信じられるんだ。お前たちは時の長さを知っている」
ベッドヘッドにもたれていた半身をシーツの中に戻し、枕に頭を沈めながら吉野は脱力しきった様子で窓の外に戻した。
「生きている間に叶わなくても、何世代かかろうとも、この緑を必ず国中に広げてやる。だから、」
「分かっているよ、ヨシノ。今の僕たちでは、一国を統治できるほどに成熟していないことも。それを試みることさえ許されないだろうってことも。きみの言う意味を僕はちゃんと理解している」
「耐えることに慣れたか、サウード?」
ゆっくりと持ちあげられた彼のカーブを描く口許に、吉野もまた笑みを返した。
「俺、どこまでできるかな?」
「きみの意志はどこまでも受け継いでいく。きみがこの国を去った後でも――。そのための仮病でもあるんだろう?」
熱を測るように額にのせられた掌を、吉野は肩を震わせて笑いながら首を振って払った。
「いくら俺でもさ、仮病で熱はあがらないぞ」
「きみにできないことはないよ、砂漠のイブリース」
揶揄うように黒曜石の瞳が笑う。
吉野は軽く舌打ちして、にやりと笑い目を瞑った。
『砂漠のイブリース』、吉野がこの国を訪れた日から彼にはそんなあだ名で呼ばれている。
彼は、東洋人の姿に化けた魔人ジンの化身である、と。それも格下のジンではない。魔人の王イブリースに違いない、と。
彼はまるで魔法のように、短期間で悪夢を希望に溢れる夢に変えてくれたのだ。
石油資源のみに頼る財政から、欧州銀行任せだった政府系ファンドの資産運用を自国のスーパーコンピューターのプログラムで直接運用できる様にした。それ以降の国庫の改善は計り知れない。
海岸沿いの太陽光発電施設、温室工場等の自国産業の創出による雇用増加。工業地帯の拡大を見据えた移民政策。一筋縄ではいかない宗派間の対立を乗り越えて、戦争やテロ被害から逃れてきた、近隣諸国からの戦争難民を受け入れる政策も進んでいる。
それはアブドが大臣職にある時、強行的に進めてきた政策でもある。
見据えていた未来は同じだったのだ。
ただ、彼は夢物語を信じきれなかっただけで。
だからこそ、生きつづけて欲しいとサウードは願ったのだ。もしも、自分の手がこの夢を掴みきれない時、その道を継いでくれるのは彼しかいないのだから、と――。
人々が住み、日々の糧を得て生活するこの都は、決して魔人が煙から捻りだして造った蜃気楼の都ではない。
夢が、夢でなくなる日を夢見て――。
腰掛ける椅子の座面に深くもたれて物思いに沈んでいたサウードは、いつの間にか眠りに落ちて静かな寝息をたてている吉野から視線を戸外に移し、その色濃く、けれど熱射に焼かれて褪せて乾いた緑に、淋しげな微笑を向けていた。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)
三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。
各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。
第?章は前知識不要。
基本的にエロエロ。
本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。
一旦中断!詳細は近況を!
(完結)元お義姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれど・・・・・・エメリーン編
青空一夏
恋愛
「元お義姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれど・・・・・・」の続編。エメリーンの物語です。
以前の☆小説で活躍したガマちゃんズ(☆「お姉様を選んだ婚約者に乾杯」に出演)が出てきます。おとぎ話風かもしれません。
※ガマちゃんズのご説明
ガマガエル王様は、その昔ロセ伯爵家当主から命を助けてもらったことがあります。それを大変感謝したガマガエル王様は、一族にロセ伯爵家を守ることを命じます。それ以来、ガマガエルは何代にもわたりロセ伯爵家を守ってきました。
このお話しの時点では、前の☆小説のヒロイン、アドリアーナの次男エアルヴァンがロセ伯爵になり、失恋による傷心を癒やす為に、バディド王国の別荘にやって来たという設定になります。長男クロディウスは母方のロセ侯爵を継ぎ、長女クラウディアはムーンフェア国の王太子妃になっていますが、この物語では出てきません(多分)
前の作品を知っていらっしゃる方は是非、読んでいない方もこの機会に是非、お読み頂けると嬉しいです。
国の名前は新たに設定し直します。ロセ伯爵家の国をムーンフェア王国。リトラー侯爵家の国をバディド王国とします。
ムーンフェア国のエアルヴァン・ロセ伯爵がエメリーンの恋のお相手になります。
※現代的言葉遣いです。時代考証ありません。異世界ヨーロッパ風です。
あなたに愛や恋は求めません
灰銀猫
恋愛
婚約者と姉が自分に隠れて逢瀬を繰り返していると気付いたイルーゼ。
婚約者を諫めるも聞く耳を持たず、父に訴えても聞き流されるばかり。
このままでは不実な婚約者と結婚させられ、最悪姉に操を捧げると言い出しかねない。
婚約者を見限った彼女は、二人の逢瀬を両親に突きつける。
貴族なら愛や恋よりも義務を優先すべきと考える主人公が、自分の場所を求めて奮闘する話です。
R15は保険、タグは追加する可能性があります。
ふんわり設定のご都合主義の話なので、広いお心でお読みください。
24.3.1 女性向けHOTランキングで1位になりました。ありがとうございます。
【完結】「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」
まほりろ
恋愛
【完結】
「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」
イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。
対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。
レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。
「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「なんだ!」
レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。
「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」
私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。
全31話、約43,000文字、完結済み。
他サイトにもアップしています。
小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位!
pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。
アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。
2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
第15回恋愛小説大賞にエントリーしてます。
壁の花令嬢の最高の結婚
晴 菜葉
恋愛
壁の花とは、舞踏会で誰にも声を掛けてもらえず壁に立っている適齢期の女性を示す。
社交デビューして五年、一向に声を掛けられないヴィンセント伯爵の実妹であるアメリアは、兄ハリー・レノワーズの悪友であるブランシェット子爵エデュアルト・パウエルの心ない言葉に傷ついていた。
ある日、アメリアに縁談話がくる。相手は三十歳上の財産家で、妻に暴力を働いてこれまでに三回離縁を繰り返していると噂の男だった。
アメリアは自棄になって家出を決行する。
行く当てもなく彷徨いていると、たまたま賭博場に行く途中のエデュアルトに出会した。
そんなとき、彼が暴漢に襲われてしまう。
助けたアメリアは、背中に消えない傷を負ってしまった。
乙女に一生の傷を背負わせてしまったエデュアルトは、心底反省しているようだ。
「俺が出来ることなら何だってする」
そこでアメリアは考える。
暴力を振るう亭主より、女にだらしない放蕩者の方がずっとマシ。
「では、私と契約結婚してください」
R18には※をしています。
【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!
Bu-cha
恋愛
ずっと好きだった初恋の相手、社長の弱みを握る為に頑張ります!!にゃんっ♥
財閥の分家の家に代々遣える“秘書”という立場の“家”に生まれた加藤望。
”秘書“としての適正がない”ダメ秘書“の望が12月25日の朝、愛している人から連れてこられた場所は初恋の男の人の家だった。
財閥の本家の長男からの指示、”星野青(じょう)の弱みを握ってくる“という仕事。
財閥が青さんの会社を吸収する為に私を任命した・・・!!
青さんの弱みを握る為、“ダメ秘書”は今日から頑張ります!!
関連物語
『お嬢様は“いけないコト”がしたい』
『“純”の純愛ではない“愛”の鍵』連載中
『雪の上に犬と猿。たまに男と女。』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高11位
『好き好き大好きの嘘』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高36位
『約束したでしょ?忘れちゃった?』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高30位
※表紙イラスト Bu-cha作
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる